後ろ向きな自信家
「ふーん、護衛ねぇ-」
「そうよ、だから決して
そう言う関係じゃないわ!」
デイズと出会い、即座にフェイトは
俺と自分の関係を話してくれた。
やはり、まだハーレムには
入ってくれないそうだ。
「うー、フェイトの攻略大変だぜぇ」
「大人しく素直になるのじゃフェイトよ
乙女らしくせい、わがまま娘め」
「私はマグナのハーレムじゃないんだから!」
「ゴブリンから救われ
涙ながらに抱き付きながら礼をっておきながら
相変わらず強情な奴め、素直になれ。
嫌っておる者に、精神的に追い込まれてる際に
抱き付く筈が無かろう?」
「ち、違うから! あれはそう言うのじゃ無いって!
てか、お、お礼言っただけだし!?」
フェイトが顔を真っ赤にしながら全力で否定する。
そこまで魅力的でないかね? 俺は。
だが、雰囲気から分かるが馴染んできてるはずだ。
諦めないぜ! ガンガンアピールだ!
「ふっふっふ、ならばこれを見よ!」
「何を」
「この滅茶苦茶イケメンスマイルを」
ギルフェリー国で会得したイケメンスマイル!
爽やかイケメン風を出して微笑んでみたぜ!
「……は? それが?」
「キャー! ま、マグナ様の!
マグナ様のイケメン度が、天元突破!」
「雰囲気違うけど、な、何か格好いい気が…」
「おぉー、こんな男の人も居るのかぁ……」
「何と見事な笑みじゃ、いつも通りなきもするが」
「にーに格好いい」
「ん? あれ? 半分くらい反応微妙……
特にフェイトの反応とかマジ微妙だ!」
フェイトが顔を真っ赤にしてポッてなるのを
期待してたんだが、雰囲気普段と変わらねぇ!
ミントとか滅茶苦茶興奮してて
ジュリアとかも結構格好いいと言ってくれてるが
フェイトだけ反応クソ微妙なんだが!
シルフとドリーズは普段と変わらねぇし!
いやさ、デイズは評価してくれてるけどさ?
ちょっと頬を赤らめてくれたけどさ?
でも、フェイト全然反応しねぇ!
「……フェイト強くね?」
「はぁ? 私よりあんたの方が強いでしょうが
何いきなり馬鹿な事を」
「……いや待て、これ実は俺勘違いしてる!?
脈とか関係無しに、実はフェイト天然だったり!?」
「はぁ? 私が天然な訳無いでしょ?」
「天然と言うよりは恋愛ごとに興味無いって言うか?
そもそも自分を過小評価してるところあるしね」
「そりゃそうよ、恋愛ごとに浮かれる余裕は無いわ
私は弱いから常に努力をし続けてるのよ。
くだらない事で集中力を乱すわけには行かないわ」
「うーん、フェイトちゃんのタイプは何なの?」
「無いわ、男のタイプとか私は全然ないし興味無い!
私は常に私と目標だけを見てるんだから!」
「嘘を付くな、主程自分を見ておらぬ奴はそうおらぬ」
「私は常に私を見てるけど!?
そう、私はまだまだ弱い。
不意打ちで急所近く刺されただけで
動けなくなるくらいに私は弱いのよ」
「いや、普通は動けないよ!?
え!? 刺されたの!?」
「そうよ、見えないゴブリンに刺されたの。
あれを見抜けないなんて、やっぱり私はまだまだ」
やっぱりフェイトって、自分を過小評価してるよなぁ。
そりゃ今までで分かってたが、ここまでかぁ。
「主は自分より弱い兵を見ておろうが。
それでもまだ弱いなどと言うのか?」
「下を見たって意味ないのよ、下見たって。
私より弱い奴はそりゃ沢山居るけど
それがどうしたのって話よ。
私より強い奴が上見りゃゴロゴロ居るのに
何でわざわざ下見る必要あんのよ。
上見りゃ目標わんさか見えるのに
下見ても何の意味も無いでしょうに。
時間の無駄よ無駄」
「あのさ、ずっと言ってるけどさ、フェイト
その考えできるだけで十分立派だって」
「結果残せてないんだから駄目よ、まだまだ駄目。
私は立派なんかじゃ無いわよ、むしろ雑魚よ」
自己肯定感低いのか高いのか分からねぇ…
自分に自信は無いのに常にチャレンジャーだしな。
自己肯定感が低いと普通何も出来ないよな?
