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最高の戦い

ドリーズはそのまま嬉々として戦いを挑んで来た。

俺の防御力に恐れをなして逃げる訳で無く

むしろ楽しそうにしながら突撃とはね。

シャナは結構ビビってたが

この子は戦闘狂なのかも知れない。


「ふはは! 効かぬ! 儂の攻撃が効かぬとは!」

「全然効果無いのにむしろ嬉しそうだな」

「当然じゃ! 儂が全力で挑める相手など!」

「お?」

「初めてじゃ!」


彼女が即座に近づき、俺の首を爪で引掻いた。

だが、俺の首は傷1つ付くこと無く

むしろ、ドリーズの爪の方が砕けた。


「圧倒的な肉体! これこそ真のオス!」


そう言って、彼女は俺の首に噛み付いてきたが

当然、彼女の牙は俺の首には入らず

逆に彼女の牙の方が砕けることになった。

ドラゴンの牙でも通らない皮膚か。

こりゃ、やっぱ弾丸受けても余裕だな。


「くはは!」


だが、彼女も竜人種と言うだけはあるのか

砕けた爪は即座に再生し、牙も復活した。

高い再生能力があるらしいな。


「くく! 楽しいのぅ!」


今度は下がりながら腕を大きく振って

彼女は俺の方に向けて爪を放ってきた。

俺はその爪を掌で受けて防いだ。


俺の逃走を阻害するためなのか

周りに展開してた爪は俺には当らず

代わりに周囲にあった岩を容易に貫いていた。

同時に大量の木々も砕かれたのか

派手な音が背後から聞えてきた。


「やはり効かぬか! ならば、これじゃぁ!」


大きく息を吸った後に彼女が息を吐くと同時に

かなりの熱量がある炎が口から出て来たな。

まぁ、地獄の業火とかと比べりゃ大したこたぁねぇが

流石に放置じゃ、シルフ達が危ないだろう。


「あまり派手な攻撃すんなよ。

 シルフ達が怪我するだろうが」


拳を振い、彼女の炎を全てかき消した。

こうでもしねぇと、シルフ達が火傷しちまう。


「ぬぉ! くく、見事!」


俺が炎をかき消したが、彼女はマジで嬉しそうだな。

本当に戦うのが大好きらしい。


「あぁ、なんと……なんと至福な時じゃ……

 この儂が……今まで全てを圧倒してた

 この儂の攻撃が容易に捌かれていくとは……

 心の底からワクワクする、ドキドキする……


 主が何処まで強いのか! 儂が何処まで通用するか!

 儂が初めて全力を出せるような相手が居るとは!

 挑むぞ! 挑めるぞ! 試せるぞ! 儂の全力を!

 儂が編み出した全身全霊の一撃を!」


彼女が顔を真っ赤にしながら力を込め始めた。

口から炎が僅かに漏れ出し、彼女の掌からも

炎が噴き出してきた……その炎は青くなり

彼女の全身を覆い尽くす。

だが、炎の中でも彼女の姿はハッキリと見えた。


「うし、じゃあフェイト、シルフ頼むわ」

「え!? な、何する気!?」

「流石にシルフを肩車したままじゃ危ないからな」

「ちょ! あ、明らかにヤバそうよあれ!

 は、速く止めないと!」

「大丈夫だっての、ほれ、頼むわ」

「ちょっと!」

「ミントも下がってろよ、怪我するからな」

「は! そ、そうよね! 惚けてる場合じゃ無いわね!」

「あぁもう! 滅茶苦茶よ!」


俺が全員に避難を指示してる間にチャージが完了したみたいだ。


「行くぞ……儂の最大最高の大技じゃ!

 今まで誰にも放ったことの無い最強の一撃!」

「うし、さぁ全力で来い! ドリーズ!

