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竜人種

さて、今日1日の行動は大体決ってる。

今回でドリーズも元気になったし

そろそろ城へ行ってこいつの話をしよう。


とは言え、城に行くって形だから

ミントは家で留守番することになった。

流石に恐れ多いと感じたんだろうな。

だから、城に来たのはドリーズと

俺とフェイトとシルフだけだった。


「マグナ様、ようこそいらっしゃいました」

「おう、歓迎ムードだな、どうしてだ?」

「マグナ様のご来訪は我々からしても

 心から喜ばしいことだからです。

 それに、リスティア姫様も喜びますし」

「ここの兵士は全員がバルキリー部隊所属だしね。

 シャナさんが認めた相手にはかなり甘いわ」


やっぱりシャナの影響がデカいんだな。

シャナが俺と戦って俺を認めた。

だから、兵士達は俺の事を歓迎してると。

なる程なぁ、やっぱりシャナが第一なのか。


「その通りです。では、本日のご用件を」

「あぁ、実は話したいことがあってな。

 門番から聞いてるかも知れねぇがこいつだ」


用件を聞かれて、俺はドリーズを紹介することにした。

ドリーズは俺の足下であくびをしてた。


「あぁ、儂の自己紹介か。

 うむ、では自己紹介じゃな。

 儂はドリーズという者じゃ。

 竜人種であり、ドラゴンの女王じゃ」

「……りゅ、竜人種…?」

「おとぎ話でしか聞いたこと無いだろうけど

 こいつがその竜人種らしくてね」

「そんな馬鹿な……し、しかし…」

「くく、この姿を見てあり得ないと言えるかの?」


そう言って、ドリーズは自分の翼を大きく広げた。

そして、尻尾でバランスを取りながら体を持ち上げ

口から僅かながら炎を見せる。


「そ、その翼、その尻尾、そして口から炎……」

「ほぅ、そんな風に起き上がれるんだな、それ」

「当然じゃ、儂の尾は犬猫の尾とは違うのじゃ。

 この尾で並の人であれば絞め殺すことも造作ない。

 この尾を鞭の様に振えば岩も容易に砕ける。

 当然、この尾のみで我が身を支える等造作ない」

「俺と戦った時、尻尾で攻撃してねぇだろ」

「当然じゃろ、儂の爪でも傷も入らぬし

 儂の牙でも全く立つ事も無いような主に

 儂の小手先の部位である尾で

 主に傷を与える事など出来る筈も無いしのぅ」

「あぁ、やっぱ本命は牙と爪か」

「当然じゃ、儂の爪は鋼だろうと容易に切り裂けるし

 儂の牙は鋼も竜の鱗も容易に貫く牙じゃ。

 普通は牙が入らぬ筈も無いのじゃが……」

「お前の牙は折れてたし、爪も折れてただろ」

「うむ、主が異常じゃからな、始めてじゃよ」


やっぱり普通はとんでもない攻撃力らしいな。

俺は大してダメージを喰らわなかったが

やっぱり俺の肉体は圧倒的と言う事だな。


「まぁこやつが異常なのは主らも知っておろう。

 その話は良い、今は儂の話じゃろが。

 まぁ、伝えたい事は殆ど伝え終わっておる。

 この姿で儂が竜人種じゃと理解してくれたかのぅ?」

「……そ、そうですね、信じるしか無いでしょう」

「そのー、それで、大丈夫?」

「リスティア姫に攻撃は…」

「するわけ無かろう、交流をしに来たのに

 攻撃をするはずが無いのじゃ。

 そもそも、攻撃するつもりなら

 わざわざこの場所を通ろうとはせぬよ。

 空から火を吐いて終わらせておるわ」

「そ、そうですね」


ちょっとだけ焦りながらではあるが

ドリーズの言葉を受入れたようだな。

そりゃなぁ、こいつがその気なら

空からいくらでも炎を放つ事も出来るし

ドラゴンを招集することだって出来る。


流石にこいつの配下であるドラゴン総出で

この城に攻撃なんてされたら

俺でも城を守りきれるか怪しいくらいだからな。


「では、ご案内します」

「うむ」

「大丈夫かしら…」

「にーにが居るから」

「そ、そうね、こいつ居るしね…

 てか、マグナ以外に止められる気がしないし」

「止めるだけならシルフでも止められるじゃろう」

「そうね……って、え!? 止められるの!?

