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過去

 あの時、俺は荒れていた。

 最強の悪魔にして、最強原初の神を葬った存在。それが仕出かしたことを考えれば、まあ当然のことだ。

 その時、誓った。強く、硬く。あの悪魔、そしてその配下とも言える全ての悪魔を滅すると。


 闇雲に悪魔を探す日々。そんな中、巨大な獅子の姿をした荘厳な悪魔と出会った。最強の悪魔とは違う存在だったが、殺戮条件を満たすには悪魔というだけで十分だった。

 逃がさない。そう思った。

 狐童子を全開放。生涯に二度発現するかしないかの驚異的な思考能力により魔法を多重発動。

 戦いは熾烈、苛烈、白熱、強烈、過激、激烈、どんな言葉を以てしても表せない。それは偏に交戦する存在の片方が発する憎悪のため。

 吸血鬼としての力、主としての力、異世界人としての力、魔法使いとしての力、その全ては傲慢な存在を叩きのめした。

 しかし、その力の差を埋める切り札を悪魔は持っていた。

 あろうことか対戦相手に契約交渉を提案したのだ。悪魔を斃すには悪魔の力を使う外ない、他の悪魔を倒したくば自分と契約してはどうかと。

 普通に考えればありえない。現に今多種族に殺されかけているのは何という存在なのか。

 だが、昼夜を問わない戦闘による疲弊と、何より激しい憎悪が吸血鬼を首肯させた。

 吸血鬼は悪魔が裏切らないよう強固に契約を結んだ。


1.悪魔は契約者を害してはならない

2.契約者の呼びかけに悪魔は必ず答えること

3.催眠中など、操られた状態、もしくはそうでなくとも契約者にも解約、更改は不可能

4.契約中、悪魔は契約者に全能力を、その対価として契約者は悪魔に吸血による繁殖能力を支払う

5.1条から4条のいずれかに反した場合、悪魔は強制的に契約者が創った亜空間に飛ばされ、永遠に封印は解かれず、亜空間の消滅により悪魔もその存在を消す


 この契約に則り、悪魔は生き永らえる。

 契約者にも解けないこの契約は、今も続いている


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