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広がる被害

ドラゴンの背中に乗って

ヴィステック王国へ到着だな。

マジで楽だなこれ、迷わないのは良い。


「さて、どうやら騒ぎになっておる様じゃ」


そして、上空だから分かるが

丁度こっちもゴブリンの襲撃を受けてるな。

高い防衛能力を持っていると言っても

流石にドラゴンの守護が無い以上

被害は甚大になっちまうのは当然だ。


「城壁もボロボロ、じゃが兵は戦っておるな」

「このままでは不味いですね、加勢しましょう」

「いや、儂らの役目は」


ドリーズが左から飛んで来た巨岩を砕く。

そして俺も右から飛んで来た巨岩を砕く。

背後から来ていた巨岩はシルフが防いだ。


「あの白い奴らを潰す事じゃ」


そう呟くと同時にドリーズが移動した。

瞬間的な移動であり、周囲に結構デカい音が響いた。

同時に周囲に展開してた白ゴブリンが全滅した。


「ふん、グズ共め」


かなり八つ当たり気味だったが

なる程ね、あれがガチでやった時のドリーズか。

流石に機動力特化なだけはあるな、瞬殺か。


「全く腹が断つ」

「やっぱり部下がやられたからか、相当キレてるな」

「当然じゃ、儂の部下を殺したのじゃ

 それ相応の報いは与えねばならぬ」


部下に対してスゲー愛着があるのは分かるが

人の国は殆ど被害を受けてないんだよな。

理由は恐らく、定期的に間引いてるからか。


自分達が殺されない程度に間引いてるから

人相手に大した被害は受けてないって感じかな。


「まぁ良い、邪魔な白ゴブリンは排除した。

 これで人の国への被害は抑えられるじゃろう」

「外壁を突破されてる状況ですし

 白ゴブリンを排除したとしても被害は」

「いや、この国の練度であれば問題は無いはずじゃ」


ドリーズは部下からここの兵士達の強さを聞いてるからか

ここの兵士達の実力を信じてるようだ。


「それに、ここからは降りて行く必要がある。

 流石に儂の部下に乗ったまま接近は良くない」

「さ、左様ですね、地上へ降りましょう」

「うむ」


ドリーズのアドバイスを聞いて、俺達は地上に降りる。

シャナは他の兵士達とは違って

ドラゴンから降りる際、当たり前の様に飛んで降りた。

着地もほぼ不動で全然余裕そうだってのが分かる。


まぁな、ドラゴンの背中に乗ってる状態でも

一切バランス崩してなかったしな。

体幹とかもしっかり鍛えてるんだろうな。


「っと、じゃ行くか」

「はい」


シャナが周囲を警戒して左手で小さな短刀を抜き

右手に拳銃を構えた。


「拳銃使うのか?」

「えぇ、大きな音が聞えるというのは

 我々の存在をアピールするには丁度良い。

 短刀は不意を突かれた際に対処する為ですが

 前衛は基本的にマグナ殿にお任せしますし

 必要は無いと思いますがね」


拳銃を使うのは自分達の存在アピールと

俺が前衛だから、後衛用の装備を構えたと。

短刀は不意打ちだが、多分投げるんだろうな。


「用心深く歩むのは必要な事じゃしな。

 まぁ、儂らがおるし武器を構える必要など無いが」

「えぇ、分かってますが

 油断はどんな場面だろうとも大敵。

 あなた達が強いのは間違いありません。

 ですが、強力過ぎても弱者を救えない場合があります。

 強すぎて危険に少しだけ無警戒になりかねない。

 その為、私の様な弱者が弱者の救出には必要でしょう」


謙遜してるが、まぁ確かに俺達の中では

シャナが1番弱いのは間違いない。

同時に俺とドリーズは強すぎるが故に

警戒心が少し緩いかも知れねぇ。


とは言え、俺は絶対にシルフを守ると決めてるし

自分達に近付いてくる奴には気付くと思うがな。

だが、観察眼という分野で言えば

シャナは最高クラスだろうしな。


「謙遜するのぅ、まぁよい、主が言いたい事は分かった。

