節制
「能力を一部封印しました。今後私の許可なく悪魔の使役は出来ません。本当はあなたの造った亜空間にでも封じておきたかったですが、介入ができませんでした。さすがは上位悪魔との契約ですね。契約といえば私も契約している相手がいましてね・・・おっといけません。話が逸れました。これは私の節度がない部分ですね。では、私はこれで。くれぐれも能力は節減を心掛けてくださいね。・・・いえ、最後に一つだけ。私は名がないと言いましたが、教会内ではこう言われているんですよ。レミエル ――― 節制の天使と」
いやー、暇だねえ。何っにも、することがない。
白雲が所々ある空を眺めながら思う。
ここで一句、なんてね。
一応、ベルゼブブの魔力痕を逐一気にしてはいるけど特に変化もないし。これだとルシファーの言った通りに一週間ぐらい待機になるかな。
皆は仕事とかあるみたいで居ないし、森の中の魔物は大体開拓の時にキったからな。
あ、キるっていうのは英語の kill と日本語の動詞の後ろに付く る を合わせたものね。
それはいいとして、やっぱ平和っていいよね。これからの時間この状態で過ぎてかないかねー。
・・・これ問題発生フラグだな。
そう思ったときにはもう遅い。雲とは違う白い物体が空を進む。
なんとなく危険な感じがして対空砲火で貫通力高めの槍の闇魔法を放つ。
槍が突き立つ直前、白い存在が掻き消える。
どこいった?
少なくともあれは生物に見えた。それなら熱を発するはず。
魔法を展開して周囲の熱源を探ると、森の中から近づいてくる人影が。
目視で確認すると、白くて緩いローブを纏い、深い緑色のストールを首に回して両肩にかけた、若い長髪の男がいた。
「こんにちは」
「・・・・・・」
「ああ、そんなに警戒しないでください。私は教会の者でしてね、上位悪魔ほどの強い邪気を感知してここに来たんです」
「・・・へぇ」
「信じられないですか?素性の知れない人が近づいてきたらそうですよね。でもすみません。教会の人間は全てを民にかけるため個人を捨てるんです。なので名前はありませんよ」
「・・・ああ。上位悪魔がうろついてる場所に未成年が一人いるってのに、保護しようとする素振りさえないやつの言葉はな」
「・・・ほう」
そういって一度瞑目し、唐突に手を前に、―――俺のいる方向に向ける。
直後、強い喪失感。
呆然としていると、教会の人間を名乗る男は話し始める。
「能力を一部封印しました。今後私の許可なく悪魔の使役は出来ません。本当はあなたの造った亜空間にでも封じておきたかったですが、介入ができませんでした。さすがは上位悪魔との契約ですね。契約といえば私も契約している相手がいましてね・・・おっといけません。話が逸れました。これは私の節度がない部分ですね。では、私はこれで。くれぐれも能力は節減を心掛けてくださいね・・・いえ、最後に一つだけ。私は名がないと言いましたが、教会内ではこう言われているんですよ。レミエル ――― 節制の天使と」
そう言い残して男は去った。




