表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/105

寂しい我が家

さて、そこまで長い間離れたわけじゃねぇが

やっぱり久々という感覚があるな。

だが、結構寂しいってのも事実だ。

ミントも居ねぇし、フェイトも居ねぇ


ただでさえ、人数に対して部屋がデケェのに

そっから2人が居ねぇってなりゃ

そりゃより一層、寂しく感じちまうってな。


「しかし、これから結構遠出するだろうし

 メイドさんでも雇った方が良いのかねぇ」


ちょっとだけ埃が被ってる机をなぞりながら

そんな事をふと思った。


「お主は基本、女子を放置はせぬからな。

 今回は仕方ないとは言えのぅ」


まぁ、急ぎの用事だし、

ミントがドラゴンに乗るための

色々の用意も出来てねぇからな。


「だが、メイドって何処で雇えるのか分からねぇ」

「聞いてみれば良かろう」

「ん」


とりあえずだ、国から貰った金を確認して

ひとまずはメイドさんを求めて進むとしよう。

同盟の書状が出来るまで時間も掛るだろうしよ。


「っと、丁度出て来ましたね」

「シャナ? 何でここに」

「えぇ、ドラゴンの件で少し話がしたくて」

「ほぅ、ならば儂に用があると」

「えぇ」

「じゃあ、家で話すか、今は埃っぽいが」

「あなた方が全員留守にして居る訳ですしね。

 メイドを雇っては如何でしょうか?」

「あぁ、そのつもりで出ようとしてたんだ」

「なる程、では私の方で手配しておきます」

「マジで!? そりゃ嬉しいな」


やっぱりこう言うときはシャナに頼った方が良いな。

国に関する事は良く分かってるし。

シャナは色々な人に信頼されてる騎士団長だから

シャナに頼めば問題が起こることもねぇだろうしな。


「では、どのような形で雇いますか?」

「あぁ、俺達が留守の間、

 部屋の掃除とかをお願いしたいんだ。

 そりゃな、これから色々と動くだろうから

 家を空けることも多くなるだろうしよ。

 久々に家に帰ったら埃まみれで

 くつろぐより先に掃除ってのはなぁ」

「えぇ、そうですね、私も嫌です、それは」


シャナが微笑みながら俺の言葉を肯定する。

雰囲気から分かるが、シャナも経験あるな。

そりゃまぁ、騎士団長だし家を空けることも多いだろう。


姫様や国王様がどっかに行くときに護衛として付いていく。

今、その役目は俺らがやってるわけだが

俺達が来る前はシャナがやってただろうしな。


「では、その様な形で手配しておきましょう。

 ですが、まずは私の用件をお話ししておきます」

「うむ、主は元より、それが理由で来た訳じゃしな」

「はい、ではドラゴンの件なのですが

 前回の襲撃時、加勢し

 ゴブリンの軍勢を焼き払っていただき

 誠に感謝いたします」

「何、そう言う約束をしたのじゃ、当然の事じゃよ。

 奴らも儂に褒めて貰うために必ず遂行するじゃろう」


褒めて貰いたいから必ず遂行するって予想すげーな

自分はドラゴンたちの絶対的な女王だって言う

圧倒的な自信がねぇと出て来ねぇ言葉だな。


だが、慕われてるってのは結構簡単に分かる。

何せドラゴンたちがドリーズの命令に従ってるの

完全にドリーズに褒めて貰いたいが為だしな。


強者であるドリーズに認めて貰って嬉しいからか

ドリーズを慕い、ドリーズに褒めて貰いたいから

こいつの命令に従ってるのかは分からないが

恐らく後者だってのは何となく分かる。


ドラゴンたちに不満みたいな物は感じねぇし

マジでドリーズを慕ってるってのが分かる。

それだけ、ドラゴンたちからしてみれば

ドリーズは理想の主なんだろうな。


「ですが、このままでは我が兵達の訓練にはなりません。

 確かに負傷者を出さないで勝利するのが理想ですが

