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暇な日の訪問者

適性が分かった俺達は

その足で家に戻り、1日を過ごす。

ゴブリン襲撃を撃退して1日で

また新しい襲撃が来ることはなかった。


そのまま、大きな問題も起こること無く

1週間の時間が経過する。


「何も起こらねぇ、他国だから

 ハーレムを探す事が出来ねぇし…」

「そりゃね、仕方ない事よ」


そんな会話をしてると、家の扉が叩かれる。


「客人か?」

「リスティア姫様のお客様かしら」

「いや、一目で分かるわよ

 私達の家とリスティア姫様の屋敷は

 全く大きさが違うんだし。

 つまり、私達のお客様よ」


俺達が扉を開けると

そこには魔女帽子を被った少女達が

3人ほどやって来てた。


「あ! やっぱりここだったのね!」

「ん? どうしたんだ? ジュリアが居るって事は

 魔法ギルドの魔法使いなんだろうが」

「はい、お察しの通り、我々は魔法ギルド所属の

 魔法使いです」

「魔法ギルドの所属がどうしてここに?」

「いえ、少しお話を聞きたくて」

「そうよ、魔法が使えるのかどうかとか

 そう言うのを細かく聞きたくてね。

 魔法ギルドへの勧誘じゃ無いから安心して」


魔法に関する話をしに来たって訳か。

まぁ、特殊な適性もちが来てるわけだし

魔法の研究をしてるなら、話は聞きたいか。


「まぁ、そう言う事なら構わねぇよ。

 どうせ暇してたし、家の中入ってくれ」

「はい、ありがとうございます、では、失礼します」


3人を部屋の客間に案内する。

ミントは客人に気付いて飲み物を人数分持ってきてくれた。


「それで、話を聞きたいのは俺、シルフ、ドリーズか?」

「はい、高い適性があると聞きましたので。

 あ、そうだ、申し遅れました。

 私はリュークス・シャフォートです」

「私はシュリウス・シャフォートです」

「で、あたしはジュリア・シャフォートよ!」

「あ、姉妹なんだな」

「そうよ、魔法適性は遺伝するからね。

 あたし達は正真正銘の姉妹なの。

 そりゃ、あたしにはお姉ちゃんも妹も

 滅茶苦茶多いんだけど、適性があるのは

 あたし達3人だけで、あたし達3人は

 同じお母さんから生まれたの」


そ、そうか、考えてみればそうだよな。

男1人に対して女の子は滅茶苦茶多いから

同じ名字でも腹違いとかが非常に多いのか。

でも、この子達は父親も母親も同じで

正真正銘の姉妹だって事か。


「つまり、残り適性の1人はお前らの母親か?」

「いえ、お母様は私達ほどの才能はありません」

「まぁ、お母さんとクソ親父の相性が良かったの。

 ……クソ兄貴との相性は知らない」

「その雰囲気だと、兄が居るのか、中々レアだな」

「そうですね、非常に珍しい事です」


結構低い確率だろうが、0では無いんだな。


「まぁ、この話はこれで良いでしょ?

