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屋敷の中

「いやぁ、マジで美味しかったぜ!」

「やったわ! 胃袋を掴めたかしら!?」

「ん、よかった」

「そりゃミントも居るしね。

 まずい料理なんて出来ないわよ」


俺の言葉に全員が反応する。

何だか嬉しい気分になるな!

俺の言葉をしっかり聞いてくれてるって感じで!


「はは! やっぱ愛情かな! この美味さは!」

「えぇ! 大量に愛情も注ぎました!」


ミントが嬉しそうに答えてくれたな。

はは! やっぱり愛情たっぷりってのは大事だ!


「うし、じゃあ次は風呂だな!」

「任せてください! 湧かしてきます!」


即座に反応したミントが姿を消した。


「お、俺が湧かそうとしたんだがなぁ…」

「良いじゃ無いの、ミントも張り切ってるし。 

 てか、あんたがやったら火事になりそうだし」


そんな事は無いと思うんだがなぁ。

だが、俺も結構不器用だしあり得るかも知れねぇ。


「しかし、なんか色々と新鮮だなぁ」


皿を洗いながら、そんなことを思った。

だってよ、今までずっと野宿だったんだぜ?

婆さんが死んでからはずっとな。

それが、今じゃ雨風凌げる家もあって

美味い料理も食えるとか最高だよな。


ま、料理はシルフがずっと作ってくれてたから

変わらず美味かったが、やっぱり食材だな。

俺が狩りで取った肉ばかりだったし

野菜とかかなり新鮮に感じたぜ。


「そりゃ、あんたらは野宿だった訳だし……

 あ、そう言えばあんた、お風呂とか」

「入ってなかったが?」

「そりゃそうか」

「お? あまり過剰反応しねぇのな」

「そりゃそうよ、私だって冒険者よ?

 お風呂に入れない日は結構あるしね。

 冒険中は水浴びくらいしか出来ないしね。

 あんたもでしょ?」

「そうだな、シルフもそんな感じだ」


シルフだってずっと俺と野宿だったしな。


「……にーに」

「お? どうした?」

「トイレ……何処?」

「あー、そういや何処だ?」

「ちょっと見て回れば分かるでしょ?

 ほら、こっちよこっち」


家について速攻くつろいでた俺達と違って

フェイトは部屋の間取りを軽く調べてたらしい。

即座にトイレに案内してくれた。

なんかスゲーな、トイレが10箇所あるが。


「トイレ、多くね?」

「当然でしょ? ここは男が住む家よ。

 当然、女の子が多くなるだろうから

 トイレはかなり多く用意されてるのよ。

 で、男用のトイレがここみたいね」

「デカいなぁ、ここ」

「男は当主扱いだろうしね。

 ま、私は嬉しかったわ。

 あのクソ親父と同じトイレとか使いたくないし」

「お前の家もこんな感じだったのか?」

「そうよ、クソ親父のトイレはデカかったわ」


正直、同じトイレでも良い様な気がするがなぁ。

だが、この状態じゃ専用トイレとか出来そうだな。

これだけわんさかあるんだし、てか、やっぱ多い。


「……トイレ」

「そういやそうだったな、ほら、行ってこい」

「ん」


シルフがテトテトと大きなトイレに入っていく。


「そこ、多分マグナ用とトイレだと思うんだけど」

「何処も同じだろ? 気にしねぇよ。

 ま、近くのトイレがここだしな」

「そ、まぁ良いか。

 私が気にする必要なんて無いしね」


しかし、軽く家を回ってもスゲーなこれ。


「しかし、改めて見るとこれ広すぎるな」

「貴重な男が住む家だしね。

 1階にも色々な部屋があるわ」

「じゃあ、シルフが出て来たら軽く見て回るか」

「下手したらシルフちゃん迷うかもだしね」


しばらくして、シルフがトイレから出て来た。

おし、じゃあ早速見て回ろうか。


「じゃ、回ってみるか」

「ん」

「はいこれ、まずは間取りよ」


軽く間取りを見ると、この屋敷は五階建てらしい。

デカすぎるとしか言えない。


「こんなに階層あるんだな。

 1階でトイレ10もあったのに」

「各階層に10箇所トイレがあるみたいね」


トイレ、多すぎるんじゃ無いか?


