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憧れへの挑戦

シャナが試合の場に降りてくる。

フェイトは嬉々としてそんなシャナを見ていた。

ゴツい鎧を着たままである事から考えても

シャナはフェイトと本気で戦う気は無いのだろう。


「よ、鎧は脱がないんですか?」

「ふふ、フェイト。君は確かに強くなった。

 でも、残念な事に、まだ1対1で私と戦って

 私に本気を出させるほどでは無いんだ」


まだまだ自分には遠く及んでないという宣言。

フェイトもそれ位は理解してるのだろう。

嫌な表情は決して見せることも無く

決意に似たような表情を見せた。


「いえ、本気を出させて見せます!」

「ふふ、それは楽しみだよ、フェイト。

 では、まずは今の私に一撃を加えてみてくれ」

「はい!」


フェイトは嬉々として剣を構えた。

短刀はまだ構えてないな。

そりゃ、あれは最初から仕掛けるのは難しい。


「行きます! シャナさん!」

「あぁ、来なさい、フェイト」


宣言通りに一気に動いた。

全力で振われたフェイトの攻撃。

だが、シャナはその攻撃をギリギリで避ける。


「まだまだ!」

「ふふ、勢いだけでは当らないよ?」


フェイトの激しい攻撃をシャナは防ぐ事も無く

全て、避ける形で捌いている。

何処に攻撃を仕掛けてくるのかを

先読みで予見してるかのように無駄の無い動きだ。


フェイトの攻撃は完全にシャナに読まれているのが分かる。

それも、攻撃を仕掛けようと構えた瞬間にバレてる。

何処にどのような攻撃が来るのかを完璧に先読みし

その攻撃を無駄なく完璧に避けていた。

防ぐよりも難易度が高いのは言うまでも無い。


「はぁ、りゃ、ここ!」

「甘いよ、フェイト。それでは容易に予想される」

「これなら!」


このままだと無理だと判断したフェイトが

もう1本の刀を振って攻撃を仕掛けるが

二刀流による攻撃も全て避けられていた。


「私に攻撃を当てるのであれば

 もっと素早く仕掛けないと無理だよ?」

「うぅ!」


当然だが、二刀流による攻撃も全て避けられている。

俺もあそこまで器用に避けるのは無理かもなぁ。

防ぐなら出来るだろうが、避けるのはムズいしな。

それを澄ました顔でしてるんだし

やっぱり最強って言われるだけはある。


「流石シャナとしか言えねぇな」

「えぇ、あの回避能力には敵いませんわ」


騎士団長達も当然、フェイトと戦ったんだ。

その上で、フェイトの強さを重々承知だろう。

当然、フェイトが弱いわけじゃねぇったのは

身をもって知ってるだろうからな。

そのフェイトが手も足も出てないのは

シャナが圧倒的に強いからってのは分かってるだろう。


「うぅ!」


このままだと当らないと判断したフェイトは

後方に退き、戦い方を考えるつもりらしい。


「ゆっくりと考えても良いよ。

 攻撃はしないでおくからね」

「防御すら必要無いって思われてる……

 まずは防御をしないと駄目な攻撃を仕掛けないと」


あまりにも簡単に捌かれているのを見たフェイトは

せめて防御くらいはして貰いたいと考えてるな。

いや、フェイト的には一撃を加えようとは思ってるんだろう。

だが、まずは一歩、せめて防御をして貰うを狙ってる。


「……よし!」


攻撃の流れを組み立てたであろうフェイト。

2本の剣を広く構えて一気にシャナに接近。

ある程度接近すると同時に素早く回転しての攻撃。


「とと、とにかく私に防御させたいと」

「はい!」


完全に守りを捨てた全力の攻撃に切替えたな。

せめてシャナを動かしたいという熱意を感じる。

かなりの素早さを用いた、攻撃特化の攻め。

フェイトが出せる全力全開の連続攻撃。

防御を全て度外視して、攻撃のみに目を向けた攻め。

攻撃の速度はイリスが捌いていた速度を超えてる。


「守りを捨てましたわね、フェイト」

「あぁ、それでもシャナには届かねぇのか」


防御を捨てた全力の攻撃もシャナには届かない。

シャナはフェイトの攻撃を全て平気な顔で避けていた。

鎧を脱いで全力を出してる訳では無いのにだ。

最強の女騎士と言われるだけはある。流石はシャナ。

他の騎士団長達がシャナが最強と言う事に

一切の異論が無いのも納得だな。


なんせ、他の騎士団長達とフェイトの戦いは

実際、ある程度の勝負にはなっていた。

最後のジーニスは一瞬だったが、あれとは毛色が違う。

今回のシャナとフェイトの戦いは

勝負にすらなってない。シャナはフェイトと戦っても無い。

ただ、フェイトの攻撃を避けてるだけだ。

子供の攻撃を大人が捌いてるような雰囲気でな。


女の子の中でもフェイトの強さはかなり上位である筈だが

最強とされるシャナとの間には隔絶した差がある様だ。


「りゃ!」

「ん!?」

「おぉ!?」


だが、その戦いが一瞬で動いた。

フェイトが激しい攻撃に隠しながら

一瞬でシャナの死角からの攻撃を仕掛けたからだ。

虚を突いて振われた短刀。

1回転してる間に剣を捨てて短刀を出したんだな。


「防ぎましたね……シャナさん!」

「ふふ、良い不意打ちだ」


とは言え、かなり高度な不意打ちだったが

シャナはその攻撃を防ぐ事で直撃を避けた。

ようやく回避しかしなかったシャナが

それ以外の行動をしたと言える。


「だが、その不意打ちを用いて私に一撃を叩き込む。

 それが出来なかったのは失敗だったね」

「いえ、まだです!」


そのまま、フェイトはシャナ相手に攻撃を仕掛ける。

だが、結果は分かってたとは思うが。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……ケホ、ケホ、はぁ!」

「ふふ、限界のようだね。よく頑張った。

 流石はフェイトだね」


全力での攻撃により、フェイトの体力が先に尽きた。

結局、あの1回以外にフェイトはシャナに防御もさせられず

そのまま力尽きてしまったわけだ。


「今までの戦いから分かってるとは思うし

 今までだって、何度も言われたと思うが

 君にはまだ、スピードが足りないね」

「そ、そうですね、何度も……

 ま、マグナとドリーズに

 そう、言われました」

「でも、前よりも遙かに強くなってる。

 君はいつか必ず、私に匹敵するくらいに強くなれる。

 諦めずに鍛錬を続けるんだ」

「は、はい! シャナさん!」


実力差は圧倒的だが、シャナはフェイトを認めている。

俺もいつかフェイトは、シャナクラスになれるだろうと思う。

だが、シャナも成長するだろうし追いつけるかは疑問だがな。


「やはり圧倒的ですわね、シャナは」

「だね、でも負けられない」

「あぁ、俺達も越されねぇように鍛えねぇとな!

 そんで、お前らもフェイト位強くなれよ?」

「しょ、精進します」

「私は魔法以外の鍛錬も頑張りましょう。

 リンも頑張ろうね?」

「はい、騎士団長!」


結果、誰がシャナの次に強いかを決める戦いは無かったが

全員が志を改めることが出来たと言えるな。

やっぱりフェイトの向上心は周囲に良い影響を与える。

真っ直ぐなのはやっぱり良いな。

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