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冒険へ

いやぁ、中々楽しい家での生活だが

やはり冒険ってのはワクワクするな!


「やっぱり城の外は広々として気分良いわね」


フェイトが背伸びをしながら呟く。

その背中には大きなバックがある。


「そのバック、何処から?」

「支給されたのよ、シャナさんから。

 あんたは忘れそうだからってね」

「はは、そりゃそうだ」

「ねぇ、そのバックはなんなの?」

「見たままでバックよ。

 性能は大分違うけど

 バックである事は変わりないわ」

「どんな性能があるんだ?」

「道具がいくらでも入るのよね、便利よ」


よくあるマジックバック的なバックか。

やはり冒険者が居る場合は

そう言うバックが流行るのかねぇ。


「ま、とにかく色々はいるバックよ。

 それ位しか、私は知らないけどね。

 ただ、シャナさんが色々用意してくれてるわ」

「食料とかもか?」

「えぇ、かなり多いわね。過保護だと思うけど。

 マグナと私が居れば狩りは楽勝だしね」


そう言って、フェイトが自分の弓矢に目を向けた。


「フェイトちゃん、色々と重そうよね」

「重くないわよ、これ位」


フェイトは鎧とかは着てないが装備は多い。

腰には結構沢山の矢が入ってる矢筒があるしな。

矢筒意外にも、腰に剣を1本携えてるし

右足には小さなナイフがある。


「ま、装備は多い方が良いのよ」


軽く自分の装備を再確認してるのか

ナイフを取り出して刀身を見たり

剣を取りだして、同じ様に刃を見る。


「今確認するの?」

「昨日既に確認済みよ。

 でも、一応念の為にね」


フェイトはかなり慎重なタイプだと分かる。

長い間冒険者をしてるからなんだろうな。


「ま、装備が万全でも強敵が来たら不味いけど」

「そこは大丈夫だ、俺が居るからな!」

「まぁそうよね、そう言う場合は頼むわ」

「任せな! 俺はそれ位しか出来ねぇしな」


俺は強いって事だけが取り柄だからな。

なら、その取り柄をいかさねぇ訳にはいかねぇ。


「うし、じゃ、行くか」

「はぁ、護衛対象が2人も居る冒険ね。

 いや、正確には1人だけなんだけど」

「何、纏めて守ってやるさ。

 お前も無理そうなら俺の背中に隠れろよ」

「はぁ、私でもどうしようも無いような

 そんな厄介な奴と当らないでよ、本当……

 あんたが居れば大丈夫だろうけど

 私は不安なんだから、あんた以外が」

「はは! まぁ大丈夫だっての。

 俺達は城壁の外でこの年になるまで

 たった2人で生き抜いてきた猛者だ」

「ん、余裕」

「なんか、その話を思い出すと

 あんたの背中に引っ付いてる

 シルフちゃんまで頼り甲斐がありそうに見えるわ」


俺はシルフを背負ったまま足を進めた。

フェイトもその俺の後に付いてきてくれる。

フェイトは1番後ろ、ミントは真ん中だ。

基本的な警戒は俺がするって事で行こう。

フェイトは背後から来る可能性がある相手に対処だ。


「いやぁ、何も無いわね! 外!」

「そりゃある訳無いわよ、人の手が伸びてないんだから」


外にあるのは精々街道くらいだからな。

行商人もあまり歩いてはないし。


「行商人も居ないのね」

「普通は居るんだけどね、街道を通れば。

 まぁ、私達は街道から逸れてるわけだけど」

「そりゃな、冒険で出来上がってる道を歩くってのは

 やっぱ違うような気もするしな!」

「はぁ、てかあんた、冒険って言うけどさ

 何か目標とかある訳?」

「目標……あぁ、ねぇな」

「何の為に歩き回ってるのよ!」

「冒険の為だぜ!」


今回の冒険は特に目標なんて無いからな。

とは言え、フェイト的には良くないらしい。

俺の答えを聞いて、軽く頭を抱えてた。


「全くあんたって奴は……冒険ってのはね

 最終的に目的が無いと面白く無いわよ。

 何処かの王様になるとか、あくどい王を倒すとか。

 目標の無い旅ってのは冒険じゃ無くて放浪よ」

「そうかぁ? 適当に歩き回って宝を探す。

 それが冒険だと俺は思ってるんだが」

「それは放浪よ、目標が無いと冒険とは言えない。

 いい? 冒険っていうのはね

 目的のために危険に満ちた体験の中に

 自ら進んで身を置くことよ」


ふーむ、確かに目標が無いと冒険って気がしない。

旅かフェイトが言ってた放浪だな。


「じゃあ、次のハーレム要因を求めてだな!」

「……他国に行くのは出来れば止めなさいよ」

「何でだ?」

「あったり前でしょうが!

