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襲撃後の日常

うーん、二度寝は中々良かった。

もうちょっとだけ眠りたい気持ちもあるが

まぁ、運動したからか眠れそうには無い。

ゆっくりと目を開けて目の前を見る。

そこには滅茶苦茶可愛い笑顔で眠ってる

シルフの姿があった。かなり近いなぁ。


「んー」


俺が少し動いたからなのか

連鎖的にシルフも目を覚ました。

かなりの至近距離で目が合う。


「あ、おはようにーに」

「あぁ、おはよう」


俺の顔を見たシルフの表情が笑顔に変わり

俺も同じ様に渾身の笑顔でシルフの挨拶に答えた。

そして視線を動かすと、ドリーズが見えた。


「ドリーズ、どうしたんだ?」

「いやのぅ、仲良さげに眠っておったし

 お主が目を覚ましたらどんな反応をするか

 それを観察しようとしたのじゃ。

 実に普通の反応じゃな」

「妹が目の前って状況はよくあるからな。

 シルフは甘えん坊なのさ」

「ん、にーにと一緒だと落ち着く…」

「はは! 偉大なお兄ちゃんだからな!」


そんないつも通りの会話と一緒に起き上がる。

軽く背伸びをして時計を見て見ると

時間は9時、少しだけ普段よりも起きるのが遅い。


「意外と時間経ってねぇなぁ

 こう言う場合、昼頃になってそうだが」

「お主らは長い間、外で過ごしておったのじゃろ?

 なら、普段通りから大きく離れた時間には起きまい

 儂もそうじゃしなぁ、ふわふわに包まれようとも

 結局は大体いつも通りの時間に目が覚めるのじゃ。


 ま、儂の場合は400年以上の習慣じゃし

 そう易々と変わるような物でも無いが」

「ふぁ……あふぅ……」


俺が起き上がって少しして

シルフが大きなあくびと一緒に起き上がった。

そして、大きな背伸びの後、ベットから降りて

いつも通りの準備運動を始めた。


「シルフのそれは、やはり習慣なのかのぅ」

「ん、朝起きたらこうするの。

 外に居たときは私が起きた後、

 にーにが少し寝るから、見張りと料理をしてた」

「その時の癖で準備運動をいつもしてるんだ

 ま、今は俺もグッスリだが」

「2人で旅をしておったときはどんな形で?