 負傷をせねば、戦いへ挑む鍛錬にはならない」

「そうじゃな、実戦に勝る訓練は無い。

 その実戦を安全だと確信出来る状況で挑むのは

 精神的な鍛錬にはなり得ないか」

「えぇ、なので次に襲撃があった場合は

 前回とは違い、半数の殲滅で止めていただきたい」

「ふむ、主がそれでも部下達は確実に生き残ると

 そう確信しておるのであればその様に手配しよう」

「はい、半数であれど、ゴブリンの排除は可能でしょう。

 問題はホワイトゴブリンという巨岩を投擲するゴブリン」

「よろしい、ではホワイトゴブリンは

 変わらず儂らが殲滅しておこう。

 じゃが、他の色付きは何匹か見逃す。

 それでよいか?」

「はい、お願いいたします」


流石にあの白い奴の投石は厄介だしな。

俺、ドリーズ、シルフみたいに

高火力の攻撃をぶっ放せるなら

岩を砕いて迎撃なんて簡単だろうが

普通の兵士じゃ、岩を砕くのは困難だろうしな。


「では、その様に指示を出しておこう。

 うむ、見事な判断じゃと褒めてやるのじゃ。

 儂も甘やかしすぎるのは良くないとは思う。


 バスロミアの兵士達の練度はかなり高い。

 訓練を見たこともあるが、あの実力であれば

 ゴブリンの軍勢などとるにならぬじゃろう。


 であれば、今の間に兵共を慣らし

 これから起こるであろう災禍に備える。

 それは正しい判断じゃといえる」

「これから起こるであろう災禍……」

「うむ、ゴブリンアーミーは前座じゃ。

 この程度の災禍であれば

 儂らが動くだけで万事解決する程度じゃ。


 じゃが、これから起こるであろう

 アンデッドの宴や魔物の女王達との戦い。

 これらは儂らが動いた程度で

 被害を全て押さえて解決出来る物ではない。

 

 無論、儂らだけであれば何の問題も無い。

 このバスロミアだけでも問題は無かろう。

 じゃが、他国の被害は甚大となり

 人の歴史が終焉を迎える可能性もある」

「……」


バスロミアだけは大丈夫だという言葉は

確信に満ちてる言葉だった。

俺達が所属してるこの国だけであれば

乗り越える事は造作ないと言う事だろう。


だが、俺達が所属していない他の国は

その災禍で滅んでしまうだろうと言う確信を感じた。

この国だけじゃ、実際人の歴史が終わる可能性は高い。


「その終焉を避ける為には、儂らが動くしか無い。

 儂らが動けば、このバスロミアも被害が出る。

 じゃが、兵共の練度が高くなっておれば

 儂の配下との共闘で被害を抑える事は可能じゃ。


 それにじゃアンデッドの宴は

 儂らにとっても危険な問題じゃし

 その際には主らにも協力して貰う事になる。

 儂らに今までの礼をする為にも気合いを入れて鍛えよ」

「えぇ、分かりました。あなた方に災禍があれば

 我々も喜んで力を貸しましょう」

「うむ、良い心意気じゃ、ではこのゴブリンアーミーで

 兵共を見事鍛え上げてみよ!」

「お任せください」


ドリーズの言葉に答えた後、シャナは俺達にお辞儀をた。


「では、私はこれで失礼します。

 メイドの手配は本日中に行ないますので

 次に帰国された際にはメイドが家で待っているでしょう」

「あぁ、サンキュー!」


別れの挨拶の後、シャナが城へ戻っていった。

その後、ドリーズは部下達を招集し

次の襲撃時における対処の方法を伝えた後

一斉に解散させ、再びいつもの日常が戻った。


俺達はまぁ、一応部屋を一通り掃除をしたが

俺は結局、シルフに色々と言われながらの掃除で

足を引っ張ったような気がした……情けねぇ。

だ、だがまぁ、部屋は綺麗になったしまだ良しだ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