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軽い共同訓練

うし、今度は俺も武器を使ってみよう。

俺は拳1つで大体何とでもなるが

多少は剣術ってのも嗜んでみるか。


「よし、じゃあ俺も刀を使うぜ」

「必要なの?」

「必要ねぇけど、色々出来た方が良いだろ?

 俺の練習にもなるしな」

「うむ、お互いの為になる方が良いじゃろう。

 マグナが魔法の練習は危険じゃが

 武具の練習ならば問題は無かろう」

「あぁ、お互いにお互いの練習になる。

 この方がお互いの為になるってもんだ」

「…そうね、ま、少しだけ面白いか。

 でも、訓練用の木刀は30本しか無いわ

 だから、30本折らないでよね?」

「そうだな、気を付ける」


まぁ、手加減の練習って感じで良いだろう。

俺が武器を使うってなると消耗がヤバいしな。


「じゃあ、これ」


フェイトがマジックバックから木刀を取りだし

俺に向けて全力で投げてきた。

俺はその木刀をキャッチして構えた。


「マグナ、剣は両手で持つのよ、片手って」

「左腕はほら、盾だから」

「……まぁ良いか」


あまり深くは言わないで良いと判断したのか

フェイトは小さくため息を吐いて木刀を構えた。


「行くわよ……」

「どうした? 早く来いよ」

「……す、隙が無い…」

「ん? そうかぁ?」


フェイトが結構真剣な表情で構えてる。

ゆっくりと俺の周りを回ってるが

俺は首だけでフェイトの後を追う。


「うりゃ!」


隙が出来たと判断したのか

フェイトが一気にかけ出して近付いてくる。

とは言え、かなり動きが見え見えだ。


「っと」


俺はフェイトの攻撃を木刀で防ぐ。

かなり大きな音が響いたような気がする。


「……び、ビクともしない!」

「そりゃなぁ」

「でも、何度も仕掛ける!」


一撃を入れて、少しだけ距離を取り

フェイトが構えを変化させて再度近付いてきた。

最初と比べると、一撃は軽くなってるが

その代わり、攻撃から攻撃へ繋がる速度が上がってる。


「うぅ! 片手なのに!」

「まぁ、軽いしな」

「なら!」


今度は小さな木刀を取り出したフェイトが

攻撃速度を更に上げて仕掛けてきた。


「私は両手で攻撃してるのに片手で防がれる!