 儂は少し興味があるのじゃ」

「あぁ、シルフは毎日11時に眠って

 俺はシルフが起きる8時まで見張りだな。

 で、シルフが起きたら2時間だけ眠って

 後はシルフが作ってくれた料理を食べて動いてた」

「……お主、その生活で良く生きておったな」

「シルフが作ってくれる美味い飯さえありゃ

 俺はいくらでも戦えるってな。

 この程度、全く苦にもなりゃしねぇよ」


当然だが、地獄と比べれば楽園も良いところだぜ。

2時間も眠れて、シルフの美味い飯も食える。

これだけ恵まれてりゃ、それだけで満足さ。


ま、今の生活と比べたら雲泥の差だがな。

毎日しっかり眠れるしよ。


「しかしそうか、そんな生活をしておったから

 今日もシルフだけを寝かせようとしておったのか」

「そうだ、俺からしてみりゃ、

 睡眠時間は十分取れてるしな。

 まぁ、シルフが一緒に寝たがってたから

 今日は一緒に寝たが」

「えへへ」


少し恥ずかしそうにしながら

シルフがちょっとだけ笑った。

いやぁ、表情が豊かになって来てる気もするが

表情自体にはあまり大きな変化は無いんだよな。


「しかしのぅ、シルフ、主は表情が変わらぬなぁ」

「え? 良く変ってる」

「……儂にはあまり分からぬのじゃが…

 笑っておるときはまだ分かるのじゃがなぁ。

 しかし、嬉しそうにしてるときも

 そこまで大きな表情の変化は無いし…不思議じゃ」

「俺はよく分かるんだがなぁ、シルフの表情。

 まぁ、一緒に過ごしてたら分かるようになるさ」

「うむ、逆にお主は表情豊かすぎるのじゃ

 いつも笑顔じゃしなぁ」

「はは! 笑顔は良いだろ? 近寄り易いしな。

 俺がしかめっ面じゃ、周りも萎縮するしよ

 俺としても、笑ってる方がらしくて良いんだ」

「うむ、お主のしかめっ面は出来れば見たく無いのぅ」


俺がそこまで表情を変えるってなると

よっぽどヤバい奴相手って訳だ。

俺が不機嫌になるってのは中々ヤバいしな。


「お主がキレたらシルフ以上じゃし

 絶対に見たく無いのじゃ、

 絶対にその表情を向けて欲しくないのじゃ」

「いきなり何怯えてるんだよ」

「いや、魔法ギルドの時を思い出して……

 視線だけで心臓破裂しそうになったしのぅ……

 あれが恐怖かと実感したのじゃ」

「あれか」

「いや、お主が本気で怒ってた訳じゃ無いのは

 その、何となく分かってたのじゃが……

 殺気は感じなかったはずじゃし……うむ

 しかし、儂の体が怯えてたくらいじゃ……

 うむ、見たく無いのじゃ、しかめっ面のお主

 お主が笑顔なのは本当にありがたい。

 と言うか、不機嫌なお主を見たく無いのじゃ」

「俺が不機嫌になるって相当だぜ?」

「うむ、知っておる」


如何せん、俺は地獄を体験した人間だからな。

大体の事は笑って許せるだろう。

まぁ、シルフ達が攻撃されたらキレるだろうが。


「まぁ良い、お主の地雷は目に見えておる。

 い、一部は踏みそうじゃが

 致命的な部分を踏むことは無かろう」

「一部ってのはシルフ関連だな?」

「う、うむ」

「分かってるなら変な事言うなよ」

「うむ、言わぬ……」


シルフに変な知識が付いたら嫌だからな。

そうだな、俺がアクティブになるのは恐らく

シルフが18くらいになってからだろう。


それ位ならシルフにも知識が付いてくるだろうから

無理に俺が色々と我慢する必要は無いかもな。

俺がへたれで無いなら、そっから色々動くだろう。

それまでにハーレムを増やしていかねば!


「あ、そう言えばジュリアは?」

「まだ寝ておるよ」

「やっぱ眠かったのか、見て見るか」


とりあえずジュリアの部屋を覗いてみた。

ジュリアはベットで寝かされてるな。


「お前が運んだのか?」

「フェイトじゃ、儂の背では無理じゃ」


運べるのは運べるだろうがドリーズだと

結構乱暴に扱いそうだしフェイトが無難だな。


「じゃあ、フェイトは?」

「フェイトは魔法の練習をしておるよ。

 ジュリアがフェイト用の書物を仕分けして

 フェイト用で分けておったらしい。

 その本を読んで、今は実戦中じゃな。

 ミントはフェイトの応援をしておる」

「お、そうなのか、流石はジュリアだな

 ちゃんとあの約束も守ってくれてたのか。

 じゃあ、お前は? 一緒に応援しないのか?」

「ミントが応援しておるなら儂の応援は不要じゃ。

 あやつほど他者の応援が得意な奴はおらぬ」


そうだな、ミントは心の底から応援してるからな。

相手を褒めるのも得意だし、

相手の凄いところを見つけるのも得意だ。


相手の特技に対し、一切の嫉妬もしないで

純粋に褒めちぎることが出来るのもスゲーからな。


「ミントは教えるの上手……

 応援もしてくれる、良い人」

「あぁ、俺もあいつはマジに良い奴だと思うよ」

「そこは儂も同意するのじゃ、

 あやつも努力をせぬ訳では無いし

 他者を貶めることもせぬ、実に良い娘じゃ」


ドリーズ評価でもミントは結構高評価だ。

フェイトの事も評価してるしな。

こいつが評価してるって事は

その相手は努力を惜しんでないって訳だ。

そりゃ、将来有望なのは間違いない。


「じゃあ、お前の評価でジュリアは?」

「うむ、非常に面白い娘じゃな、見所がある。

 自らの才能に絶対の自信を持っておりながら

 その才を伸ばす為に努力を惜しんでおらぬ。


 更に自らの才能よりも上での才能を持つ

 シルフに対して嫉妬をする事も無く

 その才能をより引き上げるために教えを説く。

 他者を貶めてのし上がる方法を選ぶ様な

 弱者の発想をする事も無く

 他者と共に高みを目指そうとする良い性格じゃ。


 更に才能の無い相手に対し得意気にする事も無く

 相手を応援し、可能性があるのであれば

 その可能性を掴ませるために時間を割き

 自分に出来る全力で協力もしておる。


 総括すると、非常に良い娘じゃ。

 将来性も人間性も十分高水準と言える」


やはりドリーズからの評価は非常に高いな。

まぁ、少しだけあいつの行動を見ても

評価が高くなるのは当然だと言える。


努力家であり協力的だしな

決して高圧的でも無く嫉妬深くも無い

非常に気持ちが良い性格であり

良い意味で子どもの様な女の子だ。


「俺も良い奴だと思う。

 いやぁ、ハーレムに入って欲しいが

 無理だろうなぁ、非常に勿体ないぜ。

 ま、ぼやいても仕方ねぇか

 ちょっとフェイトの修行見てこよう」

「うむ、案内するのじゃ」


と言っても、家の外で姿が見えたからな。

だが、ドリーズの後について行ってみよう。


「イメージ……イメージ……」

「頑張れフェイトちゃーん!

