いざ、城へ!
いやぁ、最高だぜ。こんなにも最高の気分とは!
あっはっは! Tシャツも手に入り、最高だ!
何よりシルフのワンピースが手に入ったのが最高だった!
いやぁ、可愛らしいぜ!
「見違えたわね、あなた達」
「フェイトのお陰だ、ありがとうな」
「私は約束を守ったまでよ。それで次はどうする?
このまま城に行く? 言われたとおりに」
「んにゃ、城に行ったらしばらく拘束されそうだからな。
ここは昼飯を食いたい。シルフも腹減ってるだろ?
さっき腹の虫が鳴いてたぞ?」
「……ん、お腹空いた…」
「はいはい、じゃあ次は昼食ね。これも私が出しておくわ。
あなた達は金なんてないし、当然だけどね」
「そ、そうだな、済まねぇな」
「良いのよ、別に。命を救って貰った恩もあるしね」
そう言い、フェイトは少しだけ優しい表情を見せて
俺達を食事処へ案内してくれた。
「はい、そんな豪勢な食事処じゃ無いけどね、行きつけなのよ」
「そうなのか?」
「えぇ、知り合いが経営しててね。と言う訳で入るわよ」
「うっし、美味しけりゃ良いな!」
「私の知り合いが経営してるのよ? 美味しいから来てるんだから」
「そりゃそうだ、すまねぇな」
「はん、良いから」
俺はフェイトに案内されて、その食事処に入る。
そこには黒髪で長髪の美少女が立っていた。
「あ、フェイト! ひさし…な、なぁ!」
「んぁ?」
食事処に入ると同時に、その長髪の女性が俺を見て
驚愕の表情を浮かべた後、手に持ってた長箸を落とした。
え? 何? そんなに驚く要素あった?
いや確かにさ、男が来るのは珍しいのかもしれねぇが。
「か、格好いい! フェイトちゃん! 誰その人!
ま、まさかあんな事を言っておきながら抜け駆けを!」
「いやいや! 開口一番何言ってるのよ! 違うから!
こいつは旅先で出会っただけだし!」
「なら! 私に譲って! 格好いいわ! 結婚してください!」
「イェス! 喜んで!」
「じゃないわよ!」
「あだ!」
うぅ、い、いきなりフェイトに殴られた…な、なんて容赦の無い。
「マグナ、ちょっとは動揺するか何かしなさいよ、反射的に答えない!」
「い、いやでもさぁ、いきなり告白されたら男なら食い付くぜ。
しかも、この子可愛いじゃん? 黒髪美少女とか可愛いじゃん?」
「いくら何でも速攻過ぎるわ……ちょっとは考えなさいよ。
お互い、名前も知らないくせに……ミントもいきなり過ぎ。
まずは自己紹介しなさいよ、と言うか客としてきたんだから
ひとまず料りだしてよ……」
「そ、そうね! ごめんなさいね! ちょっと待ってて!
普段の1000倍のやる気を出して、最高の料理を用意するわ!
結婚するためにはまず胃袋を掴むわ!」
「はぁ…こんな子だったっけ…」
ミントと言われていた美少女はかなりのやる気を出し
とんでもない速度で料理を作っていく。
それからすぐ、ミントが超絶豪勢な料理を俺に出した。
「私特製! 私フルコース! さぁ! 食べてくださいマグナ様!」
「お、おぅ……」
「多いいわね…と言うか、マグナが若干引く位ってヤバくない?」
「……あむ……ん、塩味薄い」
「えぇ!? だ、誰よ子の小さい子!」
「ずっとここに居たわよ…最初、あなたがマグナを見たときだって
この子、マグナが背負ってたのよ? 気付きなさいよ」
「く、なんて可愛らしい…まさか、この子もマグナ様の!」
「い、妹だからな? 妹だぞ?」
「な! なら最もゴールに近い子!」
「いやいや、それは無い」
な、なんて事だ、こ、この俺が若干押されるとは…
ま、まさかここまでキャラクターが濃い奴が居るとは!
