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新しい生活

正式にこの国で世話になる事になって

騎士達に案内されて家に移動した。

どうも、男性は近い地域には集めず

バラバラで配置すると言う配慮がある。


これはまぁ、分かりやすい内容ではあるな。

俺は他人の女に手を出すような趣味はないが

まぁ、この世界は力こそ全ての世界だ。

男同士が近い場合だ争いが起こる可能性が高い。


相手の女に惚れて、手を出そうとして

その女をハーレムに入れてる男が出て来て

その女を賭けての争いが起こっちまう。


ただせさえ数が少ねぇ男同士が

そう言う戦争で争って命を落としたら

国というか、世界的にも大損失だろうな。


男1人に女は基本的に

100人以上と言われてるらしく

毎日本能に従って基本的な男は動いてるわけで

まぁ、男1人で毎年100人以上は人口が増えるらしい。


とは言え、俺とかこの国の国王とかの例外も居る。

あまり好き放題するわけじゃ無い男も居るが

それは当然、極少数でありかなりのレアケースだ。


「ここが新しい家ね、まぁ、家に帰るよりはマシ……か」

「帰らねぇの? 別に止めねぇぞ?」

「誰が帰るか! あんなクソ親父が居る家なんかに!」

「お、おいおい、そう怒るなって……」


当然、フェイトの実家はこの国にあるらしい。

シリンダート家というらしいな。

フェイトの苗字はランゲージだが

これは母方の苗字らしいな。


まぁ、この国の貴族という部類の家になるのだが

正直、稼いでるのは男よりも女だからな。


男の大半は欲望満たしてるだけで働かない。

いやまぁ、人口を増やすことが男の仕事だとすりゃ

そりゃ、さぞ仕事熱心な人物と言える訳だが。


「……」

「シルフ?」


シルフを肩車してるから顔はあまり見えないが

どうも、驚いて緊張してる様子だった。

そりゃ、今までずっと野宿だったからな。


婆さんの家もそんなに大きかったわけじゃないのに

いきなりこの国に着いて、デカい家が俺達の家。

そんな風に言われて、驚かないはずもないか。


「にーに、家、ここ?」

「ん-?」


ちょっとだけ視線を上げて、シルフが指差す場所を見た。

……シルフが指を指したのは小さな犬小屋だった。


「シルフちゃん、そこ、犬小屋よ……」

「……ん」

「いや、自分の耳を指差さないで。

 確かに犬耳だけど、違うからね?」

「……家は?」

「ほら、見れば分かるでしょ?」

「……」


殆どシルフの視線は追えないのだが

恐らく冷や汗をかきながらデカい家を見てるのだろう。


「……だ、誰の家……?」

「あなたとお兄ちゃんの家よ」

「お兄ちゃんって響きも良いな!」

「反応するな!」

「あた!」

「……にーには私のにーに」

「おぉ! 嬉しいがシルフよ。

 あと少しで目に指が入りそうだから

 あまりその辺りを手で覆わないで欲しいな。

 小さい手だから最悪グサッと行くぜ。

 

 まぁ、お前のお兄ちゃんは眼球も頑丈だから

 お前の可愛らしくてぷにぷにした手じゃ

 俺の目は傷付かねぇかも知れねぇがよ」

「何よそれ、キモいわ」

「弱点あったら最強じゃねーだろ」

「あんたは弱点あっても十分強いわよ……」


ま、強いだけじゃあまり嬉しくは無いんだけどな。

俺が目指すのは最強だから、強いじゃ不十分だぜ。

しかしなぁ、試したことはないんだよなぁ。

眼球に何か喰らったことないから。


弾丸とか喰らっても、むしろ弾丸がへちゃげねーかな。

てか、俺の肉体は弾丸受けたらどうなるんだ?

とか思うが、多分弾くんだろうな。


「てか、あんたって私に攻撃される度に

 いた、とか言ってるけどどうなの?」

「あ? 痛くねぇよ? 痒くもない」

「……なんで言ってるの?」

「無意識だなぁ」

「あ、あぁ、そう……刃の時は?」

「ん? 痛くねぇよ?」

「……ちょっと痛いとか言ってなかった?」

「あっはっは! 全く痛くないとか恐いだろ?」

「刃が入らない地点で恐いわ!」


そりゃそうかな、攻撃が通らないわけだしな。

そう考えれば、その地点で恐いか。


「全く……まぁとにかくよ。

 この家はあなたとあなたのお兄さんの家よ。

 国が正式に譲渡してくれたわけだし

 今までの生活よりも遙かに過ごしやすいわ」

「……落ち着かない」

「その内、落ち着くわよ。

 どうせこれから人も増えてくだろうしね。

 ……改めて言うけど、私は参加しないわよ?」

「もう参加してるようなもんじゃねぇの?」

「んな訳あるか!

 確かにあなたを認めるとは言ったけど

 あなたのハーレムには参加するとは言ってない!」

「分かったって、ゆっくり攻略するぜ」

「攻略って言うな! ったく! ほら、行くわよ!

 料理とかは基本的に私が面倒見るわ。

 シャナさんからの指示もあるし、言われた事はやる。

 私は真面目だからね、でも、それ以上はしないわ!」


フェイトは相変わらず中々頷かねぇな。

実はツンデレなんじゃね? とか思ってみるが

まぁ、そう焦ることは無いだろうな。


急ぎすぎて嫌われるわけにも行かねぇし

ゆっくりと魅了していくとしよう!

