集う騎士達
さて、シャンデルナからでて
俺達は会議所にやって来たわけだ。
今回出来た同盟は五ヶ国だけだった。
理由はシンプルで時間がないからだ。
ドリーズの情報から考えても
そろそろゴブリン共がガチで攻めてくる。
ただでさえ軍事国家であるビステック国か?
そこが全滅ギリギリまで追い込まれてたってのに
そっから更にガチの攻めってなりゃ
俺達が居ねぇ国が滅ぶのは必然だ。
そりゃな、俺、シルフ、ドリーズが
3国に待機しておけば防衛は出来る。
だが、同盟できた国は5つ。
俺達は3人、バスロミアにはシャナが居るから
シャナを信じて待機としても一ヶ国は捨てる事になる。
てか、他の国だって結構点在してるわけだ。
今んとこ、ゴブリン達の攻撃が
この五ヶ国だけとは言え
ガチ攻撃になれば他の国も狙われる可能性もある。
だから、これ以上は悠長に構えられねぇ。
「さて、集まったのぅ騎士団長とやら達が」
「……」
集まった国の五ヶ国、バスロミア、シャンデルナ
ビステック、ラングレー、ギルフェリー、この五ヶ国。
騎士団長はバスロミアがシャナ、
シャンデルナはリーデルフォン、
ビスティックはシャーリス
ラングレーはジーニス
ギルフェリーはイリス。
各代表で知っておくべきなのは
バスロミアがフェイト
シャンデルナがジュリアだろう。
他の代表は副騎士団長だからな。
シャンデルナとバスロミアだけが特殊ってだけだ。
しかしなぁ、各騎士団長も格好が結構違う。
総じて鎧は着けてるが、重視してるのが違うのか
シャナは滅茶苦茶ゴテゴテの鎧だ。
ズボンみたいな形になってる。
この形状はシャナとシャーリスだけだな。
まぁ、シャナの鎧はほぼ縛りだからな。
鎧ねぇ方がつえぇからな、シャナ。
リーデルフォンの鎧は結構軽装だ。
鎧があるのは急所となる胸部と足下だ。
腰当りの鎧はミニスカートみたいになってる。
移動能力特化ってのがよく分かる。
ジュリアは魔法使いっぽく鎧何も無い。
黒い魔女服で、結構色んな所に可愛い装飾がある。
本来なら騎士という戦う役目じゃねぇからだな。
可愛い装飾はジュリアの趣味だろう。
で、シャーリスもかなりゴテゴテした鎧。
だが、シャナと違うのは腹部辺りに鎧が無い事だ。
そこはインナーみたいな黒い服になってる。
ズボンの形状もシャナは前後に鎧があるが
シャーリスは正面にはあるが、裏側には無い。
裏側は何故か素肌が見えてる、褐色のな。
脇にも鎧が無く、ここからも褐色の素肌が見える。
見えるからなのか、脇毛とかはねぇ。
そこら辺は手入れしてるんだろうな。
「何よ」
「いや、何でも無いぜ」
ふと思って、フェイトの方を向いたが
フェイトも脇毛は見えてねぇ。
「なぁ、何で腋見せてんの?」
「はぁ? 何をいきなり馬鹿な質問を」
「いや、なんか気になって、趣味かなーって」
「違うわよ、蒸れるのよ、冒険とか訓練してると
どうしても熱くなるのよ……」
なる程、だからフェイトも腋見せスタイルだったのか。
大体暇な時は訓練してるから、大体脇見せなのね。
たまーに出さないときは、完全オフって事かな。
んで、ジーニスは結構お洒落な鎧だな。
鎧は胸辺りだけで、肩にも大きな鎧がある。
腹部は青色のインナーだな。
しかし、何故かヘソから下は見えてるのだ。
下はロングスカート状の鎧になってる。
インナーが青色なのは髪の毛が青色だからかな。
今回は誰も兜を着けてないから分からないが
最初見たときは帽子だったな、ジーニスは。
で、イリスは真っ白の鎧が特徴的だよな。
イリスは上半身は全て鎧で包まれてる。
腹部も見えてないし、インナーも見えない。
ただ良く動く場所には鎧無いな。
インナーも白いし、白が好きなのだろう。
髪の毛も若干白いが白さはシルフの方が上だ。
シルフは純白の白だが、彼女は銀色っぽいな。
鎧はミドルスカート形、やはりスカートがブームなのか。
僅かに見えてる足下には鎧が無い。
ロングスカートで良いだろうが、
少し生足見せたかったのか?
真っ白く綺麗な肌がよく見えてる。
「ふむふむ、こう見ると結構全員の鎧が特徴的だ」
「そりゃそうでしょ、鎧は国によって違うし
騎士団長クラスってなると
他の兵士と違うオーダーメイドの鎧になるわ。
そりゃ当然、個性が出るわよ」
そりゃそうだな、そんでこの状況で違和感があるのは
やはり鎧を何も付けてない俺達だよな。
特にジュリアは特徴的な魔女服だし。
「うぅ、あたし、浮いてない?」
「うむ、浮いておる」
「そ、そうよね、だって凄く見られてるもん!