「1階は主にキッチンとかお風呂場とか

 そう言う設備が主に揃ってるわね。

 で、2~4階層に部屋が30箇所あるわね

 で、5階は10箇所ね」

「多すぎだろ!」

「少ない方じゃ無いの? だって、最終的に

 この屋敷の人口は馬鹿みたいに増えるわ。

 男が集めてきた女の子と

 子供がドンドン増えてきたりするわけだしね。

 全部あわせて100部屋程度じゃ、多分足りないわ。

 少なくとも私の家は足りなかった」

「マジかよ……」

「3人部屋だったしね」


はぁ、出も考えてみればそうなのか?

男が集めるハーレムの数は分からねぇが

フェイトの話じゃ、娘にも手を出すらしいし

仮に最初が10人だったとしても

1年後には20人で、2年後には30人。

そんな感じで増えて行く可能性もあるわけだしな。


「で、風呂場は1階に滅茶苦茶大きなお風呂と

 各階層にちょっと大きめのお風呂ねぇ。

 食堂は1階にかなり大きいのがあって

 3階、5階にちょっと大きな食堂とキッチン。

 で、5階に推定当主の部屋ね」


5階の推定当主の部屋は扉がデカかった。

ちょっと扉を開けてみると、ベットも馬鹿でかい。

色々な設備が揃ってる……揃いすぎじゃね?

風呂場もあるし、トイレもこの部屋にあるのか。

ここ以外の部屋にはトイレとか風呂無いのに。


「当主の部屋って感じね、ほぼベットしか無いけど」

「当主の部屋ってのは、書斎的なのあるんじゃねぇの?」

「男が書類仕事なんて出来るわけないでしょう?

 あいつら、子作りのことしか考えない馬鹿だし」

「い、一応俺も男なんだがなぁ…」

「あんたも書類整理とか出来ないでしょう?」

「そ、そうだな……で、出来る気がしねぇや…はは」


実際、俺は結構馬鹿だからなぁ。

戦いならどんと来いだが、書類仕事は無理だろう。

てか、なんかを読むってのも無理ってなりそうだし。


「しかし、見れば見るほどに広いわねぇ…」

「だな、そうだシルフ、お前はどの部屋が良い?」

「ん、この広い部屋」

「うし、じゃあ俺は隣だな」

「シルフちゃんがここが良いって言った部屋

 多分、あんたの部屋よ?」

「シルフが1番だからな!」

「にーにと一緒が……良い」

「え? 俺と?」

「だ、駄目よ! 部屋がこんなにあるのに!」

「……一緒が良い」


シルフが俺の足に抱き付いてそう呟く。

正直、かなり可愛らしいが

折角こんなに部屋があるんだしな。


「はは、俺と一緒が良いってのは素直に嬉しいが

 折角これだけ沢山の部屋があるんだぜ?

 お前も自分の部屋ってのがあった方が良いだろ?」


俺は体勢を低くしてシルフの頭を撫でる。


「自分の部屋なら可愛く飾り付けも出来るし

 好きなように過ごすことも出来るからな。

 お兄ちゃんとずっと一緒ってのは

 教育上、あまり良くないからな」

「や、い、一緒が良い……」


シルフが軽く涙目で俺の方を見ながら

一緒が良いと言っている。

め、目からキラキラした光線が出てる気がする!

か、可愛い! あ、甘やかしたい!

仕方ないって言いたいが……

し、シルフの教育上仕方ないのだ!

ずっと俺と一緒ってのは成長によくない。


「うぐぐ、か、可愛らしいから

 仕方ないと言いたいが……だ、駄目だ。

 シルフ、ずっとお兄ちゃんと一緒ってのは

 お前の為にも良くないからな」

「……お願い、にーに」

「ぐわー! こ、心が痛むぅ!」

「あ、あっさり了承しそうと思ったけど

 い、意外と耐えるわね、あなた。

 わ、私だったら無理かも知れないわ、これ」

「ね、にーに、お願い」


シルフが可愛らしくお願いしてくる。

あぁ! 分かったって言いたいがぁ……


「シルフ……これは、お前の為だからな」

「そ、そんな……」


俺の言葉でシルフが滅茶苦茶しょんぼりした。


「ご、ごめん嘘! やっぱ嘘!」

「じゃあ、にーに……一緒?」

「お、おう、い、一緒の部屋にしよう」

「やった!」

「ま、まぁ、これは仕方ないわね……」


結局、シルフの押しに負けてしまった。

うーん、成長の為には1人部屋にした方が良いのに

ちょっとだけ、自分が情け無いぜぇ、とほほ。

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