 シルフちゃんがあんたを止めること出来るの!?」

「実力は儂にいくらか近いしのう、そやつ。

 気配で分かるのじゃ」

「そうなの!?」

「知らない」

「自覚が無い部類じゃしな、主。

 理由は分かるのじゃ、マグナがおるからのぅ。

 マグナと比べれば、儂さえも赤子同然じゃ」

「はは! そりゃそうだ、俺は最強って奴だからな」

「にーには最強」

「うー、てか本当……マジで私居るのかしら…」


俺達の会話を聞えてるだろうが

門番達はあまりは無しに入ってこないな。

と言うか、若干冷や汗かいてるように見える。

そりゃまぁ、こんな会話が聞えてたらなぁ。


だって、フェイトって国ではシャナ程じゃ無いが

シャナの次くらいには強いって認識だろう。

そのフェイトもあの会話の内容では手も足も出ない。

そんな馬鹿みたいに強い竜人種が来てる。


更にその竜人種が互角と評価する

滅茶苦茶可愛い小さい女の子。

更にその竜人種が自分達では手も足も出ないと評価する

俺という圧倒的な存在が居るわけだしな。


「おや、マグナ殿、城へ来られるとは」

「おぅ、シャナか」

「ほぅほぅ、主、中々強そうじゃな」

「む、この子は……」

「うむ、儂はドリーズと言う者じゃ。

 これからマグナの元で世話になるつもりじゃ」

「と言う事は、マグナ殿の新しい女性と……ふーむ」

「一応、俺の名誉の為に言わせて貰うが

 ハーレムの一員って俺が認めた訳じゃねぇからな。

 俺は小さな女の子には欲情しない」

「強情な奴め! 儂に子を宿せるのは名誉な事と!」

「あのなぁ、妹と見た目同じ位の女の子に欲情しない

 何度言ってると思ってるんだよ」

「何度も言うが、儂は100は超えておるぞ!」

「いやだから、見た目だって」

「100……何を馬鹿な…」

「儂は竜人種じゃからな、長寿なのじゃ」

「竜人種……そんなおとぎ話」

「主もそう言う口か? この容姿を見れば一目瞭然じゃろ?」


最初は装飾品に思えるのかも知れないなぁ

ドリーズのあの大きな翼とか尻尾とか角とか。

だから、その部位を自在に動かすと驚く。


「動く……装飾品じゃ…」

「本物じゃよ、これは列記とした儂の一部じゃ」


面白い位にくねくねと尻尾を動かしてるな。

まるで尻尾が蛇みてぇだな。


「……な、なる程…」

「さて、儂の話はもう良かろう

 それよりも主、強そうじゃな。

 フェイトよりは出来ると言う感じかのぅ」

「シャナさんは間違いなく私よりも強いわ。

 私じゃ、正直手も足も出ない」

「ふむ……なる程のぅ、そしてシャナか。

 お主、その傷跡……ドラゴンと戦ったことが?」

「き、傷だけで分かるんだな……

 その通り、私は過去、国へ飛来したドラゴンと

 1対1で戦った経験がある」

「生きてると言うことは、勝ったと言う事か」

「あ、あぁ、辛うじて……」

「ほぅ、ほぅほぅ」


シャナの方を見て、ドリーズが嬉しそうに笑ってるな。

まぁ、こいつは強いやつが好きらしいからな。


「主は魔法を使える訳では無いのじゃろう?」

「そ、そうだな、魔法は使えない……

 魔法は殆ど男の技術だからな……

 シルフ殿はかなり稀少な例と言えるが……」

「女の身でありながら、魔法を扱えない状態で

 その身1つでドラゴンと戦い、勝利したと……

 くく、人の女子も捨てた物ではないのぅ

 フェイトも人の身でありながら、

 中々出来るとは思ったが、そのフェイト以上とは」

「……」


シャナが冷や汗を流してるのが分かる。

ドリーズを見て、不安を感じてるのだろう。

自分よりも強いと確信は出来てるだろうし。


「本来であれば、戦ってみたいと感じるじゃろう。

 確実に強い人の子、一度手合わせをしたいが

 主は騎士団長という立場じゃろう?」

「その通りだが……」

「ならば、主の立場を尊重し、ここは引こう。

 人の上に立つお主が、儂のような小娘に敗北。

 それは、あまり好ましいことでは無かろう」


こいつもドラゴンの頂に立ってるだけあり

上に立つ相手の立場に気を使ってるのか。

実際、シャナがこいつに負けるのは確定だろう。

シャナなら攻撃を当てる事は出来るだろうが

こいつの防御力を突破出来る気はしない。


「な、シャナ様があなたに負けるはず!」

「待て、彼女が言ってることは事実だ」

「シャナ様!?」


シャナも当然、自分では勝てないと理解してる。

シャナは最強と言われているが

礼儀がしっかりしてるし、相手を侮らないからな。


「くく、冷静じゃな、お主。

 既に敗北をした経験があるか」

「あぁ、つい最近」

「誰に敗れた?」

「あなたの隣に居るお方だ」

「くく! なんじゃ、お主も戦ったのか

 ならば当然の結果じゃろうな。

 それでどうじゃ? 傷は負わせられたか?」

「まさか、傷1つ付けることが出来なかった」

「くはは! 当然じゃな! 

 儂の牙も爪もこやつには効かぬしな!

 儂の全身全霊の一撃を用いても

 こやつが本気であれば傷1つ付くまい

 首に牙も入らぬし、爪も効かぬ。

 急所が無い完全に無敵に近い男じゃ」

「弱点があったら最強じゃねーしな」


俺達の会話を聞き、他の兵士達は動揺したが

シャナはそこまで大きな動揺は見せなかった。


「じゃが、主は十分誇ると良い。

 主は非常に強い人間じゃ。

 その身1つでドラゴンと戦い撃退した。

 それは、まさしく英雄と言える快挙。

 人の範囲であれば、最強と言えよう。

 儂やマグナのような存在と比べる必要は無い」

「おいこら、俺も人だぞ」

「くく、主は人の範疇には入るまい」

「そりゃまぁ、俺は相当化け物染みてるしな」


人の範疇じゃ、最強とか言えない気がするしな。


「じゃから、主はそのまま努力を続けるのじゃ。

 マグナという絶対的な目標があるのじゃ

 いくらでも努力できよう」

「あぁ、私は挑戦者だからな。

 武の極みに挑み続ける楽しさを知った」

「それで良い、絶対的な実力差を目の当たりにしてもなお

 挑もうとする事が出来るのは強者のみじゃ

 主は十分強者じゃ、挑み続けるのじゃ」

「そのつもりだ」


シャナの返答を聞いてドリーズは楽しそうに笑った。

八重歯もしっかりと見える位には笑顔だ。

こいつは努力する奴が好きらしいな。

強者の余裕と言う奴なのかも知れない。


「じゃあ、俺達はこのままリスティア姫様に会いに行くぜ」

「分かりました、リスティア姫様も

 既に準備は出来てるそうです」

「サンキュー、じゃ、行くか」

「うむ」


さてと、こいつの話をしっかりしねぇとな。

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