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少しでも強く

図書館でゆっくりしたりしたが

意外と10日間って長いなぁ。

最近は色々あって1日長かったが

この準備期間中じゃ、俺はやる事ねぇしな。

ま、フェイトの鍛錬に付き合うことは出来るが。


「はぁ、はぁ、はぁ…あふ、はぁ、はぁ、はぁ」

「大丈夫か?」


全力で俺に攻撃を仕掛けていたフェイトだが

限界が来て汗を流しながら

床を見ながら、息を整えようと努力してた。

汗が滝の様に流れながら

胸が結構上下に動いてるから少し反応しそうだ。


「ま、まだ……はぁ、はぁ……まだよ」

「無理すんなよな、てか、それ以上汗流して

 更に呼吸まで荒くしたら

 俺がえちえちな気分になるから休んでくれ」

「な、何言って、はぁ、はぁ、ば、馬鹿……はぁ」


俺の結構自分本位の説得でちょっと気が引けたのか

大人しく休んでくれることになった。


「へ、変な目で、はぁ、はぁ、み、見ないでよ……」

「そりゃ無理な話だっての、俺は紳士だが男だぜ?

 そんないやらしい姿を見せ付けられちまったら

 流石に反応しちまうってもんだ。

 だから、呼吸整えて服着替えた後にもう一度だ」

「そ、そうね……はぁ」


マジックバックから水筒を2本取り出し

1本をフェイトは俺に向って投げた。


「っと、くれるのか?」

「あんた用よ、訓練に付き合って貰ってるのに

 用意しないなんてあり得ないっての。

 そりゃ、はぁ、あんたは私と違って

 全然汗かいてないけど、一応ね」


そう言って、フェイトは浴びるように水筒を飲んだ。

中は完全な水だからなのだろう

自分の汗を軽く流すように水筒の水を被る。

俺も渡された水筒を飲んだが、ぬるい。


「ふぅ、浴びるなら冷たい方が良いわね。

 ま、着替えて来るわ、あんたは大丈夫?」

「俺は見ての通り、全く汗かいてねぇからな」

「そ、そうね、はぁ……私は汗だくなのになぁ」


その一言を呟いた後フェイトが訓練場の

更衣室にマジックバックと一緒に入った。


「やっぱり少しピリピリしてるよなぁ」


結構今は全員がバラバラに行動してるからな。

俺はフェイトの訓練に付き合って

ドリーズはゴブリンの戦力把握の為に行動。

ジュリアは会議の資料を纏めるために忙しい。

で、シルフはミントと一緒に料理の練習だ。


「ま、冒険は出来ねぇしなぁ」


訓練場の案山子に軽く木刀を振った。

軽くだから木刀は折れないが

案山子はすぱっと切れちまった。

こう言うのを見りゃ分かることだが

俺のやるべき訓練はマジで手加減かな。

魔法ってのも良いかも知れねぇが

俺の規模じゃ、被害ヤベぇからな。

暴発すりゃ、被害は甚大だろう。

絶対にゴブリン襲撃の比じゃねぇからな


「っし、着替えたわ、呼吸もある程度整えた。

 マグナ、もう一度よ! もう一度付き合って!」

「あぁ、って、その服も腋見えてるんだな」

「そこは前言ったでしょうが!

 腋がでてないと熱いのよ!」

「まぁ、汗凄いしなぁ、代謝ってのが良いんだろ」

「はぁ、てか正直、何であんたは汗かかないのよ」

「ん? 対して運動してないからだが?」

「私が汗だくになる位に攻撃してんのよ!?

 あんたはその攻撃全部裁いてるじゃ無いの!」

「防御で最低限の動きしかしてねぇからな。

 それに、全身使って攻撃力を上げてるお前と違って

 俺は腕力だけで十分攻撃力出るからよ」

「く、何か最低限の力で捌かれてる感じがする」

「そうだぜ? 最低限の力だけで捌いてるんだ。

 お前の攻撃力に対して同じ防御力で防ぐだけだ。

 俺の力なら、そりゃ簡単な事だからな」

「やっぱり力の差が違いすぎるわね……

 でも、だからといって諦めないわ!

