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見て見たい才能

さて、姫様との挨拶も終わったし

今日は家でのんびりしたいが

どうやら、ドリーは動きたいらしい。


「さて、ではシルフ」

「ん? 何?」

「マグナからの許可もいるかも知れぬが

 まずは主に声を掛けるのじゃ。

 少し、儂と戦わぬか?」


家に戻って、ドリーはシルフに声を掛けた。

正直、シルフには危ない事はして欲しくねぇ。

とは言え、シルフがやりたいって言うなら

俺は無理には止めねぇだろうが…


「……なんで?」

「主の強さを儂は知りたいのじゃ。

 くく、主も知りたいじゃろう?

 自分の強さを」

「いや、別に……」

「何故じゃ!? 気になるじゃろ!?

 お、お主も全力で戦ったこと無かろう!?」

「ん、無い、でも戦う必要無いし」


そう言って、シルフは抱き付いてる手の力を

少しだけ強くした。


「う、うむ、た、確かにそうじゃろうな、うむ。

 マグナの隣におれば万事安全じゃろうし

 戦う必要が無いのはそうじゃろう。


 実際、マグナは主を放っておいて

 何処かへ行くことも無いじゃろう。

 じゃがなぁ、マグナは主に手を出すことはあるまい。


 主もその内、成長するのは確定じゃし

 ずっとマグナの隣におるわけにも行かぬ。

 主程の才能を後世へ伝えること無く

 主の代で終わらせるのも、あまり良く無いじゃろう。

 じゃから、1人で好きな男へ」

「俺は認めねぇからな!」


シルフが彼氏を連れてきたら、俺は最悪ぶん殴る!


「先の話じゃ! 過剰に反応する出ない!

 最悪の場合、主がシルフとの間に子を宿せば良い!」

「そんな事する分けねぇだろ! この俺が!」


俺は可愛い妹に手を出すことは決してしねぇ!


「分かっておる! それは重々承知じゃ!

 しかしのぅ、マグナ。強くなければシルフは

 最悪の場合、望まぬ相手と子を宿すことになる可能性も!」

「俺が守れば良いだろ!」

「ぬ、主が凄いのは分かっておる! 分かっておるのじゃ!

 じゃ、じゃが、主は1人しかおらぬし

 し、シルフとの間に子を授からぬのであれば

 い、いつかシルフも独り立ちし新たな幸せを目指すべき!