 お前の最大最高の技って奴を受けてやるさ!」

「うおぉおおおおおお!」


彼女が大声を上げながら、大地を強く蹴った。

一瞬だったな、彼女が大地を蹴ったと同時に地面は溶けた。

そして、感覚程度でしかねぇから予想でしか無いが

彼女が俺の眼前に来た時にゃ、大地を蹴った音さえ聞えて無い。

つまり、こいつは音よりも早く突撃して来たって訳だ。

俺以外にこの状況に気付けるか、若干怪しいな。


「うぐぐぐぅうう!」


彼女が俺にぶつかって苦しそうに唸ってる。

俺はその攻撃を素手で防いで、結構その場から動かされた。

相当なパワーだな、こりゃ、中々の高威力って奴だ。

俺がこの攻撃に対して防ぐでは無く反撃であれば

多分、ドリーは生きてなかったんじゃねぇかな。


「ぬおぉおお!」

「お?」


少しして、一瞬で炎が更に高温になったな。

そのまま大地が融解してきた。

やっぱりシルフを逃がしてて正解だったな。


「がぁああ!」

「おぉ!」


そのまま熱が上がり、かなりの爆発が発生した。

彼女の掌で何かが爆発したように見えたな。

その後、彼女は爆発で吹き飛んじまった。


「く、くく……」

「ふー、かなりビビったぜ」


とんでもねぇ攻撃力だったな、これ。

俺の腕からちょっとだけ血が出て来た。

正直、俺もかなり嬉しかったと言える。

初めてだぜ? 俺がちょっととは言え

こうやってダメージを受けたのは。

まぁ、軽い傷程度でしかねぇが。


「……しかしだな、冷静になって気付いたぜ。

 てか、冷静に考えればもっと簡単に気付けてた

 ……俺の服! 燃え尽きたじゃねぇかぁ!」


今腕の傷を見て気が付いたが、俺全裸だこれ!

そりゃそうだよ! 考えてみりゃ当然だ!

俺は大した事ねぇって感じたがよ!


実際、あれだけの熱量なら服も燃えるわ!

クソ! 地獄の業火で焼かれ続けてたせいで

色々と感覚が狂ってるが! 普通はあの熱量!

人間が形を残したままで居られるわけがねぇ!


「そ、それはそうじゃろ……

 儂はかなりの熱を纏ったのじゃ……

 ぬ、主は無傷でも、普通の素材ならば溶ける」

「あ、そうか、燃え尽きたんじゃ無くて溶けたのか」

「うむ、溶けたのじゃ……主の足下もほぼ溶岩じゃし」

「……あー、ちょっと温いなって思ったら…」


そう言えば、岩とかが熱で溶けたらマグマになるっけ。

俺はそこら辺、マジで記憶にねぇが確かそうだろ。

てか、マグマって意外とぬるいんだな。

滅茶苦茶熱いって聞いたが

やっぱ地獄の業火の方が熱いなぁ。


「てか、そんなのどうでも良いんだが……全裸は不味い!

 仕方ねぇ、急いで着替えを貰ってくるか!」

「勝手にするのじゃ、儂は動けぬ……」


とりあえず、急いでフェイト探さねぇと。


「ちょ、マグナ! マグナ! 大丈夫なわけ!?

 なんか滅茶苦茶凄い音が聞えたんだけど!?

 あと、滅茶苦茶熱かったけど大丈夫なの!?」


あ、フェイト結構遠くの方に逃げてたんだな。

まぁあれ位離れてくれてねぇと危ねぇが。

とりあえず身を隠して近付こう。


「フェイトー! 聞えるかー!?」

「マグナ!? 大丈夫なわけ!?」

「あぁ! だが問題があってな!」

「問題!?」

「あぁ! 服が溶けた!」

「……はぁ!?」

「だから俺の服、そこら辺に置いててくれ!」

「……はぁ?」

「服って溶けるのかしら」

「溶けるわけ無いでしょうけど……

 ん? なんか訳が分からないわ……

 で、でも、し、従おうかしら」


少しの沈黙……だ、大丈夫か? 聞いてくれるか?


「と、とりあえず置いたわ!

 着替えるなら着替えなさい!」

「おぉ! サンキュー!」


フェイトの回答の後、俺は服を着替えた。


「うし! 一安心だな!」

「マグナー、もう良い?」

「おう!」


俺の返事の後、フェイトが姿を見せた。


「……で、服が溶けたって何?」

「まぁ、付いてくれば分かる」


とりあえず、ぶっ倒れてたドリーの所へ戻る。

俺が居た場所は変わらずドロドロのままだ。

で、ドリーズはぶっ倒れたまま。


「……何、これ」

「マグマだな」

「なんでマグマがこんな場所にあるの!?」

「そりゃ、地面が溶けたからだな」

「溶けるとか訳わかんないんですけど!?」

「俺も驚いたぜ、ドリーズマジでヤベぇな」

「あ、あの竜人種の? あ、あいつがやったのね。

 で、そのドリーズはあそこで倒れてるわけだけど…」

「あ、俺は何もしてねぇぞ? 攻撃してないし」

「……攻撃してないの? じゃあ、このマグマは?