 あたし達は世間話をしに来たわけじゃ無いし」

「俺は世間話でも構わねぇぜ? 話ってのは

 やっぱり楽しいもんだからな」


とは言え、俺達と違って彼女達は忙しいだろうし

あまり長いこと世間話なんて無理だろうがな。

俺達は暇だから良いんだけどよ。


「世間話もまた良いことですが

 私達も一応、仕事もありますので」

「だよな、はは、じゃあ本題か?」

「はい、ではいくつか質問をさせていただいても?」

「あぁ、良いぞ、ただ両親の事を聞かれても

 俺達は答えられないからな?」

「はい、ただご家族の事は聞かせてください。

 まず、他に兄妹などはいらっしゃいますか?」

「いや、俺達は2人兄妹だ」

「え? ふ、普通はもっと居ると思うけど…

 あたしとしては、男であるあなたが生まれて

 シルフちゃんはあんたがまともで懐いてたから

 家を出てバスロミアで独立してたのかと」

「俺達の父さんは母さんしか嫁さん居なかったぜ。

 毎日ハッスルしてるって事も無くて落ち着いてた」

「そ、そうなんだ、め、珍しいね」


実際、非常に珍しい事なんだろうな、それは。

俺も結構ハーレムを作りあげてるが。


「ふむ、それは何とも残念じゃなぁ

 お主とシルフが生まれておると言うことは

 お主らのご両親の相性は最高じゃったろうに

 もっと子を残しておれば良い物を。今は」


ドリーズがそこまで言うと

フェイトがドリーズの口を押さえた。


「そう言うのは聞かない方が良いわ

 マグナが1人の時に聞きなさい」

「む、そ、そうか…」


唯一事情を知ってるフェイトは

俺がシルフにこの話を聞かせたくないことを知ってる

だから、あまり聞くなとドリーズに伝えてくれたんだな。


「そ、そう、その反応で何となく察したわ。

 この話はこれ以上はしない」

「あぁ、ありがとな、俺が1人の時なら

 ある程度話してやっても良いんだが

 シルフの前じゃ、あまり話さないでくれ」

「……」


シルフの表情は明らかに暗くなってる。

シルフは両親の顔も知らないからな。

家族の事を聞かれても答えられない。

だから、どうしても曇ってしまう。


「ご、ごめんなさい! わ、悪気は無くて!」

「ん、大丈夫、私にはにーにが居るから……」

「あぁ、俺は絶対にお前を守ってやるからな。

 だから、遠慮無く頼ってくれよな」

「ん、と」


シルフが俺の手を握ってお礼を言った。

俺もシルフの手を握り返し、シルフの頭を撫でる。


「そう言う訳だから、家族に関する事は

 あまり聞かないでくれ、どうしても気になるなら

 俺が1人で居るときに話してくれ」

「わ、分かったわ」


何も事情を知らなかったら聞くのは仕方ないよな。

最初、両親は居ないって言ったのも

俺達が親を嫌って出ていったと思ったんだろう。

まさか、親が死んでるとは思わなかったんだろうな。

国に所属してたら平和に過せるのが普通だしな。


「両親以外の話なら答えるぜ」

「で、では、コホン、マグナ様

 あなたはどのような魔法を扱います?」

「使ったことねぇな、魔法は」

「え!? お、男なのに使ったこと無いの!?

 じゃ、じゃあ、どうやって……」

「物理的に全部ぶん殴ってきただけだな」

「そんなひょろそうなのに!?」

「え!? ひょろいかなぁ、今の状態」

「そうじゃなぁ、実際普段の状態は

 おだてにもムキムキには見えぬのぅ」

「そ、そうよね、見た目は普段は普通だし…」

「普段以外は違うの!?」

「あぁ、ちょっと待てよ、上着脱ぐ」

「なんで脱ぐの!?」

「破れるからなぁ」


とりあえず上着を脱いでみた。


「す、凄い筋肉ですね、ふ、腹筋とか」

「ふむ、見事な腹筋じゃ、やはり硬いのぅ」

「まだ力込めてないからな?」


ドリーズが腹筋をポンポン叩いてる間に

俺は腕に力を込めてみる。


「うわ! 凄い筋肉!?」

「おぉ! やはり素晴らしい肉体じゃ!

 マグナ、この様子だと、やはりお主の名刀は」

「いや、変な事言うなよお前、シルフ居るんだぞ」


しかし、やはり筋肉は女子には憧れなのかも知れない。

彼女達が俺の筋肉に釘付けになってる。

いや、この子達が筋肉が大好きなだけかも知れない。

フェイトとかはキモいって言ってたしな。


「やっぱ、腕だけ太くなるのキモいわよね

 何で一部だけそんなにデカくなるのよ

 何? 腕だけ鍛えたの?」

「いや、全身ゴリゴリだが?

 腕だけは分かりやすいからやってるだけ。

 因みに程々マッスルモードもあるぜ」


あまり力を込めない、程々マッスルモード。

ゴリっと力を込めるときは太くなるが

ちょっとだけ力を込めるとそこまで太くならない。


「スマートにマッチョになったわね、

 それが出来るならそれで良いじゃ無い」

「ゴリっとなった方が面白いだろ?」

「キモいだけよ」


とりあえず筋肉を見せたから服を着た。


「まぁ、こんな感じでな、俺はフィジカルスゲーから

 魔法を使うまでも無く、魔物を粉砕してきたんだ」

「な、なる程……非常に珍しいですね。

 と言う事は、特殊能力等も分からないと」

「しらね、そんなのあるのすら知らなかった」

「あんたの肉体がそれなんじゃ無いの?

