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突発的なイレギュラー

さてと、そろそろ行動開始ね。

マグナの方も準備は出来てるだろうし。

そもそも、あいつに準備は要らないだろうしね。

ラングレーの軍備調達と補給拠点の設置は完了。

それじゃ、攻撃をって!


「ジーニス! 襲撃だ!」

「え!?」


最終確認をしてたジーニスさんは

シャナさんの言葉を聞いて驚きながら

急いで銃を構えてこちらに走ってくる。


既に大量のゴブリン達が

死現の森から溢れ出してきており

その戦力は今までの襲撃の比では無い!


「なんで!?」

「単純な理由だろう。

 この襲撃はゴブリン本隊が相手だ。

 ドラゴン達はあまり森に火を吐けない。

 大規模な火災になるリスクがあるからな。

 その為、この襲撃で出てくるゴブリンは」

「ドラゴンの攻撃で対処することが無かった

 本来のゴブリン襲撃規模って訳だね」


戦力を3方向に分散しての攻撃でありながら

この大規模な戦力を隠し持ってたっての?

もしかして、向こうは私達の行動に感づいて

やられる前に最大戦力で迎撃するつもりなの?

いや、そんなはずは無いわ、だって

私達の行動に気付いていたのだとすれば

森で迎え撃ってたほうが遙かに有利なのだから。


「きっと、あいつらの本格的な攻撃と

 私達の攻撃が被ったんでしょうね」


もう、それしか考えられなかった。

ゴブリン達をマグナが作った蛇の道から

バスロミア、ビスティック、シャンデルナへ向わせた攻めでは

全て対処されたから、攻撃の矛先を変えてきたのかも知れない。

もしそうなら、こっちにゴブリンの本隊が居る可能性がある!


「最悪の場合、これが本隊なんじゃ!?」

「可能性は大いにある、とにかく対処するしか無い!

 ジーニス!」

「あぁ!」


シャナさんの言葉に反応してジーニスさんが

長銃を取りだし、私達に放り投げてきた。

私とシャナさんはその銃を掴む。


「全軍銃を構えろ!」

「は!」


焦りながらも兵達が布陣を整えた。

そして、こちらに向かってくるゴブリン達に向けて

大量の銃器を構えた。

私とシャナさんも同じ様に銃を構える。


「放て!」


ジーニスさんの合図と同時に大量の銃声が響く。

私達も同時に引き金を引き、大量の弾幕に混ざる。

弾丸はゴブリン達を撃ち抜き、一瞬で消し去った。

やはり、小さなゴブリン程度なら

何処に当ろうとも一撃で屠る事も出来る。

問題は、平気そうに走ってきてるオレンジ色。


「ッ!」

「え!?」


シャナさんが何かに反応して

ジーニスさんに向けて構えて

即座に引き金を引いた。

ジーニスさんの眼前にゴブリンが現われる。

同時に血飛沫の様なゴブリンの血が

ジーニスさんの鎧を汚く穢した。


「な!?」

「見えないゴブリンだ! 見えなかろうとも警戒しろ!」

「う、嘘でしょ!? マジで何も見えない!」


ジーニスさんに掛かった血が少しして消えていく。

これも魔物の特徴だ。


「あの時も見えなかったけど、

 本当にここまで見えないなんて!」

「ジュリア、君は私から離れるなよ」

「は、はい!」

「フェイト、分かってるな」

「はい、足音までは消えない」


小さな足音だけど、どうやら聞き取れる。

だけど、聞き取れるのは恐らく私だけだ。

襲撃を最初に喰らったときは

こんな存在を知りもしなかったから

全く警戒してなかったから気付けなかったけど

あいつらが居ると知って居れば意識を集中して聞き取れる。

問題は、この戦いが銃を使った戦いだと言う事。


「問題は……あのゴブリンを見抜けるのが

 現状、私とフェイトだけだと言う事か」

「分かるの!? どうやって!?

 こう、見抜くコツとか無いの!?」

「殺気に気付けとしか、私の場合は言えない」

「私の場合は、足音で気付けとしか」

「シャナの攻略法は歴戦以上の騎士じゃ無いと出来ない。

 フェイトの方法はほぼ種族特性……最悪だね」

「ッ! 次だ!」


茶色のゴブリン! 並の攻撃じゃ突破出来ないわ!

それなのに、あの数は何よ! 100は居るわ!


「あれはヤバいか、二発目!」

「は!」


茶色いゴブリンの群れに向って二発目の弾幕が張られた。

しかし、茶色のゴブリンのうち

この弾幕で撃破出来たのは30体程度。

銃で撃破は出来るけど、集中しないと無理!


「チィ! あれだけ受けても死なないの!?

 しかも、殺しきれなかった奴の傷が

 かなり短い間に治ってる気がする!