 フェイトちゃんなら出来るわ!

 絶対に出来る! 間違いないわ!」

「……わ、私なら出来る、出来る…

 私でも出来る……信じろ、疑うな…」


イメージが大事だからなのだろう

フェイトは正座で座って目を瞑って

小さく何度も呟いてるな。


そんなフェイトを心の底から応援してるミント。

イメージが大事な魔法で、あそこまで応援されると

やっぱりマジで出来るって思えてくるよな。


「よし、出て来い! ファイヤー!」


精神統一を終わらせてフェイトが目を開け

掌を前に出して魔法名を叫んだ。

が、魔法は出ることは無かった。


「……だぁ! でない!」

「いいえ! 出るわ! さぁもう一度よ!」

「で、でもミント、これ、はず……」


ミントの方に視線を向けた時に

俺達の姿も目に入ったのだろう。

フェイトが俺達の姿を見ると同時に

顔を真っ赤にさせた。


「な、なな、な、い、いつ、いつの間に!?」

「そんな顔を赤くすることねぇだろ。

 何も恥ずかしい事してねぇのに」

「は、恥ずかしいに決ってるでしょ!?

 出来ないかも知れないのにこんな!

 は、恥ずかしげも無く

 魔法名を叫んで空振りして!」

「出来るって! ジュリアからのお墨付きもある!

 諦めないでやってたらいつか出来るって!

 もっと強くなるんだろ? なら、疑わねぇ方が良い

 自分を信じられなきゃ強くなれねぇし

 自分に自信が無けりゃ何も守れねぇぞ?

 大丈夫! お前なら出来るさ!」

「そうよ! フェイトちゃんなら出来るわ!

 私は知ってるの! フェイトちゃんの努力を!


 昔は弱くても、強くなる為に頑張って努力して

 今やバスロミアでフェイトちゃんの名前を知らない

 女の子は居ないくらいに強い女の子になったじゃ無い!


 あんなに弱くても頑張って成長出来たんだし

 魔法だって頑張れば出来るに違いないわ!

 私は信じてる! フェイトちゃんは何でも出来る!」

「う、うぐぅ、真っ直ぐすぎる応援……

 ちょ、ちょっと恥ずかしいけど、げ、元気は出るわ。

 よ、よし! 良いわよ! やってやろうじゃないの!

 恥ずかしいけど練習してやるわよ! えぇ!」

「おぅ! そのいきだ!」

「頑張れフェイトちゃーん!」


その後、フェイトは何度も魔法を使おうとしたが

流石に一朝一夕で出来るような技術では無く

1時間経っても魔法は出なかった。


「はぁ、はぁ、はぁ、で、出来なかった……しんどいし」

「うぅ、でもまだ1日よ! 大丈夫よフェイトちゃん!

 だって確か、まだ2年もあるんでしょ!?

 ならまだまだ頑張りましょ! 明日も応援するわ!」

「……そ、そう、ありがとう」


ちょっとだけ嬉しそうにフェイトは微笑んだ。


「じゃ! お昼ご飯を食べましょう!

 今から作ってくるわ!

 朝食が中途半端だった分!

 より力を入れて作ってみせる!

 マグナ様! 楽しみにしててください!」

「あぁ、楽しみにしてるよ」

「よーし! フェイトちゃんも頑張ってるし

 今度は私が頑張る番よ! 行くわー!」

「あ、今日も私に料理を…」

「えぇ! 2人で頑張りましょ! シルフちゃん!」

「ん、頑張る」


シルフがミントと一緒に家に入っていった。


「じゃ、フェイト、昼食出来るまで

 今度は体でも鍛えるか?」

「…そうね、頭ばかり使ってたし

 体も動かさなきゃね」

「うし、じゃ、俺が相手になろうか?」

「しょ、勝負になるか怪しいけど

 そうね、少しだけ相手になって! マグナ!」


じゃ、今度は体を動かす練習と行こうかな。

俺もちょっとは運動したいと思ったしよ!

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