 あんたに最低限の力以上を使わせてやる!」

「そりゃ楽しみだな! んじゃ、来い!」


フェイトが構え、俺は構えない。

訓練の度にそんな感じで戦ってる。


「はぁ!」


一瞬、力を込めて俺に近付いてきた。

いやぁ、最初と比べりゃ速くなったな。


「うし、その調子だ、移動には全身使え」

「く! そこ!」

「っと、今、手を抜いたな? どうせ防がれるって。

 そりゃ駄目だぜ? 全力で振れ。

 隙を作るための攻撃で力を抑えるなら良いが

 そう言う訳じゃねぇのに手加減は良くねぇぞ」

「相変わらずよね! 何でそこまで分かるのよ!」

「お前の力を完全に把握してるからだな」

「本当あんた、戦いに関してはマジで異次元よね!」

「そりゃな」


シャナみたいにスピードを主軸にした

立ち回りをしたいのは良く分かるな。

そりゃ、フェイトの目標は今はシャナだろう。

俺やドリーズみたいに純粋なフィジカルだけで

圧倒的に強い奴を真似るのは無理だからな。


フィジカル面はどうしても鍛えると言う事でしか

強化することは出来ないからな。

だが、技術なら努力すれば一気に伸びる。

当然、フェイトはフィジカル面の強化を

疎かにする事は無いが、強くなる為に

技術面をメインに強化したがってるのは分かる。


「やっぱりどの方向でも防がれる!」

「あぁ、あ、不意打ちも駄目だぜ?」

「ちぃ!」


不意打ちや遠距離攻撃も軽く織り交ぜながら

フェイトは何とか俺に攻撃を当てようとするが

当然、まだまだ未熟なフェイトの不意打ちじゃ

俺は容易に対処出来ちまうってね。


「もっと上手く隠して攻撃しろよ?

 視線誘導して予備動作を殆ど見せねぇ程の

 無駄のねぇ動きじゃねぇとバレるからな?」

「絶対に、絶対に当ててやる!」


何度か攻撃をしながら攻撃を続けてくる。


「ここだぁ!」


無理矢理間合いを詰めての不意打ち狙い。

即座に全身を捻っての全力の回転斬り。

横じゃなく、飛び上がって斜めに体を捻りながら

自分の全体重と回転時の全力の遠心力を活用した

フェイトが放てるであろう、最大の一撃。


「まだここじゃねぇぜ?」


俺はその攻撃を左手の人差し指で止めてみる。

岩を殴ったかのようなデカい音と同時に

フェイトの木刀がデケェ音を鳴らして折れる。


「な!」


木刀が折れたことでバランスを崩したフェイトが

そのまま地面に転けそうになるが

俺はそれを右手で支え、フェイトが転けないようにした。


「あ」

「おぉ」


その勢いでフェイトを抱きしめる形になる。


「あ、そ、その、ありがとう」

「はは、怪我したら危ねぇからな。

 その全力の攻撃も失敗したら不利になるからな。

 やけになって使ったら駄目だろ?」

「そ、そうね、は、反省する……

 てか、そろそろ離してよ

 汗凄いから臭いだろうし」

「いや、お前気にしすぎじゃね?

 お前は全然汗臭くないぞ? むしろ良い匂い」

「キモい事言うなぁ!」

「おぉ! 良かったな、攻撃当てられたな」

「これは違うでしょ!?」


顔を真っ赤にしてフェイトが離れた。

そのまま真っ赤な顔で俺の方を向いた。


「……も、もう一度よ!」

「あ、大体こう言うやり取りの後は

 もう良いってなりそうだが、やるんだな」

「時間ないんだから! 後5日よ! 後5日で

 最終確認の会議がある。

 そこからは調整するし

 準備が順調ならあんたはギルフェリー国に、

 私はデイズに武器を受け取った後に

 ラングレー国に行かないと行け無くなる。

 だから、訓練出来る時間は実質ほぼ5日だけ!

 くだらない事でこれ以上、時間は無駄に出来ない!」

「それもそうだな、じゃ、来い!」

「行くわよ! マグナ!」


フェイトは間からわず汗を流しながら

必死の形相で俺に食い付いてきた。

少しでも強くなる為に、必死にな。

フェイトからしてみれば、この5日は大事だ。

ゴブリンにやられたら一生泣くことになっちまう。

だから、少しでも生き残る可能性を上げるために

こうやって、必死に努力してるんだろう。


だから、俺はフェイトの訓練に付き合うだけだ。

少しでもフェイトが自分に満足できるように。


「っし、諦めずに食らい付けよ!」

「えぇ! 常に食らい付くわ!

 それが私が出来る唯一の事!」


疲労を感じさせない全力の一撃を

俺はいつも以上の笑みで受け止める。

やっぱりこいつが必死になってる姿は様になる。

これがフェイトって女の子なんだろうな。

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