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護衛開始

護衛の依頼を受ける事になって

まぁ、即座に準備して1週間だな。

俺達は約束通り、門の前に来た。


「うぅ、ついに来たわね…」


フェイトはかなり緊張した面持ちだ。

そりゃまぁ、大仕事だからな、これ。


「き、緊張するわね、ふぇ、フェイトちゃん。

 わ、私、まさかお姫様に顔を合せることに…」

「わ、私もよ、ま、マグナの護衛扱いになって

 妙に姫様に会ってるからね…

 更には護衛だなんて……」

「護衛じゃと~? ぷふー、主如きがかぁ~?」

「ば、馬鹿にした表情しないでよ!

 そりゃ分かってるけどね!?

 私なんか護衛になるわけ無いって!

 で、でも、仕事を受けた以上は!」

「素直になるのじゃ、鈍感な奴め。

 仕事ならいつでも止められるじゃろ?

 じゃが、止めずにマグナと共におるのなら

 それはもう、主の意思と変わらぬわ。

 仕事だからと、くだらぬ言い訳を」

「ちがーう! こ、これは私の冒険者としての 

 誇りというか、プライドみたいな物なのよ!」


フェイトの返答に対し、ドリーズは

かなり馬鹿にしたような笑みを見せた。

それ以上は何かを言うことは無かった。

理由はシンプルで、馬車が来たからだな。

一応、空気を読んだという事だろう。


こいつからしてみれば、人の姫なんて

取るに足らないような存在だろうが

一定の理解はあるみたいだしな。

下手に騒ぐのは良くないと判断したんだろう。


「お待たせしましたわ、皆様」

「あ、よ、よろしくお願いします! ミントですー!

 マグナ様の多分お嫁さんです! すみませーん!」

「ちょ! み、ミント!?」


緊張でガッチガチのミントが全力で土下座をした。

土下座というか、まぁ、平伏したって感じか。

平伏と同時に、全力の自己紹介だな。


同時に、フェイトも動揺して同じ様に伏せたが

平伏するわけでは無く、ミントを揺すってる。


「い、いえ、そんなに緊張なさらなくとも…

 そ、その、面を上げてください」


そんな行動を見たリスティア姫は

ちょっとだけキョトンとしながら

とりあえず平伏を止めて欲しいと伝えてるな。


「ひゃ、ひゃい!」


リスティア姫の言葉が聞えたのか

かなり間の抜けた返事をして起き上がろうとした。


「おご!」

「あだ!」


だが、ミントを起そうとしてたフェイトの顎に

完全にミントの頭突きが入ってしまった。


「あ、あぁー! ふぇ、フェイトちゃん!

 だ、大丈夫!? 大丈夫-!?」

「だ、だ、大丈夫よ、い、一応鍛えてるし…」

「きゃー! く、口から血がぁー! 

 死なないでフェイトちゃーん!」

「ただ口の中切っただけよ!」


……一応、お姫様の前だというのに

あの2人、結構ドジしてると言うか何と言うか…

てか、フェイトってミント絡むと

何かちょっとだけ馬鹿っぽくなるのか?

いや、ミントに振り回されてるだけか。


「あ、あの、姫様……大丈夫でしょうか、これ」

「は、はい、問題は無い筈です」

「主らが1番暴走しておるでは無いか。

 そう言う馬鹿な事はマグナが担当じゃろうに」

「担当って何だよ、いやまぁ、そりゃ分かるがな。

 馬鹿は俺担当だ、暴走するのはミントだが」

「……緊張しすぎだと思う」


そんな、ちょっと振り回された一幕はあったが

一応、俺達は姫様の護衛を開始することになった。


「じゃ、行くか」

「そうですね、頑張りましょう!」

「……」

「……」


しかしながら、ミントとフェイトは馬車での移動。

リスティア姫とご対面しながらの移動だ。

シルフは俺の背中から降りようとはしないし

ドリーズは非常時の対応能力が高いから屋外だ。

馬車の中じゃ、こいつの機動力が生かせねぇからな。

で、俺も同じ様な理由で外で歩いてる。

即座に行動して馬車を守れる立場だからな。


となると、護衛対象であるリスティア姫と

あまり動けないミントは必然的に馬車の中。

最悪の場合、即座に馬車内の姫様を守れる人物として

フェイトが選ばれるのは当然だったと言えるな。

男が姫様と同じ馬車の中ってのは恐いだろうしよ。


「大丈夫かな……あの2人……」

「大丈夫だろ、ミントも慣れたらよく話すようになるさ。

 フェイトだって、良く姫様と話してるしよ」

「そうじゃなぁ、しかし、護衛の数は少ないのぅ」

「無理もねぇだろ、別の国に行くんだぜ?