こ、これは俺も負けてられない!
「ミント、確かにずっと恋したいとか結婚したいとか言ってたけど
何? あなたって、ここまで滅茶苦茶な子だっけ?
と言うか、結婚したいなら父親と結婚すりゃ良いじゃ無いの」
「何言ってるのよフェイト! 私はお父さんは嫌いなの!
こう、愛情ある男の人と運命的な出会いをして
ミント、愛してるぜ。とかいって貰って、キャー!」
「ゆ、夢見すぎ……そんな男がこの世界に居る訳無いじゃない。
殆どがゲスよゲス。しかも男の絶対数クソ少ないし」
「それは分かってるんだけどー、いやまって!
でも考えてみれば、男嫌いのフェイトが連れてる男って
実はとんでもない聖人なんじゃ!」
「いやまぁ、こいつは他の連中と比べりゃゲスでは無いけど…」
「なら余計に結婚してください!」
「お、おぅ……何だか逆ナンって奴は嬉しい筈なんだが
こう、圧倒されてると…」
本来ならとてもとても喜ばしい場面なんだがなぁ。
しかしながら、店に入ると同時にここまで圧倒されるってなると
流石に押されちまうと言うか…お、俺もまだまだだな。
「ミント、あなた…若干引かれてるわよ、自覚持ちなさいよ」
「そ、そんな! 私の何処に引いちゃう要素があったの!?」
「その異常なくらいの積極性よ……冷静になりなさい」
「……にーに、結婚……て?」
「そ、そうだな、一緒になるって事かな」
「……にーには、わ、私の……渡さない……」
「うぅ! やっぱりゴールに1番近いのはこの子なのね!」
「落ち着くなさい、あなたが限りなく遠いだけだから」
あ、あはは、こ、ここまで圧倒されたのは初だぜ。
いやぁ、面白い奴も居るんだな。
とりあえず俺も半笑いになりながら料理を食べてみた。
美味しいな、確かに凄く美味しい。
「ど、どうですか!?」
「美味しいな、これはかなり」
「なら!」
「で、でもほら、もうちょっとこう…さ、お互いを知ってからで」
「それは遠回しで断わってるって事ですか!?」
「いやいや! そう言う訳じゃ!」
「良いじゃ無いのマグナ、ハーレム第1号よ?」
「ハーレム…た、例えあなたが沢山の女性を引き入れようとも
私はあなたに付き従います! なので入れてください!」
「お、落ち着いてくれって。な? まだまだ早いから!」
「ふふん、あなたが押されてるのを見るのは面白いわね」
「面白がらないで欲しいなぁ」
とりあえず、終始圧倒された食事だが、美味しい食事だった。
いやぁ、あそこまでグイグイ来る美少女が居るとは超意外。
とりあえず、また来ると言うことを伝えた後、俺達は城へ向った。
「よーし、ここが城だな」
「えぇ」
道中の街並みも凄かったな、大通りには噴水があり
そこが憩いの場の様に見えた。普通ならカップルが居るんだろうが
この世界は男性が非常に少ないこともあり、カップルはゼロ。
その代わり楽しそうに談笑する美少女達が沢山居た。
そして城。ここも大きな門に隔たれており
その門を守るのは金色の鎧に身を包んだ美少女だった。
鎧には茨に覆われている剣を持つ女性が描かれてる。
「む、フェイトさん。ようやくバルキュリー部隊へ?」
「いやいや、私よりもこっちを注目しなさいよ、男よ?」
「あぁ、そうですね。殆どの男はカスなので興味ありませんでした」
「へぇ、男をカスって言うのか、スゲーな。
何か聞いた話だと、男と女じゃ力の差がスゲーって聞いたけど」
「えぇ、我々と男では実力が違いすぎます。
半端な男じゃ、相手にもなりませんよ」
おぉ、そうなのか。女の子の中でも強い奴は強いんだな。
「しかし、フェイトさん。あなたが男を連れてくるとは驚きです。
男をあそこまで嫌っていたあなたが、何故ですか?」
「助けられたからよ」
「何を馬鹿な、あなたほどの手練れが追い込まれるはずも無いでしょう?
