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最終確認

さて、再び集まった騎士団長達。

そんで、それぞれの状況を報告する。


「バスロミア、シャンデルナ、ビスティックの

 本隊は全軍、準備は完了してる。

 少し武器が足りませんが、十分補充出来ます」


やっぱりデイズがフェイトの武器を

集中的に作ってたのも一因だろうなぁ。

まぁ、鍛冶屋だってそりゃ、デイズ以外に

結構な数がいるだろうが、デイズは

相当実力あるフェイトが信頼する位の鍛冶屋で

更にシャナが直接来るくらいには評価されてた。

妥協しても一級品の武器が出来る位には

デイズも鍛冶屋の実力があるわけだしね。


「ギルフェリー国は問題ありませんわ」

「ラングレーはちょっと難航中。

 弾丸が少し足りないかなって状況だね」

「はぁ、ラングレーの武器も足りねぇか。

 今回の作戦じゃ、かなり重要だが」

「そうだね、報告にあった茶色のゴブリンだっけ。

 それに対して有効なのがラングレーの

 弾丸と爆弾矢……でも、運用方法は……」

「弾丸で急所付近に穴を開けて

 その穴に爆弾矢を突き刺して起爆……」


その言葉の後、騎士団長達の何人かがフェイトを見た。


「それ、即座に出来るような立ち回りかよ、フェイト」

「え!? い、いや、確かに私もあの時

 心臓バクバクでしたけど……ま、まぁ、出来ました」


当たり前の様にやったようだが、そりゃ神業レベルだ。

弾丸ってあまりデカい穴あかないだろう?

その弾丸にドンピシャで矢を当てるんだろ?

それも、動いてる相手にピンポイントで。

普通に出来るような技術じゃない。


「私達に出来るとすれば、大量の弾丸を叩き込んで

 その茶色のゴブリンを撃破するか

 少しでも当りの場所を増やすしかないね。

 ……フェイトの銃の腕が

 飛び抜けてるのは知ってたけど

 弓術も優れてるのは知らなかったなぁ」

「俺もフェイトの剣術がヤバいのは知ってたが

 弓術も飛び抜けてるのは知らなかったぜ」

「私もフェイトの槍術が

 飛び抜けてるのは知ってましたが

 弓術も飛び抜けてるのは知りませんでしたわ」

「……はぁ?」


そして、3人の騎士団長が同時に声を出しハモった。

そりゃうん、シャーリスとイリスが同時に喋ってたしな。

同時に剣術と槍術がヤバいと言ってたわけで。


「……」

「え? あ、あの……」


3人の騎士団長達が滅茶苦茶怪訝な表情で

同時にフェイトの方を向いた。

フェイトは冷や汗を流しながら

ちょっと目を泳がせてる。

まさか、隠してたのか? こいつ。


「おいフェイト、俺はお前の事を評価してる。

 この俺に剣術で互角近く戦えた技量を。

 だから俺は、お前は俺の次に強いと

 そう確信してスカウトしようとしたわけだ」

「私もあなたの事を非常に評価してましたわ。

 この私に槍術で互角近くに戦い善戦した技量を。

 なので、私はあなたは私の次に強いと

 そう確信してスカウトしようとしてましたわ」

「私もだよ、非常に精密な射撃能力。

 私の次くらいには

 非常に精密な射撃を行なう君を見て

 私ほどじゃないにせよ、私の次には強いと

 そう評価して君をスカウトしようとしてたんだ」


あ、そう言う事なんだな、やっぱり。

隠してたんだな、フェイトらしい。


「それを……なんだ? お前まさか……」

「満遍なくあらゆる分野を鍛えておきながら

 その1つの分野を突き詰めてた来た私達の

 領域にまで到達しかけてた訳ですの!?」

「それ! 結構な侮辱じゃない!?

 てか! 何で隠してたの!?」


3人の騎士団長がフェイトに詰め寄った。

やっぱり怒るよね、そりゃまぁ、うん。


「い、いえ! わ、悪気があったわけじゃ!

 わ、私としてもですね!

 1つの分野を極めてる人に教えて貰って

 その分野をもっと上に引き上げたくて!」

「何で隠してたのかって聞いてんだよ!」

「全然極められてないのに自慢するのは

 恥ずかしいんです! だ、だって!

 私って結局、そこまで極められて無くてぇ!」

「十分極めてる部類ですわよ! 誇りなさい!」

「そうだよ! もっと前面に出してだね!」

「ご、ごめんなさいー! 自信が無くてぇ!」


3人の騎士団長に全力で揺すられ

少しだけ目を回しながらフェイトが答えてる。

本当に何であそこまで自信ないかな、フェイト。


「何でお前そんなに自信なさげなんだよ!」

「だって私! ま、まだまだ全然弱くて!