 あんたは今、バスロミア王国所属よ!

 他国に赴いたらその国も全力で

 あんたを取りに来るわよ!」

「お? 流石俺!」

「あんたというか男がそもそも貴重なの!

 あんたが下手な国に言ってその国に腰を下ろす。

 それは姫様だってシャナさんだって望んでないわ!」

「大丈夫だって、俺は約束は守る男だ。

 ちゃんとバスロイア王国に戻るって」

「バスロミア! 何よバスロイアって!」

「あ、バスミアか」

「ロが抜けてるわよ馬鹿! バスロミア!

 そんな覚えにくい名前じゃ無いでしょうが!

 あんたは本当に馬鹿よね!」


め、滅茶苦茶怒られちまった。

バスロミアか……いまいち覚えにくい。


「ったく、所属する事にした国の名前くらい

 しっかり覚えておきなさいよ」

「まぁ良いじゃねぇか、とにかくハーレムだ。

 俺は新しいハーレム要因を集めるんだ。

 そのついでに、世界一つえー男って事を証明する」

「あぁもう……何よその馬鹿みたいな目標。

 世界一強い男って、何言ってんだか。

 そんなになっても大した意味なんか無いわ」

「それを言っちゃ、何をしたってそうだろ?

 どうせどんな事をしても最後はくたばるんだ。

 努力して金集めても意味はねぇ。

 世界を発展させようと関係ねぇ。

 最終的に死んで地獄に落ちるだけさ。


 そん後、また転生して好き放題する。

 それだけだっての。

 生きてんのはたかだか数十年だ

 折角のサービス時間は好きにした方が良いって」

「はぁ? たかだか数十年って何よ。

 悟ったようなこと言っちゃって。

 あんたみたいなアホが何言ってんだか。

 てか、何よ地獄って、普通は天国でしょ」


まぁ、俺は転生した身の上だからな。

こっちの世界は僅か数十年。

長くても百年チョイだけだ。

死んじまえば億単位以上と桁が違う。


それなら、現世の僅かな時間くらいは

好き放題したって良いじゃねぇかって思う。


「ま、俺は天国は知らねぇからな」

「はぁ? 地獄は知ってるって風な言い草ね」

「おう、知ってるぜ?」

「はぁ、本当馬鹿な事を……」

「うー、私はサッパリ追いつけないわ。

 野心を抱いたことが無いからなのかしら。

 いや、野心は抱いたけど、

 もう果たしちゃったし」

「あんたの野心って何よ」

「それは勿論! マグナ様のお嫁さんになる事よ!」

「あ、そ」

「素っ気ない!」


はは! 本当、やっぱり旅ってのも良いな!

こんな風に馬鹿話をしながら歩くのもまた良い。


「にーに、あれ」

「ん? 影だな」

「うげ! マグナ! 上!」

「お?」


フェイトに言われて上を向いた。

そこには巨大なドラゴンが姿を見せ

こちらに向かって突撃してきてるのが見えた。


「なんでドラゴン!? そんな馬鹿な!

 ちょ、ちょっと前にマグナが撃退して

 またちょっと冒険したら襲撃!?」

「トカゲって空を飛べるのね」

「ドラゴンだっつってんでしょうが!

 何世空飛ぶトカゲって!」

「え? ドラゴンって超危険な魔物でしょ?

 国1つ余裕で焼き払える様な。

 そんな魔物が国の近くに来るの?」

「来るわけないから焦ってるのよ!

 1直線にマグナに突撃してるのも意味不明!」

「お? なんだ? 俺はドラゴンにまで好かれるのか?」

「余裕ぶってる場合なの!?」

「ま、流石に俺も人型以外をハーレムは無理だな!」

「ぎぐ!」


俺は突撃して来て、大口を開けたドラゴンを殴る。

ドラゴンは派手に吹き飛び、何度もバウンドした。


「きゃー! か、格好いい-!」

「ほ、本当あんたって……」

「余裕だぜ! まぁ、手加減はした。

 しにゃしねぇだろ、ほれ、どっかいきな」


ゆっくりと起き上がったドラゴンがフラフラしながら

飛び上がって俺達の前から消えた。


「じゃ、冒険続けるか」

「……ドラゴン、また襲撃してきそうよね…」

「そん時はまたワンパンだな!」

「はぁ……」


ま、ゆっくりと歩きますか。

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