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力こそ全てのハーレム世界、世界最強のハーレムライフ!  作者: オリオン
第5章、番外編、シャンデルナの攻防
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訓練の時間

兵士達の訓練をしながら

私自身も訓練を続けた。

魔法は相変わらず使えないままだけど

それはこの際、大した問題では無いわ。

この状況で私が魔法を使うのは

実はあまり良い訳じゃ無いしね。


「……」


マグナ、早く帰ってこないかしら。

訓練の後、家に戻って

そんな事を思うようになってきた。

何故、こんな気持ちになるのかは分からない。

いや、理由は分かってるはずよね、うん。

不安だからよ、それ以外にありえないわ。


ゴブリンの襲撃がいつあるか分からない

そんな状況だし、確実に戦力的に安心出来る

マグナ達が居てくれればって思ってるからよ。

マグナ達が居れば余裕で決着付くはずだしね。


「マグナ様、いつ帰ってくるのかしら」

「そうね」


兵士達の弓矢の精度も上がってきてるけど

戦力的にはあまりにも不安なのよね。


「まぁ、今日は休みましょうか」

「えぇ」

「うー、魔法魔法……殲滅特化の魔法」


後片付けをするために訓練場に入ると

そこではジュリアちゃんが魔法の練習か

案山子に向って魔法を撃ってる姿があった。


「ジュリアちゃん、案山子相手じゃ

 練習にならないでしょ?」

「あ、あはは、わ、分かるんだけどね……

 でも、案山子以外に試せないって言うか

 ひ、人に向ってやっちゃうと大怪我確定だし」


そりゃね、あの攻撃力だからね。

人相手に練習できるはずも無いわ。

ドリーズとかなら練習相手になってくれそうだけど

私じゃ、ちょっと無理だしね。


「でも、こんなの思い付いたよ! 見ててね!」


そう言って、ジュリアちゃんが炎を手に纏わせて

案山子に手を触れた。


「インフェルノ!」


魔法名を唱えると同時に案山子が内側から燃え上がる。

決して表面から燃えていったわけじゃ無い。

どう考えても、内側から燃えていった。


「はい!」

「な……う、内側から」

「うん、相手を内側から焼く魔法!

 これなら消耗を結構抑えながら

 黒ゴブリンを倒せる……と、思ったけど

 接近するの難しいからなぁ」

「オリジナルなの?」

「うん、オリジナル魔法。

 どうすれば再生能力が厄介な相手を

 確実に倒せるか考えて閃いた後

 徹底的に自分を追い込んで完成させたんだ」

「追い込む? なんで?」

「極限状態の方が集中出来るからだね。

 がむしゃらになれば意外と出来るんだ。

 あたしは今までの経験でそれを知ってるからね。

 新しい魔法を作りたいときはそうするの。

 凄くしんどいから出来ればしたくないけど

 そんな事を言える状況じゃ無いからね」


凄いわね、流石はジュリアちゃんとしか言えないわ。


「因みにどんな事をしたの?」

「寝ない」

「むしろ集中力が削がれそうだけど!?」

「うん、でも10日位で逆に集中出来るようになるの」

「む、無理しないでよ?」

「無理しないで良い状況じゃ無いからさ。

 あたしはあたしに出来る事をしたい。

 マグナさんが居てくれれば

 無理はしないで良いんだけどね」


本当にこの子は……ま、ドリーズが気に入ってる子だしね。

そして、マグナだってこの子を明らかに気に入ってる。


「でも、殲滅力はあまり確保できてないんだよね。

 フレイムアローが最高殲滅力のままだよ

 攻撃力は確保出来るようになったんだけどね」

「いや、黒ゴブリンに対処出来る人員が増えるのは

 私からしてみればかなりありがたいから良いわ。

 爆弾矢も30本程度しか無いしね」

「次の襲撃が最後かもって事だね」

「そうよ、だからジュリアちゃんが

 黒ゴブリンを確実に倒せるなら

 そっちの方がありがたいわ」

「そうだね、だって高いんでしょ? 爆弾矢」

「そうよ、滅茶苦茶高いわ」

「大変だよね、フェイトさん

 でも大丈夫だよ、次は楽できるよ」

「楽? どう言う事?」

「えっへっへ、それは後で教えるよ!」

「すっごく気になるわね……まぁ良いか。

 ねぇ、ジュリアちゃん」

「え? 何?」

「格闘技してみない?」

「え!? な、なんで!?」

「インフェルノは接近しないと駄目な魔法でしょ?