ふっふっふ、あっさり過ぎちゃ面白く無いしな。


「……フェイトちゃーん! や、やっぱりそう言う事!?」

「え!? み、ミント!?」


大きな声が聞えて振り向いたら

かなり息を荒くしているミントが居た。

全力で走ったのか、結構汗が凄い。


「わ、私にあんな事を……

 ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、い、息が…」

「……水飲む?」

「飲む!」


フェイトが差し出した水筒をミントは即座に取り

特に躊躇うことなく飲み干した。


「はぁ! 結構ぬるいけど、どうして?」

「運動した後に飲むための水だからよ。

 一気に冷えた水分を飲むと体に毒だし

 あまり負荷を掛けないように、ぬるくしてるの。

 冒険者してる訳だし、体が資本だからね」

「なる程、でも、元でしょ? もう冒険しないんでしょ?」

「いや、するわよ?」

「どうして!? マグナ様と結婚するなら

 冒険する必要無いわ! お金も貰えるし」

「誰が結婚するって!? 確かに男の中じゃマシだけど

 結婚何てしないし、そもそも私は結婚なんて眼中に無い!」

「えぇ!? そ、そんなに可愛いのに結婚しないの!? 嘘!

 可愛いし、料理も出来るし、気も利くし、性格も良いのに!?

 絶対選り取り見取りなのに!? 勿体ない!」

「うぇぇ!?」


あ、フェイトが顔を真っ赤にして恥ずかしがってる。

あいつ、あそこまで褒められると恥ずかしがるんだな。

そりゃまぁ、目の前で褒められたらそうなるよな。


「あ、フェイトも恥ずかしがることあるんだ」

「だ、誰が!」

「そんなに必死に否定しなくても良いのに-」


あの2人、親友同士って言ったけど

本当に仲良いな、かなり羨ましいぜ。


「あ! てか、そう言うのは後にして

 私に黙って抜け駆けとかズルいわ!」

「いや、だから何の話よ……」

「結婚とか興味無いとか言ってた癖に

 どうしてマグナ様と同棲しようとしてるのよ!」

「護衛よ、護衛」

「護衛? 必要なの?」

「正直、必要は無いと思うけど……あいつ馬鹿強いし」

「ふっふっふ、ドヤ」

「そのイラつくドヤ顔止めなさいよ」

「格好いいわ! 自分に絶対の自信があるって表情!」


俺としては、フェイトの反応が正しいと思った。

やはり、ミントは結構個性が強い様な気がするな。


「まぁ、そう言う訳で本来なら護衛は不要だろうけど

 国としても最悪の場合を考慮して護衛を選出したの。

 で、シャナさんと姫様が選んだ護衛が私だったって事。

 

 まぁ、私としてもあんなクソ親父が待ってる

 自分の家に帰るよりは

 まだマシなこいつが居る家の方が気が楽だしね」

「やっぱり惚れてるって事じゃ!?」

「惚れるわけないでしょが!

 あいつの何処に惚れる要素があるのよ!

 あんな筋肉馬鹿のアホ男なんかに!」

「ハッキリ言うなぁ、自覚あるから何も言わねぇが。

 ま、確かにゴリゴリだし褒め言葉だな!」

「超ポジティブだし、話をしてても楽しいわ!

 明るいし、しかも強いんでしょ?

 可愛い妹ちゃんもあなたも嫌ってないなら

 絶対に超が付くくらいの人格者に違いないわ!

 

 更にはイケメンよ! お金にも困ることもないし

 私達ともお話しをしてくれるし最高じゃないの!

 逆に惚れない要素の方が少ないに決ってるわ!」


め、滅茶苦茶ハッキリと褒められた。

心底嬉しいな! やっぱり肯定されるのは嬉しいぜ!

しかしあの子、フェイトの事もかなーり褒めてたし

かなり天然っぽいから、きっと素なんだろうし

ちょっと暴走しがちだが、性格は絶対良い子だな。


「……た、確かにそう聞くとマシなのかしら?」

「おう! 惚れるのだ!」

「……やっぱ、馬鹿っぽいから良い所ないでしょ」

「明るく振る舞ってくれてるのよ!

 私達が萎縮せず親しみやすくする為に!


 超強い訳だし、フェイトは男が大の苦手。

 その事を知って居れば、あなたが怖がったり

 嫌がらないように明るく振る舞いながら

 あなたが自分に気安く接することが出来るように

 あえて馬鹿なように振る舞ってるとも考えられるわ。


 妹ちゃんもその方が気安く話しも出来るだろうし

 クールだとか、そう言う態度だと話し掛けにくいしね。

 無口だと絶対に話し掛け難い位にイケメンだしね!


 あれで無口だったら、絶対に話し掛けにくいわ。

 格好良すぎるから! イケメン過ぎるんだから!」


……ちょ、超恥ずかしい……滅茶苦茶褒められてる。

て、てか、特にそう言う難しい事考えてなかった。

素の性格がこう言うだけで、親しみやすいとかはなかった…


「……そうなの?」

「……そう見える?」

「見えないわね……」

「じゃあ! 無意識で皆の緊張をほぐしてるのね!

 やっぱり凄いわ! 流石はマグナ様!」

「やっぱりあなた、滅茶苦茶ポジティブね」

「明るい事考えてる方が楽しいしね」


ニコニコと笑いながらフェイトの言葉に答えた。

その言葉を聞いたフェイトも、少し呆れながらではあるが

ちょっとだけ笑顔を見せながら


「……それもそうね」


彼女の言葉を肯定し、不器用な笑顔を見せる。

仲が良いってのがよく分かるな。

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