 せ、せめてシャナさん位は出来るようになって」

「シャナと比べるなよ! あいつは異常だ!」

「そうですわ! シャナは異常ですわ!」

「同じ人類かすら疑わしいからね! シャナは!」

「お前達……私、ここに居るんだが……

 全て聞えてるんだが……

 い、一応人間だぞ? 私は……」


ちょっとだけショックを受けた様な素振りを

シャナは見せてる。

まぁうん、相当言われてたからなぁ。

まぁ仲は良さげだから良いんだけど。


てか、この状況で冷静なのは

もうリーデルフォンしかいねぇな。


まぁ、まだフェイトは魔法には辿り着いてない。

リーデルフォンは魔法の中で上位って訳だから

あの3人ほどに衝撃は無かったのだろう。


「シャナはどれ程評価されておるのやら。

 まぁ、ドラゴンを1人で倒したという実績は

 あまりにも人間離れしておるからのぅ」

「ジトーッとした目で俺を見るな。

 俺は最強だからな? 人間だが。

 まぁ、シャナと違って

 純人間じゃなくて獣人種だがな」

「本当に今の時代は実に面白いのぅ」

「ほら! フェイト! どう言う事か言え!」

「そうだよ! 何で自信なさげなのさ!」

「う、上が! 上が遠すぎて!」

「それでも堂々とするべきですわ! あなたは!」

「ご、ごめんなさいー!」


そのまましばらく、フェイトはあの3人に怒られた。

フェイトって結構圧に弱い所あるよなぁ。

いやまぁ、フェイトはフェイトで

あの3人には憧れてるだろうしな。

憧れてる相手からあんな風に言われたら

流石に気圧されるのも無理はない。


「でも、あ、憧れてる人に対して

 何かこう、へ、変な事を言いたくないというか!

 自信満々で何か言いたくないというか!」

「え? 憧れてるの? 私達に?」

「そ、それはそうですよ、

 1つの事を極めてる人ですから!」

「だが、シャナの次だろ?」

「そ、それはまぁ……その、はい」

「……じゃあ、次は誰だ?」

「え?」

「シャナの次は誰に憧れてるんだ?」

「あ、え、えっと」

「教えて欲しいのですわ」

「うん、気になるし」

「そ、そのー……」


フェイトが顔を真っ青にしながら

冷や汗を更に流して再び目を泳がせてる。

そりゃうん、あの質問は焦るよな。

あれ暗に自分達の3人の中で

誰に憧れてるかって話だからな。


多分、全員同じ位に尊敬してるであろう

フェイトからしてみれば、非常に答えにくい。

優劣付けられるようなものでも無いだろうが

あの圧、あの3人は選んで欲しいと思ってる。


あの3人だってフェイトの事は気に入ってるだろうし

気に入ってるフェイトから他の2人よりも

憧れてますと言って貰いたがってる感じだ。

シャナに負けるのは問題無いが

他の2人には負けたくないってのが

あの3人の表情から思いっきり出てるし

そりゃ、フェイトも返答に困るよなぁ。


「さぁ!」

「さぁ!」

「さぁ!」

「そ、そのー……!」


フェイトが少し困った表情で俺の方を見た。

ありゃ、俺に助け船出して欲しがってるな。

まぁうん、可哀想だし助け船を出すか。


「そこまでにしろって、余裕無いんだぜ?」

「う、うーん、確かにそれはそうだけど…」

「ま、そう言う話はゴブリン共潰した後に

 ゆっくりすりゃいいだろ?