 特殊能力で強化された感じで」

「主は馬鹿か、これは此奴の素の肉体じゃ。

 魔法なんぞで出来た偽物の肉体では無い。

 儂は何度か身体強化の能力を持つオスを見たが

 あれは駄目じゃ、ガワだけじゃし」

「そんなの分かるの? 似たような物じゃ」

「全然違うのじゃ、身体強化は一時的な物。

 触れれば柔いままじゃしな。

 じゃが、此奴の場合は違うのじゃ!

 夜もカチカチじゃよ此奴!

 例え寝てたとしてもカチカチじゃよ此奴!

 マグナが寝てる時に布団の潜り込んだとき

 もうカチカチじゃったからな!」

「なんで潜り込んでんのよあんたぁ!」

「魔法で強化されてる可能性もあるから

 その可能性を排除する為に潜ったのじゃ。

 儂の目に狂いは無く、此奴はカチカチじゃった」


いつの間にかこいつが布団に潜っていたとは。

サッパリ気付かなかった……

まぁ、家じゃ警戒とかしてねぇからな。


「にーにはいつもカチカチだから……」

「な、いや、シルフちゃんはそうよね」

「うむ、此奴はいつもマグナと同じ布団で寝ておるし」

「まぁ、同じ部屋だしね…シルフちゃんは甘えん坊だし」


しかしなぁ、特殊能力か。

興味が無いというえば嘘になるが

でも、必要性を感じねぇんだよなぁ。


「は、はぁ、色々と圧倒されてますが

 そ、そんな男性の方がいるとは驚きです」

「男ってのはこう言うもんだと俺は思ってるがな」

「でも、魔法の才能あるかも知れないでしょ?

 試してみて欲しいとあたしは思うけど」

「いやいや、俺はそこら辺不器用だしな。

 多分、下手にやろうとしたら被害が酷ぇぜ?」

「そ、そうよね……そんな気はするけど…」


フィジカルだけ極めてこの領域だからな。

やっぱり魔法を使ったりした場合

どんな規模になるか分かったもんじゃねぇ。


それにだ、魔法の才能が遺伝するのだとすれば

俺にはシルフと同等かそれ以上の才能がある。

魔力の性質とやらが女性より男性の方が

魔法を扱うのに適してるのだと言う情報が正しいなら

普通に考えれば、俺にはシルフ以上の才能がある。


シルフでも相当な規模を平気な顔で操るんだ。

そのシルフのお兄ちゃんである俺は

更に大規模な魔法を扱う可能性は高い。


シルフの才能は漏れ出した魔力らしいし

その魔力を漏れ出した訳では無く

直接放出できるのだとすれば

そりゃ、俺が魔法を使えばやっぱヤバいだろうな。


「まぁ、そう言う訳で俺は魔法は使わないなぁ

 シルフと違って規模がヤバいだろうから

 使って練習なんて出来ないだろうからな。

 そう考えれば、フィジカルお化けで助かったぜ」

「その通りとしか言えないわね…」

「ふむふむ、圧倒される話しばかりだけど

 話を聞いてると、中々面白いわね」


ジュリアは楽しそうにメモを取ってるな。

姉2人は圧倒されてる様子だが

彼女の知的好奇心は姉以上だな。


「じゃあ次、シルフは何処で魔法を覚えたの?」

「え? 試したら出来ただけ…」

「誰にも師事してないのね!

 じゃあ、どれ程の規模の魔法を使うの?

 あなたの話から魔法を使ったことあるんでしょ?

 師事してない状態で魔法を使えるってだけでも

 相当だけど、どの規模かっていうのは興味あるわ」

「分からない、魔法の種類とか知らない。

 でも、ドリーズは最上級魔法とか

 そんな事を言ってたような気はする」

「へ、兵士からも話は聞きました

 木属性の最上級魔法を使ったとか…」

「師事もしてない状態で最上級魔法を!?

 じゃ、じゃあ、最上級魔法以外は!?