仮に追い込まれたとしても、半端な男程度でどうにか出来る相手じゃ無い」
「こいつが半端な男程度じゃ無かったから助けられたのよ」
「俺強いぜ!」
「……馬鹿馬鹿しい、こんなアホらしい男が強いはずが」
「ふっふっふ、なら見て見るが良い! 俺のゴリマッチョ体を!」
折角買ってくれたTシャツを破らない様にまずTシャツを脱ぐ。
「あ、シルフ持っててくれる?」
「ん」
脱いだTシャツが汚れないようにシルフに持って貰い
腕に力を込めるた。
「なん! 気持ち悪!」
「いやまぁ、フェイトにも言われたけど、ハッキリ言わないで欲しいなぁ」
「まぁほら、そんなこんなでこいつこんな感じなのよ。クソ怪力でね。
しかも、怪力だけじゃ無くて技巧派って言うのが恐いんだけど。
因みに防御力もえげつなくてね…刃が入らないわ」
「はぁ!?」
「よしよし、見せてやろう。ちょっとナイフくれ」
「……ど、どうぞ」
あの2人が怪訝そうに俺にナイフを渡してくれた。
そして俺は、そのナイフを自分に刺す。
「うぇ!?」
「あ、やり過ぎた…すまねぇな、ナイフ折って」
だが、ちょっと強さを証明するという最高にテンションが上がる場面で
つい調子に乗ってしまい、手渡されたナイフを折ってしまった。
うぅ、こう言うの慣れないが、やってみたかったからな。
ついついやり過ぎてしまった…これは失敗した。
「まぁ、これで分かったでしょ? こいつキモいから」
「強いからって言ってくれ、キモいからは嫌だ」
「……は、初めてです。ここまで規格外な男を見たのは…
多少強い連中は居ましたが…こんなにも…」
「……ん」
「サンキュー、とりあえずそう言う訳だからさ」
シルフから返して貰ったTシャツを着ながら喋る。
イマイチ聞き取れてないかもしれないが、大丈夫だろう。
いやぁしかしながら、やはり誰かに驚かれるのは気分が良い。
勿論、良い意味でだ。悪い意味では嫌だからな。
「……み、認めましょう。あなたのような男が居ることを」
「意外とあっさり認めてくれるんだな」
「我々の流儀です。シャナ様からも教わってます。
強い者を貶むな。それが我らバルキュリー部隊だと」
「じゃあ、国王様は強いのか?」
「弱い部類ですが、シャナ様が付き従うのであれば
我々はシャナ様の意思に従うまで」
へぇ、信頼されてるって雰囲気凄いな。どんな人物なんだろう。
「では、どうぞ。門番からも話は聞いております。
先ほどは無礼なお言葉を使ってしまい、申し訳ありませんでした」
「大丈夫だって、気にしてないから」
「左様ですか…ありがとうございます」
「じゃあ、私はここでお別れって事になるわね。
マグナ、ありがとうね」
「何だよ、来てくれねーの? 一緒に来てくれよフェイト」
「いやいや、私は一般人よ? 城内には入れるはずも無いでしょうに」
「いえ、フェイトさんも問題無く。シャナ様が信頼を置くお方ですしね」
「え? マジで? で、でも私って…入って良いのかしら」
「来てくれって! な? 俺は礼儀作法とかよう分からんしな。
お前に色々と聞きたいから、マジで頼むよ」
「……わ、分かったわよ」
おぉ! いやいやって雰囲気だけど、一緒に来てくれるのか!
いやぁ、ありがたいぜ! フェイトが一緒なら動きやすいしな!
「サンキューフェイト! ありがたいぜ!」
「まぁ、ここまで来た訳だしね…一応、付き合ってやるわよ」
よーし、後はこの城で王様とやらに会えば良いんだな!
その後はハーレムを作る為に国で活動してやんぜ!