マグナさんの次ぐらいに見られてる気がするもん!」
実際、騎士団長達の視線の大体は俺達に向ってる。
特に俺、いやうん、だって男だからな。
それに俺達は全員防衛に参加してたりするし
そりゃ注目されるのは当然だ。
で、その次に注目されてるのはジュリアで
その次くらいがシャナって感じだ。
「気にしちゃった? ごめんね
あなたみたいなザ・魔法使いって初めてで」
ジーニスが少しだけ恥ずかしそうにしてる
ジュリアに向って謝罪をしてる。
口調は結構軽い感じだからな、この子。
「あぁ、お前の様な魔法使いを見たのは
俺達は初だからな」
男勝りな口調、これはシャーリスだ。
軍事国家だからなのか、結構男っぽい。
本人曰く、男として育てられたらしい。
確かシャンデルナの領主も男として
育てられてたらしいが、丁寧口調だった。
だが、シャーリスはまさに男口調だ。
教育が成功した場合、こうなるのかもな。
しかし、意外と男として育てられてるケース多いな。
まぁ、男の数が少ないからなぁ。
それに男の方が扱い良いしそう言うのもあるのかねぇ。
「全くですわ、可愛らしい衣服など羨ましい限りですの」
お嬢様口調って、最近よく聞いたりするが
結構トゲのあるお嬢様口調は初めてなきがする。
まぁ、容姿からしてお嬢様って感じだしな、イリス。
全体的に真っ白だし、てかこの子は
地味にシルフにも嫉妬してたりするし、意外と嫉妬深い。
彼女はシルフみたいな白い髪の毛が良かったらしい。
しかし、決して染めないという謎の意地もある。
母親から貰った容姿を否定したくないらしい。
つまり、彼女の髪の毛は母親の遺伝だ。
「ジュリアの衣服は我々シャンデルナが誇る
魔法ギルドの幹部が纏う制服なのです。
装飾などは彼女の趣味ですけどね」
「だ、だって、可愛い方が良いし……
それにほら、許可は貰ってるし!」
「ふふ、その方が仕事に精が出るという物です。
何も否定などはしません。
重要なのは衣服では無く心意気ですからね」
「シャナは相変わらず真面目だな、おい。
ま、俺も部下の格好に対して興味はねぇが
軍である以上、鎧は統一した方が良いと思うぜ」
「それは私も理解してるさ、私も部下には
同じ鎧で統一してる。兵士である覚悟でもあるからな。
だが、彼女の場合は軍人では無い」
「あー、そうなのか? シャンデルナの副団長かと思ったが」
「いえ、ジュリアは魔法ギルドの幹部です。
魔法騎士団には所属しては居ますが
有事の際に呼び出す事があるくらいで
本質的には研究者ですよ」
「よ、よろしくです……」
「研究者ねぇ」
バリバリの武闘派が多い状況だからな。
そりゃまぁ、研究者のジュリアは珍しいだろう。
「まぁ良いか、で、シャナ
フェイトがここに居るって事は
バルキリー部隊に入ったのか?
俺が勧誘しても頷かなかったのに良く入ったな。
だが服が違うし、妥協して入れたのか?」
「いや、フェイトはまだ所属してない。
今のフェイトはマグナ殿の護衛であり
実質冒険者のままだ」
「護衛? あ、あいつに必要なのか? あぁ、規則か」
「そう、規則だ、だがフェイトも楽しそうにしてるし
悪い事は何も無いさ」
「なる程、ではまだ私の部下になる可能性はあるのね」
「いやいや、私の部下にするから」
「いや、俺の部下にするぜ!」
「その、なりませんよ? あなた達の部下には。
と言うか、私ってバスロミア所属ですし……」
フェイトって他の国の騎士団長達からも狙われてたのか。
やっぱり強い女の子って浸透してるんだなぁ。
「流石はフェイトじゃな、まぁ当然じゃろう。
主の強さは筋金入りじゃからな。
そうじゃ、1つ聞きたいことがあるのじゃ。
この中でフェイトは何番目に強いのじゃ?
無論、儂とマグナとシルフは除いてじゃが」
「素晴らしく挑発的な質問だな。
まぁ、シャナが1番なのは確定としてだが
他の奴らは眼中にねぇから俺が2番で
次にフェイトだろうよ」
「はぁ? シャナが1番である事と
フェイトが3番目に強い事に対して
決して異存はありませんが
2番目は私に決ってますわ!」
「いやいや、やっぱ私が2番目でしょ
3番目がフェイトだって」
総じてシャナの評価クソ高ぇなぁ
全員、シャナが1番だと言う事に対し
何の異存もないって言うのが良く分かる。
そんで、フェイトの評価も馬鹿高ぇ
自分よりは弱いだろうけど
自分の次くらいに強いって確信があるんだな。
「いや、2番は俺だ! 証明してやろうか?」
「やりますの? 上等ですわ!」
「いいじゃん、面白い!」
「落ち着け、喧嘩をしてる場合じゃ無いだろう?
模擬戦はゴブリンを掃討できた後だ!」
「うぐ」
「そ、そうですわね」
「あはは、まぁそれが1番だよね」
シャナの一喝であっさりと他の騎士団長が止まった。
やっぱりシャナが1番評価されるって事だな。
「ふむ、儂としては結果に興味はあるが
ここで無駄な時間を過ごすのは良くないか。
では、会議とやらを始めるか」
「あぁ、その為に集まったわけだからな」
今回は重要な話し合いだからな。
時間も無いし、あまり時間は掛けられない。
さて、一応俺も作戦ってのを聞いておこう。
考えるのは苦手だからあまり何も言わねぇがな。