 木属性で言えば、初級魔法である

 ウッドリップとか出来るの!?」

「え? 知らない…」

「そうなの? こんな感じで」


そう言って、彼女は掌に植物を召喚した。

その植物は妙にしなってる。


「で、この植物を操って攻撃するのよ。

 大体、鞭みたいに使うからウッドリップ」

「ふむふむ、こんな感じ?」


彼女の魔法を真似て、シルフが掌から植物を召喚。

植物は滅茶苦茶元気よく動き回ってる。

植物なのに触手みたいだな。

見た目は完全に蔓とかなんだけど。


「す、凄い元気よく動き回ってるわね!

 こ、これはかなり破壊力が期待できる!」

「そうなの?

 ジュリアの蔓は動いてないよ?」

「えぇ、この蔓を自在に動かすのは

 最低でもSランクは必要なのよ。

 シャンデルナ様は元気よく動き回ってる。

 流石、適性ランクXよね!

 私の木属性適性はCランク程なのよ。

 だから、まだまだ元気よく動かないの」


Cランクは確か頑張れば使える程度だったな。

彼女が適性があるのは、確か火属性と回復

多分、特属性に類する才能だろう。

そこを天才だと自負してたって事は

その部分はBかAかSって事だよな。


「Cランクって、て、適性無いって…」

「あの時言ったと思うけど、頑張れば使えるの。

 あたしは全属性を頑張って鍛えて、Cランクにしてね。

 適性あるのは火と回復、まぁ特属性だけど

 そこはまだAランクなの、だから頑張ってるんだよね」


これはドリーズ的には評価高くなりそうな子だな。

頑張る奴が大好きなドリーズは好むタイプだ。


「ほぅ、努力をしておることは良い事じゃ」

「当然よ、あたしは天才と言われてるんだから。

 天才と言われてるなら頑張らなきゃ勿体ないわ!

 だからシルフも才能を滅茶苦茶伸ばして欲しいの!

 そう、全属性Zランクとか!」

「魔法の鍛え方……知らない」

「ふむふむ、そうよね、なら教えてあげるわ!

 あたしがしばらく付きっ切りで!」

「ジュリア、ちょっと喜びすぎじゃ…」

「お姉ちゃん! こんな機会は滅多に無いわ!

 凄い才能の持ち主であるシルフちゃんを放置は

 絶対に世界の損失になると思うの!


 それに、適性ランクZの魔法がどれ程のレベルか

 それを観察し、歴史に刻む最高の機会!

 これを放置したら、魔法ギルドの存在は無意味!


 あたしの知的好奇心は止まらない!

 シルフちゃんに魔法を教えて鍛えて

 どの規模で魔法が使えるかを観察したいの!」


お、これは俺達が願っても無い状況だな。

シルフの魔法を鍛える為にここに来たわけだし

シルフを鍛えてあげると言ってくれてる

専門家が出て来たのは素直にありがてぇ。


「だから、ここでシルフちゃんを鍛える許可を頂戴!」

「ほ、本気!?」

「うん!」

「で、でも、そう言うのは私達じゃ無くて彼らに」

「じゃあ、お兄さん!

 あたしがシルフちゃんを鍛える許可を頂戴!」

「あぁ、お前がそう言ってくれるなら喜んで!

 今は色々あって、姫様の護衛をしてるが

 俺らは本来、シルフの魔法を鍛えるために

 ここに来るつもりだったからな!」

「本当!? ね、お姉ちゃん!」

「わ、分かりました、ただ……その」

「信じられねぇかも知れねぇが、一応言っておくが

 俺は別に、ジュリアに手を出したりはしねぇよ。

 だから、安心してくれ」

「は、はい、わ、分かりました…」

「じゃ、決まりね! 明日からお世話になるわ!」

「あぁ、シルフの家庭教師、よろしくな」

「えぇ!」

「てか、雰囲気からしばらく泊まり込み?」

「勿論よ!」

「……まぁ、こいつなら大丈夫でしょうけど

 魔法ギルド的に大丈夫なの?」

「はい、問題ありません」

「そ、そう……じゃあ、ミント」

「えぇ! 腕によりを掛けて料理を作るわね!」

「シルフもそれで良いか?」

「ん、魔法鍛える」

「うし、じゃ、お願いな!」


まさかの住み込み家庭教師が出来るとはな。

シルフが成長出来そうで、俺も安心だ。

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