 大量の兵士を一緒に連れて行けるかっての」


護衛は俺達の他に、数人の兵士だけだった。

そりゃまぁ、あまり多くの兵士を連れて行くと

戦争でもしに来たのかって誤解されるだろうしな。


その護衛の中に、シャナの姿は無い。

理由はまぁ、国の防衛指揮を行える

シャナが不在なのは不味いと判断してだろうな。

他にもシャナの知名度が高いってのもあるだろう。


一応、シャナの功績は英雄クラスらしいしな。

他国も警戒するかもって思ったんだろう。

ま、俺達はシャナよりも強いが

知名度はあまり無いからな。

俺達の事を知ってるのは、バスロミア国だけだろう。


「しかしのぅ、面倒じゃなぁ、歩くのは。

 儂の部下を呼んで、運んで貰えば早かろうに」

「ドラゴン襲来したら大惨事じゃねぇの?

 ガチで攻撃してくるんじゃね?」

「迎撃は容易じゃろうが、同盟とやらが出来ぬか。

 全く、人の国とは何と面倒な事か。

 力を持って、全てを征すれば良かろうに」

「そりゃ野性的な話しになるんじゃね?

 そりゃよ、俺もそっちの方が楽で良いが

 後から面倒くせぇだろ」

「絶対的な力を持って支配すれば平和じゃと思うが。

 まぁ、その支配方法では、1世代しか持たぬか。

 人は短命じゃしな、仕方あるまい」


やっぱりドリーズって、意外と理解力あるというか

意外と人間に対して理解してるような感じするな。

傍若無人の様に見えて、意外とよく考えてる。


「ま、のんびり歩くのも良いだろ」

「そうじゃな」


そんな会話の後、大きな物音がする。

森の中からオーガが姿を見せたな。


「オーガ!? こ、こんな国の近くに!?」


周囲の兵士達が驚きながら武器を構える。


「ふむ、雑魚が出たのぅ」

「やっぱ活発になってるって奴か? 

 まぁ、あれ位なら」

「こ、こっちに来るぞ! ば、馬車を!」


兵士達が馬車を守ろうと動くと同時に

大きな影が素早く横切り


「な!?」


ドラゴンが飛来し、オーガの首を跳ね飛ばし

そのまま俺達の視界から消えるように距離を取った。


「うむ、見事な強襲攻撃じゃ、

 儂が教えた通りに鍛えておる様じゃな」

「あのドラゴンはどのドラゴンだ?」

「うむ、奴はピンキーじゃな。

 ふむ、今日の担当はピンキーと言う事か」


一瞬のことで思考が追いついていない兵士達

だが、俺達は特に動揺する事無く進む。


「ほれ、早く進めよ、遅くなるぞ?」

「え? あ、は、はい……」


ピンキーに首を跳ね飛ばされたオーガが

その場で大きな音を立てながら倒れ、消えていった。

やっぱ魔物は死んだら消えるらしいな。


「なぁ、なんで魔物って死んだら消えるんだ?」

「うむ、魔物はかなりの比率で魔力で構成されておる。

 死亡することで、その魔力の結束が一気に緩み

 空気中の魔力と混ざり溶けてしまうから消えるのじゃ。


 じゃが、個体差がいくらか存在しておってな

 ドラゴンは魔力の結束が他の魔物よりも遙かに強く

 ほぼ物質となっておるため例え絶命しても、

 決して消えることは無いのじゃ。

 骨は残るし、人と何ら変わらぬと言える」


ふーん、魔物って魔力で出来てたんだな。

しかし、じゃあ魔法が使える人間はどうなってんだ?

と言っても、流石のドリーズもそこまでは知らねぇか。


「ふと気になったんだが、お前はどっちなんだ?」

「儂か? 儂は魔物と人のハーフ、竜人種じゃからな。

 つまり、儂の肉体は人と魔物の中間と言える。

 細かい所までは流石に分からぬのじゃが

 恐らく魔物と同じ様に魔力で体の一部が出来ておるから

 かなり長寿なのじゃろうな」


成長してねぇのも、そこに理由があるのかもな。

まぁ、流石に分からないみたいだけど。


「ま、難しい事考えても分かんねぇか。

 俺は馬鹿だからな、とりあえず歩くか」

「そうじゃな、今は進むとしよう」


そのまま、俺達はゆっくりと進むことにした。

オーガの騒動は馬車の中には伝わってない。

オーガ出現から瞬殺だったわけだしな。

一応、ドラゴンの護衛もあるとすれば楽だな。

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