 その時に多少の強さが無ければ、幸せを掴むことは!」


確かに俺も1人だし、シルフを守る為に分身も出来ねぇ

成長した後にシルフの自由を俺が束縛するのも良くねぇ。

だが、強くねぇと自分が好きな様に生きられねぇのが

この世界の掟みてぇなもんだからな……


「じゃ、じゃからほら、す、少しは鍛えた方が良いのじゃ。

 全力を出せる相手が居るというのは良い子とじゃしな。

 シルフの才能は間違いないのじゃ。


 じゃが、才能が飛び抜けておるが故に

 全力を出せる相手が早々居ないのも事実。

 無論、お主であればシルフの全力でも相手できるじゃろうが

 お主相手じゃ、自分の強さを認識出来まい」


まぁ、シルフの多分全力の電気魔法だったかな。

あれを喰らっても、ちょっと痺れるだけだしな…


「じゃから、丁度程々に実力が近い

 儂と戦って、戦いの経験を少しは得て

 魔法の制御をこなせるようになるのも良かろう」

「でも、あなたって魔法嫌ってなかったっけ」

「儂に子を宿すオスには魔法に頼って欲しくないだけじゃ。

 魔法は言わば、人の戦い方じゃし否定はせぬよ。

 ただ儂に子を宿す対象として興味が無いだけじゃ」


フィジカル大事って感じなんだろうな、ドラゴンだし。


「じゃからシルフ、少しは全力を出してみるべきじゃ。

 安心せい、主に怪我をさせるわけにはいかぬし

 主に攻撃はせぬから」

「……魔法、興味はあるけど…」

「おぉ! では試すのじゃ!」

「でも、魔法はにーにの為に使う……

 マッサージとか、料理とか、明かりとか。

 だから、戦う必要は無い」

「魔法を上手く扱う練習じゃからな。

 そう言う手加減の練習にもなるはずじゃ!」

「……手加減出来てる」


そう言って、火属性の魔法を指先に展開して

火力を自在に調整して見せた。


バーナーみたいな火力にしてみたり

ライターみたいな火力にしたり

ロウソクみたいな火力にしてみたりを

表情1つ変えずにやって見せた。


「ま、魔法の制御も完璧なのね……シルフちゃん」

「ん、全部完璧に制御出来る。

 練習した、にーにの役に立つために」

「はは、ありがとうな!」

「ん、と、当然…」


シルフの頭を撫でると、シルフは笑顔で堪えてくれた。


「凄く可愛らしい笑顔ね、し、シルフちゃん。

 頬まで赤くしちゃって、本当に懐いてるわね…」

「うーむ、了承してくれぬか……」

「そもそも、シルフちゃんの全力って……家持つの?」

「む? 持つわけ無かろう、火でも最悪壁が溶けるぞ」

「危ないでしょ!? やらないでよそんなの!」

「大丈夫じゃろう、シルフは制御完璧みたいじゃし。

 それに、戦うなら屋外でするつもりじゃしな」

「屋外でも最悪壁が溶けるような火力とか

 周りに被害が出るに決ってるでしょうが!」


でもなぁ、こう言う話を聞いてみると気になるよな。

シルフの全力ってどんな感じなのか。

でもなぁ、シルフはあまり乗り気じゃねぇしな。


「……でも、少し気になる」

「何がだ?」

「魔法、本気で使ったらどうなるのか……」

「おぉ! では試すのじゃ!」

「……でも、疲れる」

「す、少しだけなら大丈夫じゃろ?」

「何であんた、そんなに戦いたがってるのよ」

「知りたいのじゃ、シルフの全力を。

 儂は気配でしかシルフの強さは感知出来ぬが

 その気配だけで儂とシルフは互角じゃと感じる。

 その才能がどれ程の物か、儂は知りたいのじゃ。


 それに、その才能を鍛えずに放置というのは

 あまり良い事とは感じぬのじゃ。

 シルフ程の齢でそれ程の才能の持ち主。

 その才能を鍛えずに腐らせるのはあまりにも勿体ない」


結構ドリーズって特訓とか訓練とか大好きだもんな。

フェイトの訓練を見て、相手してやるくらいには

ドリーズは努力してる奴を見るのが好きみたいだし

自分自身も努力が大好きって感じだしなぁ。


そんなドリーズがシルフの才能を放置したくないと

そう感じるくらいにはシルフの才能は秀でてると。


「のぅ、シルフ……た、試して見ぬか?

 お、お主の強さを、才能を。

 もしもお主の才能が飛び抜けておって

 必死に鍛えておれば、戦力として

 マグナを援護できるやも知れぬ」

「にーにの?」

「うむ、確かにマグナは凄く強いのじゃ。

 儂らの助けが無かろうとも全てを排除できる。

 じゃが、マグナとはぐれてしまう可能性もある。


 その時に、主に何かあればマグナは悲しむのじゃ。

 早々無いじゃろうが、絶対に無いとも言い切れぬ。

 その時に戦えるように、す、少しは努力を……」


当然だが、俺はシルフを放置はしねぇだろう。

だが、将来的に……もし、シルフが成長して

俺から離れたときに戦える術がねぇと……

実際、ドリーズが言ってた時に好きな事は出来ねぇ。


「……ん、分かった」

「おぉ!」


ドリーズの話を聞いたシルフは少し考えた後

ドリーズの申し出を受ける事を決めたらしい。


「にーにの助けになるなら……頑張る」

「うむ! その通りじゃな!」


多分だけど、シルフは成長した後に

俺と離れ離れになるって言うのは考えてないだろう。

だが、俺の役に立ちたいから頑張ると言ってくれた。

はは、素直に嬉しいな、お兄ちゃんとして。


「……マグナ、止めないの?」

「シルフが自分で決めたなら止めねぇよ。

 ドリーズもああ言ってたし、怪我もねぇだろ」

「そう、うーん、私も見てみたいけど……」

「どうした?」

「私は家に戻っておくわ、ミントと料理作っておく」

「見ないのか?」

「興味はあるわ、でも、今の私じゃ巻き込まれて

 怪我をするのは目に見えてるからね

 だから、今回は身の程を弁えるわ」

「そうか、じゃあ上手い料理作っててくれよ!」

「大丈夫よ、ミントと作るんだからね」


まぁ、結構規模がヤバいことになりそうだしな。

仕方ねぇか。

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