殲滅後の護衛
さて、ゴブリンの数は結構居たが。
「まぁ、こんなもんかな」
ものの数分で、その全てを排除した。
例えどれだけ強くても俺が最強だ。
絶対的な強者って奴にゃ
数じゃ敵わねぇって証明になったろ。
「やれやれ、ほぼ儂らがやったのぅ」
「ドリーズ、避難はどうだ?」
「負傷者は救った、鮮血の臭いを辿ってのぅ
後は知らぬ、周囲に湧いておる
ゴブリンを全て排除したまでじゃ」
「あの金色のは?」
「ステルスゴブリンじゃな、姿を消せる。
正確には体の色を自在に変えるのじゃがな。
カメレオンのような奴じゃ。
姿を見せるときに金色になっておるのは
奴らの自己顕示欲じゃよ」
「ただの趣味かよ」
元々そう言う色って訳じゃ無くて
自己アピールでその色になってるのか。
「奴らは透明になっておる状態では攻撃出来ぬ。
理由は透明になるという意識以外を持つと
透明になれぬからじゃな。
攻撃をしようとすると自己顕示欲が出て来て
どうしても金色になってしまうのじゃろう」
「よく知ってるな、何処情報だ?」
「母じゃ、母が教えてくれた」
「お前の母さんはドラゴンなんだろ? なんで知ってる」
「さぁのぅ、ゴブリンの女王に友達でもおったのかもな」
「格が違うと思うが……」
まぁうん、本人の意思だし何も言わないけど。
「まぁ良いか、周囲のゴブリンは終わったんだろ?」
「うむ、今回は相当な規模じゃ、
ラーバスゴブリンもおるとは」
「なんだそれ」
「オレンジの奴じゃ、分裂する奴」
「はぁ、ありゃどうなってるんだ?」
「黒ゴブリンの強化個体という感じじゃな。
再生能力が高すぎて分裂しても
即座に別の個体として再生するのじゃ。
コアも無く、撃破する方法は
木っ端微塵にするしか無い」
「じゃ、雑魚だな」
「うむ、焼き払えば終りじゃしのぅ」
だが、俺達以外じゃ高火力の魔法を使えないと
早々撃破することが出来ないって事だよな。
「じゃが、兵からすれば相当厄介な相手。
幸か不幸か、ラーバスゴブリンはあまり数がおらぬ。
黒ゴブリンの強化個体じゃからな。
まぁ、今回の襲撃では分からぬが」
「今までの襲撃でも居たんだな」
「うむ、厄介な存在ではあるが寿命は短く
大体は過剰再生で死んでおるがのぅ」
「それも見てたのか?」
「うむ、人の国を支配した後に
大体のラーバスゴブリンは死ぬようじゃ。
儂もラーバスゴブリンが死ぬ様を見ておる」
長い間生きてるから、知識量スゲーんだな。
マジでこいつが居ると色々と頼りになる。
情報という点ではこいつが1番だろう。
「して、シャナは?」
「この国の王の所に行った」
「うむ、賢明な判断じゃ」
そんな会話をしてると後ろの防御魔法が解除され
シルフが俺達の方へ歩いてきた。
同時にドリーズが動き出してシルフに攻撃をするような
そんな動作を行なう。
「へ!?」
「うむ」
何故シルフに攻撃するような動きをしたのか
それを理解してる俺は特に怒る事は無かった。
別にドリーズはシルフに攻撃をしたわけじゃ無い
シルフの背後に出て来た金ゴブリンを攻撃しただけだ。
俺も気配は感じたが、気配の探知で言えば
俺よりもドリーズが早かった。
こいつは俺よりも早くに反応したわけだしな。
しかし、ドリーズが撃破したそいつは金色では無く
黄緑色のゴブリンでしか無いな。
「こやつらにも教育をしておったか」
「姿を隠してたが……やっぱり攻撃時には気配感じるな」
「き、気付かなかった……あ、ありがとうドリーズ」
「何、儂が動かなかろうともマグナが動いたじゃろう。
気配探知が儂の方が僅かに早かったまでじゃよ」
「流石は野生に生きてただけあるよな」
「まぁ誤差じゃがな」
そう言いながら、ドリーズは城の方を見た。
「シャナの奴はこの国の長を守れておるかのぅ」
「大丈夫だろ、だってシャナだぜ?」
俺達の言葉の後、最上階からゴブリンが落下してくる。
落下したゴブリンは遠目で黄緑色に見えた。
「やはりおったというわけじゃな。
今更落下したと言う事は、身を潜めておったか」
「だな、急いで合流するか」
俺達は軽く急いで階段を上がって上階へ向う。
そりゃ、窓から入れば良いんだが
俺達は喧嘩しに来たわけじゃ無いからな。
あまり馬鹿な事をして心象を悪くさせるのはな。
「っと、ここか」
急いでゴブリンが落ちてきたであろう部屋を開け
中の状態を確認した。
「おや、マグナ殿、と言う事は外は終わったのですね」
「あぁ、なんとかな」
シャナの剣に黄緑色のゴブリンが刺さってる。
少しして、そのゴブリンの姿が消えた。
「ラーデル殿、お騒がせして申し訳ありませんでした」
「い、いや、お陰で助かった」
ラーデルと言われてたって事は彼女は国王なのか?
鎧をガッチガチに着込んでるから兵士かと思ったが。
まぁ、軍事国家のトップだからな、戦うのかも知れない。
「申し訳無い、折角来ていただいたというのに
このような事に巻き込んでしまって」
「いえ、お役に立てたようで光栄です」
そう言ってお辞儀をしながらシャナが短刀を引き抜き
隣の部屋に向って投げる。
シャナが投げた短刀が空中に静止し、少しして
黄緑色のゴブリンが姿を見せ、倒れた。
シャナが投げた短刀は、そのゴブリンの眉間に刺さってる。
「やはり凄まじい能力じゃな、流石はシャナじゃ」
その様を見たドリーズが満面の笑みでシャナを褒める。
ありゃ凄いな、気配の探知能力で言えば
俺以上は確定として、下手すりゃ、ドリーズ以上だ。
絶対的な肉体を持ってる俺達は
別に不意打ちを食らっても大した事ねぇが
シャナは違うからな、気配探知能力が高いのは当然か。
「しかし、どうやらまだあのゴブリンが居るようです。
未だに非常に危険な状態です。
よろしければ、私にあなた様のを護衛させて頂きたい」
恩着せがましい事をすることは無く
シャナはラーデルにお辞儀をしてそう呟いた。
決して膝は付いていないが、
跪くをする相手はバスロミアの王族だけなのだろう。
「願っても無い申し出だ、よろしく頼む、シャナ」
シャナが跪かない事に対し
ラーデルが何かを言うことは無かった。
彼女は決して自らに対し跪く事は無い。
それを理解してるのかも知れない。
「じゃあ、しばらく待機するしか無いか」
「うむ、警戒しておこう」
とは言え、気になるのはシャンデルナだな。
姿を消すような奴が居る訳だ、
フェイト達が心配になってきた。
大丈夫だと良いんだがな。
クソ、こんな事なら連れてくれば良かったぜ。