 あんたが避けたから出来たの?」

「いや、攻撃を防いだら溶けてな」

「あんたの方が化け物でしょうが!」


まぁ、俺も相当耐久力あるなーって思ってたし。

いやマジで、弾丸じゃこりゃ傷1付かねぇわ。


「でも、俺も怪我したんだぞ? ほれ」

「……に、にーにが血を……

 ドリーズ、滅茶苦茶強い……

 最強の魔物かも知れない……」

「あのシルフちゃんが滅茶苦茶焦ってるわ…

 いや、私もビビるけど……あんたが血を流すって

 正直かすり傷程度だけど」

「どんな攻撃だったか分からないけど

 マグナ様が怪我をするって相当だったのね!」

「でもね……大地が溶ける位の攻撃を受けて!

 軽いかすり傷程度の怪我ってのはやっぱ異常よ!

 そりゃ刃物程度が通るわけ無いわ!」

「これなら、弾丸を目に受けても余裕そうだよな!」


流石にあれほどの攻撃だとちょっと怪我するってのがな。

やっぱり力を込めてねぇとあの規模は不味いか。

俺もまだまだ鍛錬が足りねぇのかもな。


「とは言え、力を抜いてる状態じゃ

 あの攻撃なら怪我をしちまうってのがな。

 目に力を入れる方法は分からねぇから

 あの規模の攻撃を目に受けたらヤバいかも」

「しれっと言わないで欲しいんだけどさ……

 あ、あんた、あ、足下がマグマになる攻撃を

 体に力を入れてない状態で……受けたの?」

「おう、行けるかなって思ったが怪我しちまった」

「やっぱあんたは化け物よ! 間違いないわ!」

「おう、知ってる」


まぁ熱は大した事無かったがな。

地獄の業火って温度なんぼだっけ1兆度だっけ。

そこら辺はよく覚えてねぇが、それと比べりゃな。


「まぁ、この程度大して熱くねぇし問題無いが」

「熱くないって何処が!? 滅茶苦茶熱いけど!?」

「そうでもなくね?」

「異常よあんたの感覚!」


そうかなぁ、やっぱり感覚が異常なのかもな。


「本当に主は凄いオスじゃ……」

「しゃ、喋った……」

「おう、ドリーズ、大丈夫か?」

「……大丈夫では無いのぅ、動けぬ」

「動けないのか? 何でまた」

「ぬ、主に放った攻撃は反動が凄いようじゃ。

 恐らく、1週間はまともに動けぬ……」

「ふーん、仲間のドラゴンを呼ぶか?」

「この状態で呼べるはずも無いのじゃ……

 のぅ、お主……儂を運んで欲しいのじゃ」

「運ぶ?」

「うむ、主の住処で世話をして欲しいのじゃ」

「な! 世話って……き、危険よ!

 だ、だってこの規模の攻撃をする相手よ!?

 国で暴れられたら被害が!」

「大丈夫じゃ、暴れたりはせぬ……

 頼むのじゃ、動けぬしこのまま放置されては

 儂は野生の魔物に襲われかねぬ。

 望まぬ子など宿したくは無いのじゃ」

「何言ってんのよあんた」


正直、魔物に襲われるってあり得ねぇと思うが

まぁ、この動けない子を放置ってのは良くねぇだろう。


「まぁ、どちらにせよ軽く世話はしてやるよ」

「おぉ、頼むのじゃ…」

「はぁ!? 正気!? 危ないって!」

「このまま放置で死なれたら困るだろ?」

「は、ハーレムに入れるつもりなの!?」

「いやいや、最初も言ったが

 俺は小さい子に欲情しねぇって。

 だが、放置して死なれちゃ目覚めも悪いだろ?」

「……で、でも、相手は魔物よ…」

「小さい子だし可愛そうじゃないの」

「危ないのよ!? こいつが暴れたら私達は!」

「暴れたしはせぬ……約束は違わぬ、信じて欲しい」

「こう言ってるしさ、良いだろ俺も居るし」

「……」


フェイトがかなり悩んでるな。


「わ、分かったわよ……あ、暴れないでよ!?」

「うむ、約束は必ず守るのじゃ」

「じゃ、連れてくか、どうする? 誰が背負う?」

「こ、恐いけど……私が背負うわ

 マグナに任せるのは何か嫌だし」

「信頼しろって」

「あんたはシルフちゃんを肩車してなさい。

 私はこの子を背負って……せ、背負って……」

「どうした? フェイト、速く背負ってやれよ」

「お、重い……め、滅茶苦茶重い……」

「儂は体重は凄いからのぅ、多分じゃが

 最低でも100は越えておる」

「お、重すぎる!」

「じゃぁ、俺が背負うか、ほれ」

「感謝するのじゃ」


うし、じゃ一旦帰るかな。

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