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力こそ全てのハーレム世界、世界最強のハーレムライフ!  作者: オリオン
第5章、番外編、シャンデルナの攻防
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苛烈な戦い

本当に私は甘えてたんだって理解できる。

そして、この国も同じ様に甘えてたのだと。


「クソ、数が!」


上空から岩が飛んで来ることはなく

軽く空を見上げるとドラゴンの姿。

そう、私達は護られてるはずなのよ。

ドリーズの部下である、ドラゴンによって。


小さいドラゴンの様な影も見える。

あれは何? 今まで見たことは無かった。

だけど、ドラゴンの一種なのは分かる。

だって、仲良くドラゴンと並んでる。


「こんなの……今まで!」


今回の襲撃による被害はかなりの物だ。

私だってかなり攻撃を喰らってる。

回復魔法でなんとか持ってるけど

本来なら、もう私は死んでてもおかしくない。


「はぁ、はぁ、はぁ」


私の矢は結構減ってきてるのが分かる。

通常の矢は相当持ってるけど

その数もかなり少なくなってきた。

それなのにゴブリンの数が多い。


奇跡的なのか必然なのか

兵士達の死傷者は未だに0ではあるけど

このままだと私達のスタミナ切れが確定する。

ドラゴンたちに守られてるこの場面だというのに。


「くぅ!」


そうね、正直言うと……兵士の練度が悪い。

シャンデルナの兵士の質はバスロミア以上だと

そう話を聞いてたけど……

いざ、一緒に戦ってみると確実に劣ってる。


えぇ、理由は簡単に予想出来るわ。

実戦経験が足りてないんだってね。

恐らく今までの戦いはほぼ魔法でケリが付いてた。


ジュリアちゃんの火属性魔法の殲滅力や破壊力を見ても

高い適性を持つ魔法使いが居ると言うのは

それだけでとんでもなく有利なのだと。


そりゃそうよ、女が男に勝てない理由の殆どが

その魔法という部分。

シャナさんクラスにまで

徹底的に鍛え上げれば、そりゃ相手が魔法使いでも

圧勝するのは目に見えてるけど


私クラスに鍛えた程度じゃ、魔法を使える男相手じゃ

状況次第じゃ敵わないってのは分かる。

それだけ、魔法の優位性は大きい。


「この!」


それだけの力を持つ仲間が居るというのに

真面目に自らを鍛え上げる兵士がどれ程居る?

当然、バスロミアでも同じ事が言えるけどね。

シャナさんという圧倒的に強い騎士団長が居る国。

ドラゴンさえ1人で撃退する圧倒的な実力者。


だけど、シャナさんは兵士を激励し常に鍛えさせてる。

でも、あそこまでのカリスマ性を持つのは難しい。


「このままだと追い込まれるか…」

「ま、魔法を使ってよ! もっと!」

「しかし!」


更に不幸な事にこのシャンデルナの騎士団長は

魔法を使えてしまうんだ。

その魔法を使える騎士団長に激励されたところで

下に付く兵士達は本気で努力しない可能性がある。


……シャナさんの選択はほぼ確実に正しかった。

シャナさんがこのシャンデルナに来れば

ほぼ確実に魔法を会得できたでしょう。

でも、それは同時に部下達とは

全く違う領域に到達してしまう事になる。

どう足掻いても到達できないような相手に。


えぇ、シャナさんは既に他の兵士達とは別次元よ。

でもね、あれはシャナさんが自らを徹底的に鍛え上げ

努力の末にあの境地に至っているのを兵士達は知ってる。

同時に努力で体得した技術なのだから

シャナさんは部下達に教えを説くことも出来る。

だけど、魔法は違う。これは才能が大きく影響する。


才能ありきの能力であり

殆どの才能の無い兵士達はその才能だけで

上に立ってる相手に対し、憧れを抱く可能性が低いわ。


所詮、魔法が使えるから凄いだけだと。

所詮、自分は魔法を使えないのだと。

追いかけるだけ無意味な存在なのだと。

基本的に人は憧れが無ければ努力をしないし

憧れても無い相手に激励されても

また言ってるよ、程度しか思わないだろう。


今もそうよ、魔法を使えない兵士達は……甘えてる。

魔法を使える魔法使い達がこの状況を打破してくれると

そう思ってるし、自らで打破しようとしてない。


「あんたらは私達と違って魔法を使えるんだから!」

「そうだ! 魔法を使ってよ!」

「も、もう動ける状況じゃ!」

「私達と違って才能があるんだから!」


……あぁ、なんだろうな……聞き慣れてる気がする。

私が集団が嫌いだった理由の1つだった。

えぇえぇ、そうよ、不平不満は普通なのよ。

えぇ、聞くのは……慣れてるはずなのに……

なのになんで、なんでなんで私は今!


「……あんたらぁああ! 甘えんなぁぁあ!」

「ッ!?」


限界だった、何故ここで私がキレてしまったのか。

今までの私だったら、ここで大声は上げないわ。

そんなの関係無い、私は私って感じで

私は私に出来ることをやってただけ。

でも、今の私は大声を上げてしまった。


「文句ばっかり垂れてる暇無いでしょうが!