自分に自信を持ってるけど持ちきれてないというか
いや、自分に自信を持ってないけど
責任感で常に挑戦してるのか? そんな気がする。
「変わらないなぁ、フェイトは。
シャナさんの次に強いだけじゃ不満なの?」
「えぇ、勿論よ、私はシャナさんの次に強いだけじゃ駄目
シャナさんを越えなきゃ駄目なんだから。
その後、ドリーズを越えてそしてマグナを越えるの!」
「自己肯定感が低いと思ったが
その目標を聞くと、自信凄すぎる気がするのぅ
なんじゃい、主の二面性、意味分からぬぞ」
「上が遠すぎるのが問題なのよ! 自信も無くすわ!」
まぁ、それで折れてねぇからフェイトは強ぇんだろうなぁ。
だがまぁ、自分の事は常に雑魚だと評してるが。
「フェイトちゃんは本当に頑張り屋さんね!」
「そりゃ分かるけどねぇ、まぁ良いや。
話が逸れちゃった気がするけど
刺されたの? 大丈夫?」
「大丈夫よ、大丈夫じゃなかったら死んでるわ。
いや、死んで無いか……
多分死んだ方がマシだと思ってるわ
マグナ達が来なかったら私、ゴブリンの奴隷だったし」
「ただの奴隷では無かろう、せい」
「おい」
「本当に申し訳無いのじゃ! 口が滑りそうになった!
許して欲しいのじゃ! この通り! この通りじゃあ!」
口を滑らせ掛けたドリーズを睨むと同時に
ドリーズが全力で土下座をして謝罪をする。
その際にジュリアとミントも視線に入ったが
2人とも顔面蒼白って感じで固まってる。
「……」
「……」
「マグナ、恐いわよ? あの2人見なさいよ
冷や汗凄いわよ? 滝みたいになってるわよ?」
「し、死ぬわ……威圧感で心臓止まるかと……」
「ど、ドリーズさんのばかぁ、
ま、巻き込まれたぁ……し、心臓が破裂しそう…」
「雰囲気、か、変わりすぎじゃ……え?」
「禁句なの、ああいうの」
ドリーズを睨んだときに近くに居た2人にも
ちょっと圧を与えちまったようだなぁ。
「あっと、悪いな、別にお前らに怒ってないから」
「わ、分かるんだけど……」
「え、えぇ、私も分かるわ、向けられてたら
私はおしっこ漏らしながら泡を吹いて気絶してるわ」
「ん? どうして怖がってるの?
にーに、恐くないよ?」
「し、知っておる……うむ、知っておるのじゃ…
マグナが恐くないのは知っておるのじゃ。
敵意も殺意も殺気も何も感じ無いのじゃ。
じゃが、本能が、本能が謝罪せよと言うのじゃ。
土下座で、ほぼ無意識なのじゃ、これは……」
「あんた懲りないわよねぇ、ったく。
まぁいいや、完全に話しぶった切れたし本題ね
デイズ、私、武器欲しいの」
「ふぇ、フェイトは怖がってないね、ど、どうして?」
「いや別に、私は睨まれたわけじゃないし
マグナが暴れることもないだろうしね」
「ふぇ、フェイトはもはやシルフ枠じゃな……」
「何で怯えないのか不思議……」
「あ、あたしもそう思う……」
あの瞬間に怯えてないのはフェイトとシルフだけだな。
もうフェイトは慣れてるって事なのかも知れねぇ。
ドリーズは大体元凶だから大体土下座してるし。
「もう大分仲良いと、お、思うんだけどなぁ
ま、まぁうん、いいや、これ以上は進まないしね。
それで武器だっけ、じゃあ。お店へどうぞ-」
「お邪魔するわね」
「あ、ここだったんだ……」
「そうよ、デイズちゃんのお店なの。
オーダーメイドで作ってるの。
因みに私の包丁もデイズちゃん作よ!
切れ味凄すぎて、最初は苦労したんだから!
だって、まな板まで斬っちゃうのよ!?」
「え……それほんとに包丁……?
むしろ、な、何で今使えてるの…?」
「食材を傷付けない繊細な力で切れば
まな板は切れなくなるの、まな板に傷は付くけど
だから、理想は空中で切る事ね!」
「何で空中で切るの!?」
「切れ味が凄いからね、難しいからやらないけど」
ほーん、要は腕の立つ鍛冶屋って事なのか。
フェイトの友達は優秀な奴多いなぁ
ミントの料理の腕はピカイチだし
デイズは相当優秀な鍛冶屋って事だしな。
まぁ、類は友を呼ぶって言うからな。
フェイトは優秀だし、
友達も優秀なのが集まったんだろう。
ま、フェイトが頑張ってる姿に
影響を受けただけかも知れねぇがな。
さて、そう言う考察は後で良いか
今は鍛冶屋だ、鍛冶屋
こう言う場所は初めて来たしわくわくだな!