 不意打ち対策と救命活動をしようと言うわけじゃな」

「はい、私が周囲を観察し行動します。

 不意打ちは私が対処して、

 同時に救命活動もさせていただきたい」

「あぁ、逃げ遅れた奴も居るかも知れねぇしな」


ほぼ大丈夫だろうが、あの投石で

一撃で門をぶっ飛ばされたりでもすれば

救助が遅れてる可能性は大いにある。

あの投石はマジでヤバいってのが分かるよな。


ドラゴンの守護があるか、不意の投石に対し

即座に対処出来る兵器が無い限りは

あの投石は回避のしようがねぇ訳だしよ。


実際、マジに国を落とそうってんなら

あの白ゴブリンはマジで有用と言える。

ただの人間にゃ、対処のしようがねぇしな。

そう言う意味でもシャンデルナはマジで幸運だ。

俺達が来なきゃ、あの投石で吹っ飛ばされてた訳だし。


「さて、門の近くにゴブリンがたむろしてるな。

 そんで、あの巨岩……門を完全にぶっ飛ばしてる」

「血飛沫も僅かに見えておる、被害は出ておるな。

 じゃが、あの投石の規模に対しての血飛沫は小さく。

 門の向こう側も案外血まみれというわけでは無いか」


不意を突かれたとは言え流石は軍事国家だ。

初手で被害は受けたが、恐らく壁の中で戦い

被害を抑えるように立ち回ったって所だろう。

門辺りにゴブリンはいねぇが、戦いの痕跡は相当だ。

魔物は基本的にくたばっちまったら消えちまうからな。

消えない状態なら、あそこは死体の山だったろう。


「ぎぎ!」

「あまりのんきには出来ませんね」


こちらに気付いたゴブリンをシャナは狙い撃った。

周囲にデカい音が響いて、ゴブリン達が湧いてくる。


「ぎぎゃ!」


黒いゴブリンがこちらを指差して何かを叫ぶ。

周囲のゴブリン達が飛び上がり、俺達を見て

剣を掲げて突撃を開始してきた。


「うし、やるか。今回は4人だけだしよ」

「うむ、遠慮は不要じゃな」

「即座に切り拓きましょう」

「ん、付いていく」


ゴブリンの数は結構な物ではあるが

シャンデルナの時よりは大分少ねぇしな。

速攻でここを突破して国民の保護を優先するか。


「では行きましょう、私は音を響かせ続けます。

 あなた達は迫り来るゴブリン全てを

 容赦なく排除していただきたい」

「あぁ、任せな! 俺達があいつらの注意を惹きつけて

 その間に国民の避難経路を作ろうって事だろ?」

「はい、同時にヴィステック国の兵士達にも

 私達の存在を周知して貰い避難に動いて貰う」

「良かろう、マグナが了承するのであれば

 儂も主の考えに従い行動するまでじゃ。

 まだ残っておる人命の方が価値があるしのぅ。

 少なくとも、眼前の雑魚共よりは」


素早く移動したドリーズが

100匹ほどのゴブリンを引き裂いた。


「遙かに価値のある命じゃ、儂がそう決めた」


ドリーズはかなり不機嫌だってのがよく分かる。

ここまで明確に殺意を持ってゴブリンを排除する。

それは、シャンデルナでは無かった事だからな。


あん時は軽く遊びながらゴブリンを駆除してたが

今は明確に殺すつもりで行動して排除してる。

部下のことが相当頭に来てるらしいが

それでも、人命を優先するつもりみたいだな。

そこもまた、ドリーズらしいと言えるな。


「だな、俺もゴブリンの命よりは

 ここの住民の命が大事だ!」


俺も拳を構えて大きく突き出し黒ゴブリンを粉砕した。


「じゃ、やってやるか! 最近は戦ってばかりだが

 ま、こんな状況じゃ仕方ねぇよな!

 シルフ! シャナから離れるなよ!」

「ん、分かった」

「シャナは逃げ遅れた奴の探索だが

 シルフのことも気に掛けてくれ」

「はい、勿論です」


何度目かのゴブリン殲滅戦、正直飽きが来てる気もするが

やらねぇわけには行かねぇってな!

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