 よ、避ける事をしないのはどうして!?」

「俺は相手の攻撃は基本的に受けるからな。

 まぁ、今回は防御をしてるわけだが

 これはほら、剣術の練習だし」

「私に攻撃しない理由は!?」

「俺の攻撃が当ったら痛いだろ?」

「……そうね!」


小さな木刀と通常の木刀を同時に振ってきた。

俺はその2本の木刀を1本で受ける。

今までで1番攻撃が重かったような気もするが

その攻撃の後、フェイトは後方に飛び下がる。


「……ドリーズと戦った時は攻撃が当らず

 あんたと戦った時は、攻撃の全てを防がれる。

 それも済ました顔で……木刀もビクともしない」

「当然じゃろう、儂らと主では実力が違いすぎる」

「えぇ、でもまず1つの目標は出来たと言えるわ。

 ドリーズとマグナに一撃を叩き込む。

 まずはマグナに一撃を当ててみせるわ!」

「俺か? まぁそうだな、俺に当てる方が楽だろ。

 ドリーズは回避型で俺は攻撃型だからな。

 防御も必要ねぇから、防御はそこまで得意じゃねぇし」

「そりゃね、あんたの防御はドリーズの爪と牙って言う

 世界でもトップクラスの攻撃力を持ってしても

 貫けないほどの防御力だしね。

 そりゃ、わざわざ相手の攻撃を防ぐ必要は無い」


その通り、俺の防御力は異常だからな

だから、攻撃を防ぐことを優先したりしねぇ

と言う条件から、俺に攻撃を当てる事は出来るだろう。

その後に俺にダメージを与えられるかは別だが。


「でも、あんたは自分の動体視力や

 運動能力だけで全てを凌げるほどには強い。

 本気なら殆どの攻撃に対処出来る程でしょう。

 そして、あんたはシャナさんから攻撃を受けてた。

 なら、まだ私でも全力で頭を捻って立ち回れば

 あんたに攻撃を当てる事くらいはきっと出来る筈よ!」


シャナの真似をするつもりなのだろう。

フェイトは何本かの小さな木刀を取り出す。

ナイフサイズの木刀なんて存在してるのか。


「可愛らしい木刀じゃな」

「えぇ、短刀の木刀と言えるのかしらね。

 私は色々と訓練用の木刀や摸造刀があるの。

 だから、こう言う木刀だって用意してるの。

 シャナさんのあの戦いを見て、

 挑戦したいと思ったから!」


その言葉の後、フェイトは俺に向って短木刀を投げる。


「ふむ」


シャナの様に素早く動き回り、こちらに短木刀を投げ

俺が攻撃を防ぐように仕向けていた。

シャナはこの時、俺が弾くという手段を取ってたのを

逆手に取り、短刀に高低差を付けて死角を作り出し

俺に不意打ちを仕掛けてたわけだが

あれはそう簡単に真似られる事じゃ無い。


「はぁ!」


シャナがやったようにする為か2本の短木刀を投げた。

だが、高低差は少し用意できたようだが

完全に上の短刀に下の短刀を隠せてない。

上下で僅かに別方向へ飛んでしまってる。


当然、両方俺に当るような軌道ではあるのだが

残念だが、死角にはなってないな。

俺は木刀を軽く振い、2本とも同時に弾いた。


「うぅ、や、やっぱり上手く行かない…でも!」


同じ様に攻撃を仕掛けようとしてるが

全くと言って良い位に上手くは出来てなかった。

そりゃまぁ、仕方ないんだけどな。

フェイトは確かにかなり強いだろう。

1人で囮と奇襲をこなそうとして

ある程度は形になってたくらいだからな。


シャナの部下はそれを30人でやっても出来なかったが

フェイトは1人でそれに近いことが出来てる。

ただ、シャナほどに完璧じゃねぇってだけだ。


何が原因かは軽く見るだけでも分かるよな。

まずは技術の練度が全然足りてないと言える。

そりゃまぁ、シャナがやってた攻撃は

相当研鑚を積まねぇと出来る技術じゃねぇ


完璧な投擲技術と、相手の視線や心理状態を理解し

相手に確実に刺さるであろうタイミングに仕掛ける。

仕掛けるタイミングを完璧に掴めるような

飛び抜けた観察眼とそのタイミングで難しい技である

この2重投擲を完璧に成功させる技量。


フェイトは観察眼もこの技術も足りてない。

だが、何よりフェイトに足りない物は1つ。


「フェイト、分かってるだろう?

 お前に足りねぇ物はかなりわんさかある」

「えぇ、分かってるわよ!