 でもまだまだ! 爆弾矢!」

「はい!」


だけど、茶色ゴブリンに対処する為に用意した戦法

爆弾矢による一斉射撃、私は確実に射抜けるけど

私以外でそれが出来るのはシャナさん位だ。

だけど、シャナさんは弓矢を持っていない。

シャナさんは風塵の剣を構えていた。

この攻撃で抜けられた相手に対処する為だ。


「放て!」


合図と同時に、私も爆弾矢を放った。

私の爆弾矢は問題無く茶色ゴブリンに当り

一斉に紐を引くと同時に、大量の爆発音と

何個の肉片が空に散らばる。


大量に来ていた茶色のゴブリンは

大半が吹き飛んだけど、まだ動いてる奴が居る。

刺さった場所が悪かったのか火力不足か

そもそも刺さってないのか分からない。


「ふん!」


でも、そのゴブリンは一瞬でバラバラになった。

シャナさんが振った風塵の剣から放たれた

猛烈な風の斬撃によりズタズタだ。

ドラゴンの鱗すら斬り裂いた風塵の剣。

いくら硬いとは言え

ただのゴブリンが耐えられる通りは無い。


「っし! 流石シャナ!」

「前を見ろ! 警戒を解くな!」

「分かってる!」


爆発に身を隠しながら姿を見せた青ゴブリン。

かなりの速さでこちらに近付いてきてる。

私も拳銃を取りだし、そのゴブリンに向って構えた。

ジーニスさんも同じ様に拳銃を構えてる。

私と違うのは、2本拳銃を持ってることだ。


「速いだけなら、全然対処出来るってね!」


余裕そうな笑顔を見せて、ジーニスさんが銃を放つ。

素早い射撃、2本の拳銃を手足のように操り

正確に精密に的確に青ゴブリンを撃ち抜いていた。

射撃精度、射撃速度、反動を即座に制御しながら

すぐに次の相手に向けて銃を構えてる照準速度。

その速度はまさしく圧倒的であり

相手がいくら小さく、速い青ゴブリンだろうと

ジーニスさんは正確に眉間を撃ち抜いていた。


更にジーニスさんの銃は私とは違い

6発もリロード無しに相手を撃ち抜ける

確かリボルバー式だという話を聞いた。

私の場合は2発、瞬間火力だけであれば

2発同時に叩き込める私が貰った銃が上かもだけど

連射能力とか攻撃の隙を考えると

ジーニスさんが持つリボルバー式の方が便利ね。

とは言え、生産が難しいらしいけど。


「っとと! 多いね!」


大量のゴブリンを撃ち抜きながら

撃ちきったリボルバーを背後に放り投げた。

そして、後ろに居た騎士がそのリボルバーをキャッチ。

すぐにジーニスさんは腰に付けていた

別のリボルバーを取り出して

再び2挺拳銃で攻撃を再開する。

もう片方も同じ様に銃を背後に投げて

携行してる別のリボルバーを取り出した。


ジーニスさんは出来るだけ軽量化してる鎧に

いくらかの銃を携えて前線に出るスタイルらしい。

弾が切れた銃は背後の騎士にリロードさせて

自分はすぐに攻撃を再開するように動いてる。


実際、ジーニスさんの射撃能力は

ラングレーの全騎士と比べて飛び抜けてる。

一番正確に一番効率的に相手を殺せるのは

間違いなくジーニスさんだろう。


「見事、と言いたいところだが」

「うぉ!」


風塵の剣を振ったシャナさんが放ったカマイタチ。

そのカマイタチが通った後に見えないゴブリンが

10体ほど両断されていた。


私は気付けなかった、やっぱり私の耳では

この弾幕の中、あの見えないゴブリンを

即座に探知することが出来ない!


「見えないのいたんだ、マジで気付けないね」

「あぁ、ッ!?」

「え!?」


上空に見えた巨大な岩! 白ゴブリン!


「不味い!」

「いや、目の前に集中しろ!」

「え!?」


私達は焦ってるけどシャナさんは冷静だ。

理由はすぐに分かった。

一瞬で巨岩が粉々に砕かれる。

そして、小さな影が私の視界に入る。


「……ふむ」


恐らくはドリーズだ、岩を砕いたドリーズが

何処かに視線を向けて、即座に私の視界から消えた。


「ドリーズさんがここに居るって事は」

「恐らく、ゴブリンの本隊がこちら側なのだろう」

「最悪、いや、ある意味幸運?」

「だな、攻撃作戦の直前だったから

 対処出来る戦力が十分に揃ってたわけだからな」


そして、そのまま戦闘は続く。

でも、私達の戦闘は一瞬で止まった。


「え!?」


巨大な氷柱が森の中から出現したからだった。

あの規模の魔法は、ほぼ確実にシルフちゃん!

もしかして、あそこに!

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