 あんたらは魔法使える奴らの付属品かっての!

 文句ばっか垂れて!

 そんなの! 男の付属品と大差無いわ!

 そんな精神で兵士なってんの!?

 腑抜けに守られてる国民は災難よ!」


私が何にキレてしまったのかはきっとそこだ。

今の兵士達は男の付属品である女の子達と変わらない。

私はそれがどうしようも無く嫌だった。


「あんたになにがわか!」

「えぇ分からないわよ! あんたらの気持ちなんざね!

 どうせ! 今まで全部、魔法使い様が解決してくれて!

 自分達は何もしてこなかったんでしょう!?

 私は絶対にそんなの嫌だから鍛えてるわよ!


 滅茶苦茶強い筋肉ゴリラと一緒に居るせいか!

 余計に惨めでしょうがなかったからね!

 でも、努力は怠ったことは無いわ!


 なんもしなきゃ、私はあいつの付属品!

 私はあいつの付属品のままで良い訳無いってね!


 その差! ちょっと見りゃ分かるでしょうが!

 あんたらは何体仕留めた!? 私は1000体は仕留めた!

 私はあんたらと同じで魔法使えないってのに!」

「うぅ!」


私は別にあいつの事を嫌ってるわけじゃ無い。

それは、自分の今までの行動を思い返せば分かる。

だから、私はあいつの付属品のままでは居たくなかった。

ハーレムだとかに入るつもりは無いけど

せめて、友人にはなりたいって思ったから。


「鍛えてりゃ強くなれる! なのに鍛えてなかった!

 それなのに守ってくれてた奴らに文句垂れんな!

 今でも死ぬ気で戦えばちったぁ役に立つ!

 文句垂れることに頭使ってる暇があんなら!

 剣握ってゴブリン共ぶった切る事だけ考えろ!

 弱い私より弱いあんたらの代わりに

 色付きは私が何とかしてんだから!」

「フェイトさん……」

「後! 爆弾矢と弾丸! 滅茶苦茶高いのよ!?」

「フェイトさん! 台無しだよ!」


意外と私がイラッとしてるのはそこもあったかも。

も、もう30本しか爆弾矢が無いし

銃弾も後、10発しか無いわ……青いのは銃じゃ無いと

結構厳しいから、非常に消耗が激しいし。


と言うかなんかシリアスなままは少し抵抗があった。

これもそれも! 全部マグナのせいよ!


「とにかく剣を持って戦えば良いのよ!

 緑の奴はどうとでもなる!

 しんどいだけなら無理矢理動けば良いのよ!

 死んで無いんだし、重傷でも無いんだから!」

「……後で奢らせてください、フェイトさん」

「そりゃ嬉しいわ! じゃあ、生き残ってよね!」

「はい」


半数くらいの兵士達が剣を構えてくれた。

そして、私は青いゴブリンとかの

色違いへの攻撃を再開した。

その後、どれだけのゴブリンを屠ったのか忘れたけど

……ま、まぁなんとか切り抜けたわ。


「はぁ、はぁ、はぁ」

「はぁ……はぁ……」

「ケホ……ふ、服ボロボロ……」


今回の襲撃で私は何度も斬られた。

最悪、死にそうな怪我もしたりしたけど

ジュリアちゃんと獣人種という種族特性で

なんとか生き残る事が出来たと言えるわ。


「ふぇ、フェイトさん、だ、大丈夫……?

 な、何度も切られたり刺されたり……」

「ジュリアちゃんのお陰で、な、なんとか……」


兵士達の死傷者も襲撃の規模にしては少なく

数十人程度の戦死者で済んだ。

……その死傷者に私は含まれないで助かったけど

ジュリアちゃんが居なかったら死んでたわね。


本当に……痛感するわ、徹底的にね。

マグナ達が居ない……それだけでこの被害。

ドラゴン達の支援があり、投石が無く

色付きのゴブリンも少なくなってたはずなのに。

練習程度の規模の戦いで、死傷者が出てしまう程。


マグナ達が居るときはドラゴンも居ないし

色付きゴブリンも多く、投石まであったのに

被害は全く無かった……本当にレベルが違うわ。

あの3人が居るか居ないかでここまで違うんだから。


「フェイトさん、ゆ、指が……」

「さ、散々撃ったしね、か、皮も剥がれてる。

 ま、まぁ、指が無くなったわけじゃ無いし」

「……」


結局、1番ゴブリンを屠ったのは私だった。

その次にジュリアちゃんだ。

他の魔法使い達は先に魔力が切れた。

これで、長期戦に対して弱い事が証明されたと言える。


えぇ、当然よね、魔法を扱えたとしても

鍛えてなければ最強という訳でも無い。

努力というのは、やはりどんな奴でも必要なんでしょう。

やっぱり、ドリーズの考えは正しかったのかもね。

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