 なら、接近戦に多少の心得があった方が良いわ」

「え? いいよ、そんな」

「明らかにカウンターとして優秀な魔法よ、それは。

 その魔法を生かし切れないのは良くない。

 だから、いざと言う場面で助かるためにも

 格闘術の多少の心得を学んだ方が良いわ」

「でも」

「私が教えてあげる。それ位は役に立てるから」


インフェルノは相手に触れて体内から焼く魔法だ。

触れなければ発動することが出来ないのは明白。

多少の格闘技術があれば接近された場合に

無意識に体が反応し、対処出来る可能性もある。

最大の自衛手段を無駄にするのは勿体ないわ。


「でも、で、出来るかな……あたしに」

「自信ないの?」

「うん、だってあたし、運動苦手だから。

 小さい頃はそれでよく虐められてたんだ。

 ちょっとトラウマ、今はそうでもないけど

 でも、その頃の記憶で運動には少し苦手意識が」

「うーん……なら、そのトラウマを乗り越えましょう。

 大事よ、挑戦は。大丈夫よ、付きっ切りで教えてあげる」

「……じゃ、じゃあ、す、少しだけお願い」

「えぇ、じゃあちょっと待ってて」


マジックバックからマットを取り出して用意した。


「なんでそんなのあるの?」

「マグナやドリーズに格闘技を教えて貰うときに

 もしかしたら使えるかなーって思ってね」

「お、教えて貰おうとしてたんだ、てかマグナさん

 か、格闘技って扱えるの?」

「えぇ、あいつ脳筋だけど技巧派なのよ。

 いや、マジでビビったわ、最初驚いたし」

「力じゃ無くて?」

「力じゃ無いの、だって私の力が入らなかったんだから。

 力で対抗して負けたんじゃないのよ、あれ。

 力での対抗出来なくて負けたのよ、私。

 マグナ曰く合気道とか言う技術らしいわ」

「そんな技術があるんだ」

「えぇ、更に確か柔道空手なんでもござれ

 テコンドーでもシステマでもシーキューシーでも

 なんだって出来るぜーとか言ってたわ」

「な、なんだろう、その聞き慣れない単語…」

「さぁ? 私もよく分からなかったけど

 とりあえず格闘術らしいわ」


あいつ、なんで戦う事に関してあそこまでヤバいの?

剣術だってあいつ滅茶苦茶高レベルだしね。

結局、まだ私はあいつに剣での一撃を浴びせてない。

何度やっても防がれるし弾かれる。

しかもゴリ押しで負けたわけじゃないからね、全部。

全部完全に技術で負かされてる。何なのあいつ

マジ何なのとつくづく思うわ、マジ何なの?


「き、筋肉もりもりのマッチョマンなのに

 技術も凄いって……戦いの天才なのかな」

「天才……なのかしら? そんな気はしないのよね。

 だって、技の細かい部分を解説してくれるのよ。

 感覚で! とかは、殆ど聞かないのよね。

 ここはこうして、ここはこうと

 滅茶苦茶細かく教えてくれるわ……覚えやすい」

「へぇ」


そりゃ、あの肉体は天性の物なんだろうけど

あの技術は天性の技術では無いのが分かる。

そう、長い月日を掛けて磨き抜いた技術。

そんな感覚さえ感じるわ。

あいつは自分の技術を完璧に知ってるからね。


「まぁ、それが理由で私はマグナ式の

 格闘術を結構教えて貰ってるから

 それをあなたにも教えようと思うわ」

「う、うん、ありがとう」

「よし、じゃぁ来なさい」

「うん!」


ジュリアちゃんにマグナから教わった格闘術を

徹底的に教えてみることにした。

本来休もうとしてたけど

ジュリアちゃんのインフェルノを

最大限に生かすには必要な事だしね。


「はい」

「あぅ!」

「どう? 力は入りそう?」

「だ、だめ、ま、全く入らない!

 い、痛くないのに! 大して痛くないのに!」

「これで相手を制圧できれば

 力が多少上程度の相手なら圧倒できるわ。

 正しマグナクラスは除く」

「そ、そりゃそうだろうね……

 よ、よーし、も、もう一度!」

「えぇ、来なさい、今度はあなたが掛けて見て」

「うん! 行くよ! フェイトさん!」


今度は私がわざと受けてみたけどまだね。

もうちょっとだけ甘いわ。


「ど、どう!?」

「駄目ね、これ位なら」

「う、うぅ! お、押し返される!」

「ほら、このままだと押し返すのは簡単よ

 もうちょっと角度が違うわ。

 もう少しだけ私の腕を上に無理矢理上げて」

「こ、こう!?」

「そうそう、これなら力が入りにくいわ」

「出来たって事かな!?」

「うん、でも抜け出すのはまだ簡単だから

 これで完璧とは思わない方が良いわ。

 こんな風に動かれると」

「あ、きゃぁ!」

「はい、逆に制圧されるわ」

「うぅ、腕が動かないぃー!」

「はい、じゃあ次はこの対処ね

 と、言いたいところだけど、そろそろ遅いわね。

 また明日、嫌じゃ無かったら言って頂戴」

「ありがとう、フェイトさん。あたし頑張って見るよ」

「えぇ、お互いに頑張りましょう」


今まで教えて貰ってばかりだったけど……

ふふ、誰かに教えるって言うのも、良いわね。

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