 これから仲良くするんだしな、いつでも会える」

「……それもそうですわね」

「うん、動揺しすぎたかも」


俺の言葉で冷静さを取り戻した3人が

申し訳なさそうに自分達の席へ戻った。

フェイトは普段見せない弱々しい表情で

俺の方を向いて、小さく笑ってくれた。

お礼なんだろうなぁ、やっぱり。


「はぁ、私はやはり人間離れしすぎてるんだろうか…

 まさかあそこまで言われるとは思わなかった……

 何だ? 何が駄目なんだ? やはり少しくらいは…」


3人が戻ったが、シャナはまだちょっと動揺してる。

ぶつぶつ呟きながら、異常と言われた理由を考えてる。

耳が良い俺とフェイト位しか聞えてねぇだろうが。


「シャナ-、戻ってこーい、気にしてんのかぁ?」

「あ、いえ、気にしては……いや、気にはしてますね。

 あそこまで堂々と言われたのは初めてだったので

 まさか異常と思われてたとは」

「大丈夫だ、安心しろシャナ、俺の方が異常だぜ!」

「その親指は何じゃ、マグナ」

「んー? 何だと言われたら何だろうな。

 こう言うジェスチャーには名前あるのかも知れねぇが

 俺は興味ねぇから、

 まぁ、とりあえず同じって事だ」


結構あれだよな、無意識にやる事って

その由来とか意味とか名前を知らねぇことが多い。

まぁ、その行動で相手に何かしらが伝わるなら

別にその行動の由来を知る必要はねぇだろうが。


「はぁ、まぁ良いのじゃがな、会議じゃろ会議

 主らが仲良いのは分かったから会議じゃ。

 結局、ラングレーは動けるのか?」

「あっと、動けるには動ける……かな。

 茶色ゴブリンを倒せればだけど」

「茶色のゴブリンは私が優先して対処する。

 私も本気で行くつもりだからな。

 風塵の剣を使い、必ず勝つ」

「風塵の剣?」

「はい、私の家が代々紡いできた宝具です。

 一振りで強力なカマイタチを放てる。

 その一撃ならドラゴンの鱗も引き裂けます」

「ほぅ!」


フェイトが言ってたシャナの宝具か。

全力で戦うつもりって事だな!

いやぁ! 是非見て見たいな!


「風塵の剣、シャナさんの宝具!

 ドラゴン襲来時に初めて使って以降

 今まで使わなかったのに!」

「いや、使ってたんだけどな、

 ドラゴンと戦う前から。

 あの1戦以降は使ったことは無いが」

「え? あの時まで使ってたんですか?」

「あぁ、家宝として代々引き継がれてた武器だ。


 グランリンズ家初代当主が

 当時の国王様に仕えた際に譲渡された家宝。

 代々、グランリンズ家の当主が武器として振った

 まさしくグランリンズ家の家宝と言える武器からな。

 

 私も今代のグランリンズ家の当主として

 武器として振ってたんだ。


 だが、あの1戦以降は攻撃力があまりに高過ぎる為

 死力を尽くさなければ勝てないであろう

 戦い以外ではあの武器を使わないようにしたんだ」

「ほぅ、前まではただの剣だったのか」

「はい、ただの家宝であり特殊な力は無かった。

 ただ常に私に寄り添ってくれてた母の武器です。

 そして、グランリンズ家と代々共に歩んできた

 我々の相棒でもありました。


 しかし、あの戦いの時に家宝が覚醒したのか

 相手を斬り裂くカマイタチが放たれたのです。

 まさしく家宝、あれが俗に言う宝具という物かと。

 死力を尽くした戦いの末に覚醒する様は

 まさに宝具といえます。

 なので、安易には使わない方が良いかと」

「うむ、それが良いじゃろうな。

 強力過ぎる力は甘えを生むのじゃ」


危機的状況で覚醒する相棒ってやっぱり格好いいよな!

まぁ、俺は武器とかあまり使わないから

使ってる武器が覚醒とかは無いだろうが。


「なる程、じゃあ茶色のゴブリンはシャナに任せよう」

「あぁ、ドラゴンさえ退けた宝具、風塵の剣の強さを

 この戦いで再び見せよう。必ず勝ってみせる」

「はは! 頼りになるね!

 じゃあ、ラングレーも大丈夫だ!」

「では、行動はいつにしますか?」

「作戦決行日は移動も考えて再び2週間後だ。

 2週間後にギルフェリーとラングレーは

 編制した軍と共に死現の森へ向ってくれ」

「あぁ、移動時間を加味すればそれ位が丁度良い」

「本隊は死現の森に完全進行する前に

 付近に進軍用の拠点を設置して攻撃を開始する」

「ギルフェリーとラングレーも

 進軍用の中継拠点を設置した方が良いと思う」

「分かってるよ、特にラングレーは

 補給拠点が大事になってくるからね」

「えぇ、ギルフェリーも同じ事ですわ。

 では、2週間後に完全進行ですわね」

「あぁ、全員、覚悟を決めておけよ」

「えぇ、勿論です」

「じゃ、移動だな」

「えぇ、頼りにしてますわ、マグナ様」

「ドリーズ、しばらくミントたち頼むぜ」

「任せよ、儂は移動が速いからのぅ。

 部下に指示を出した後、しばらくは

 バスロミアで護衛しておくのじゃ」

「サンキュー」


うし、じゃ早速移動しますか!

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