 私には技量も観察眼も戦闘センスも

 経験も安定度もサッパリ足りてない。

 だけど、その中で最も足りてないのは

 速さ! 私には圧倒的に速さが足りない!」


そう、速さだ、フェイトに足りてないのはスピード。

シャナがやってたあの技で最も重要なのは速さだ。

俺に的を絞らせないように動ける速さこそ

シャナの最大の武器だろう。


「だからよ」

「う!」


フェイトの動きを先読みして、俺はフェイトに接近。

不意に動かれたことで、フェイトは動揺した。


「今のお前がその戦術をやっても

 こうやって、あっさり掴まるぜ?」


フェイトの後ろに回って、フェイトの肩を掴んだ。


「……はぁ、やっぱり駄目ね」


大して悔しそうな表情も見せず

フェイトは小さくため息を吐いた。


「動きも先読みされるし、速さでも劣ってた。

 一撃だって、あんたに奇襲攻撃も刺さらなかった」

「そりゃな、あの2重投擲は相当練習しねぇと」

「うん、そうよね」


ちょっとだけ笑って、フェイトが短刀を2本取り出し

軽く投げて案山子に2本の短刀を当てた。

1本は案山子の眉間に、

もう1本は案山子の心臓に刺さってる。


「こんな風に練習はしてたんだけどね。

 両手でなら出来るけど、片手は無理なのよ」


今度は片手で短刀を2本構えて投げる。

2本は案山子に当るには当っていた。

1本は案山子の眉間に、もう1本は

案山子の右肩付近に突き刺さっている。


「こんな感じ、シャナさんなら

 眉間と心臓両方に当てるんでしょうけどね…」

「本来なら、これ位出来れば十分じゃろうな。

 じゃが、主はこの程度では満足せぬのじゃろ?」

「えぇ、当然よ、私の目標は低くないわ」


今度は短刀を4本取りだし、同時に案山子に向けて投げる。

4本ともしっかりと案山子には当っていた。

1本は右腕、1本は左足、1本は腹部、1本は心臓だ。


「まぁ、止まってる状態で練習しても

 あまり意味は無いかも知れないけどね」


軽く笑いながら、案山子に突き刺さった短刀を回収。

軽く刃こぼれを確認して、短刀をしまった。


「他にはどんな訓練をしておるのじゃ?」

「興味あるの? 私なんかの訓練に」

「なんか、等と言うでない。

 主は十分素晴らしい人間じゃ」

「そ、そう……まぁ、他にっ言っても……そうね」


マジックバックから弓矢を取り出す。


「こんな感じに弓矢の練習ね」


フェイトが弓矢を放ち、案山子の眉間を撃ち抜く。

今度は右手に5本の矢を持って素早い速射。

5回連続で素早く放たれた矢は3本は眉間に

2本は心臓に突き刺さっていた。


「結構こんな風に弓矢の練習をしたりするわ」


次は5本を同時にはなって案山子を射る。


「色々な方法で撃ってるんだな」

「えぇ、弓矢は万能だからね

 援護にも重要だから、遠距離攻撃は必須

 他にもこう言う銃で練習することもあるわ」


フェイトが古そうな雰囲気の拳銃を取り出した。


「拳銃なんてあったんだな」

「えぇ、あまり作ってる国は無いんだけどね。

 私は色々と旅してたりするから

 結構色々な装備を集めてたりするのよ。

 普段はあまり使わないけど、槍も練習してる」

「1つに絞った方が良かろう?」

「えぇ、だから今は弓矢と剣技に集中してるわ。

 後は短刀を投げる投擲の練習をしてるわ。

 で、今は更に魔法も練習中って感じね。

 まぁ、最優先は魔法かしらね……あと2年だし」


本当、フェイトは色々な武芸を嗜んでるんだな。

恐らくだが、シャナも同じだろう。

1つを極めて、別の武芸も極める。

シャナの雰囲気はそんな感じだろうな。


兵士達の質や装備の種類でも想像出来る。

シャナは部下達全員を指導するだろうから

少なくともバスロミアで兵士達が使ってる武器は

シャナは全部扱えると考えるのが自然だろう。


「あ、因みに拳銃の所持が認められてるのは

 私とシャナさんだけだったりするわ」


軽く拳銃の説明をする為なのか

フェイトが拳銃を折って弾を込めた。

あんな風に弾を込めるんだな。

真ん中が折れ曲がって、2箇所に穴が開いて

その穴に弾を入れるみたいだ。


「ま、シャナさんは使わないでしょうけど

 私よりも上手いと思うわ」


弾を込めた後、銃を元の形に戻して構え放った。

案山子の頭が吹き飛び、その破壊力を教えてくれた。


「ま、威力はあるんだけど、

 あなた達には効果無いでしょうね」

「うむ、そんな豆鉄砲ではのぅ。

 そうじゃ、儂に撃ってみてくれ」

「……いやその、恐いんだけど」

「大丈夫じゃ、ほれ、威力を体験したい」

「……け、怪我しない?」

「うむ、せぬ」

「なんでそんなに?」

「興味があるからじゃ、ほれ、頼む」

「……じゃ、じゃあ、い、1発だけ」


少しだけ不安そうにしながらフェイトは銃を折って

最初に撃った銃の弾を取りだし、新しい弾を込めた。

そして、両手を広げて構えてるドリーズに構える。


「うむ、さぁこい!」

「……い、行くわよ、け、怪我しないでよね!」

「うむ!」


ドリーズの返事にあわせて、フェイトが引き金を引く。


「おぉ!」


ドリーズが少しだけ仰け反った。


「ふむ、人の武器にしては威力があるのぅ」


当然だが、その程度の攻撃力で

ドリーズが怪我をすることなどは無く

笑顔のままで少しだけ銃の威力を褒めた。


「じゃが、あの程度なら避ける事も造作ない」

「よ、避けられるの!?」

「うむ、もう一度放て」

「そ、そう」


少し困惑しながら再び装弾して銃を構える。


「行くわよ!」

「うむ!」


再びフェイトが銃を放った。


「ほい」


ドリーズはその弾丸を避ける事をせず

逆に弾丸を指先で掴んで見せた。


「な!」

「うむ、こんな感じじゃな」


フェイトに向って掴んだ弾丸を軽く投げ渡す。


「はぁ、さ、流石はドリーズね」


いつも通り、少しだけ圧倒されながら

弾丸をマジマジと見ていた。


「ま、頑丈じゃしな、儂は」

「……そうね」

「フェイトちゃーん! マグナ様-!

 ドリーズちゃーん! 出来たわー!

 あと、あの凄く大きな音は何かしらー!」


滅茶苦茶に明るい笑顔を見せながら

ミントが手を振りながらこっちに走ってきた。


「あ、料理出来たの?」

「えぇ! 後、あの大きな音は何?」

「拳銃よ」

「あら、小さいわね」

「えぇ、でも人は殺せるから油断しないでね?」

「えぇ!? こ、こんな物で!? こ、恐いわ!」

「ま、早々お目にかかれる物じゃ無いから

 あまり心配することは無いわよ。

 最悪はマグナを盾にすれば良いし」

「あぁ、もしもの時は俺を盾にしろ

 何処に当っても無傷で耐えるぜ!」

「マグナなら怯みすらせんじゃろうな」


ふふ、今の俺なら眼球に喰らっても無傷だろう。

とりあえずだ、今はそれより飯だな、飯。


「ま、それよりは飯だな!」

「そ、そうですね! 力作です!」

「あぁ! 楽しみだぜ!

 あ、ジュリアって起きた?」

「はい! あの大きな音で目が覚めたみたいです!」

「う、起しちゃったかしら……

 まぁ、音デカいし、やっぱりあまり練習できないわね

 弾丸もお値段高いし、あまり使わない方が良いか」

「たまに撃つのは大事じゃろう?」

「そうね、いざと言う時に当てられなかったら困るし。

 ま、その話は良いわ、今はご飯ね」

「あぁ、食うか!」


うし、練習切り上げて飯食うか。

その後は魔法の訓練だな、楽しみだ!

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