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極上の料理

シルフ達が開始した料理を

俺は影ながら鑑賞することにした。


「何であんたまで来んのよ」

「良いじゃねぇかよ~

 1人だけ待つってなんか嫌だしよ」

「何も出来ないでしょ?」

「食器を運ぶ事くらいは出来るぜ!」

「あんたが皿を運ぶと割りそうなんだけど?

 力加減がド下手で」

「なぁ! 俺は超手加減上手だぜ!?

 見ろよ、俺の筋肉を!

 力を込めたときと込めてないときの

 この圧倒的な差を!」


気持ち悪いとよく言われる特技だが

俺はこの特技がかなり好きなのだ!

正直、自分で見てても面白いからな!


いつも通り力を込めると同時に

俺の腕が一気に太くなる。


「か、格好いい!」

「はぁ!?」


俺の特技をみたミントが目をキラキラさせながら

俺の特技を褒めてくれた。

褒められたのは初なのでは!?


「きゃー! す、凄いわマグナ様!

 何て凜々しい筋肉! 

 普段は細いのに、いざ力を込めたら

 ここまで凄く格好いい筋肉を持ってるなんて!

 さ、触って良い!? 触って良いですかぁ!?」

「お、おう!」

「きゃー! か、カチカチ! カチカチよフェイトちゃん!

 石みたい! もうね! 石というか鋼よこれ!

 人の体とは思えないくらいカチカチよ!」

「そりゃまぁ、こいつって刃物通らないし」

「え!? 通らないの!? 刃物が刺さらないの!?」

「おぅ! 俺の鋼の肉体は刃物如きじゃ

 傷も付けられないぜ!」

「きゃー! 素敵! 素敵すぎるわー!

 何て、何て凜々しい! 何て頼り甲斐のある筋肉! 

 凄い、凄いわぁー!」


ミントがかなりの早口で俺の筋肉を褒めてくれてる。

常時目はキラキラしてるし、常時笑顔だ。

全く曇りも無く本心で言ってると容易に分かる。

なんかテンション上がってくるぜ!

今までキモいとか言われてたが

やはり褒められると嬉しい。


「……ん」

「お?」


何を思ったのか、シルフが俺に向けて手を伸ばす。

俺はシルフの意図を何となく察して

体勢を少し低くすると、シルフが小さく跳び

腕に引っ付いた。

なんか久々だなこれ! シルフが俺の腕に引っ付くの!

今より小さいときは良くやってたんだがなぁ。


「きゃー! か、可愛い! 可愛いわぁー!」

「にーにの腕、大きい」

「おぅ! お兄ちゃんの圧倒的な筋肉は凄いだろ!

 まぁ、シルフの体重を支える程度なら

 力を込めてない状態だろうがなんの問題も無いが。

 と言うか、普段から力込めて無くても

 大体の物は余裕で持ち上がるが」

「前、巨岩を持ち上げてた」

「道を塞いでたからな」


少し前にシルフとフラフラしてるときにあったな。

デカい岩が邪魔で進めない場所が合ったから

その岩を持ち上げて退かしたんだった。


「で、デカい岩って……なんだってそんな物を」

「歩いてるときに邪魔だったんだよ、大岩が」

「巨大な岩を平気な顔で動かすなんて! 

 か、格好いいわー!」

「いや、あいつ話ししただけで

 実際その現場を見たわけじゃ無いのに

 何であんた、また惚けてるのよ」

「だって嘘とは思えないじゃ無いの! なら事実よ!」

「そりゃまぁ、ドラゴンを笑顔でワンパンするしね…」

「きゃー! 格好いいわー!」

「ふっふっふ、もっと褒めると良いぜ!」

「てか! なんか話し凄い脱線したけど!

 料理の話よこれ! て言うか余計に思ったわ!

 あんた、絶対皿割るでしょ!?」

「だから割らねぇって!

 そもそも力加減が下手なら

 俺はシルフを抱き上げたりはしねぇ!」

「た、確かに……」


そう、俺は滅茶苦茶手加減が上手だからな。

そりゃさ? 最初は下手だったのは間違いねぇ

誤って岩を砕いたこともあったからな。

だが、シルフが生まれてからと言う物

俺は手加減を必死に覚えたからな。


そりゃぁ、小さい妹を抱き上げたいと思ったしな。

死んじまった父さん、母さんの代わりに

俺がシルフの面倒を見ねぇと駄目だった。

それなのにシルフを抱き上げられない。


可愛い妹の面倒を見るのを

出来ないから努力せず婆さんに任せるなんて

そんなだせぇ真似は絶対にしたくなかったしな。


「……まぁ、そうよね、信じるわよ。

 あんたがシルフちゃんを大事にしてるのは

 よく分かってるし……

 そりゃ、シルフちゃんを怪我させ無い為なら

 必死になって手加減覚えるだろうしね」

「おうよ! 可愛い妹に怪我はさせねぇぜ!

 お兄ちゃんとして努力するのは当然だぜ!」

「ん……にーに、ありがと」

「気にすんな」


シルフがあまり表情を変えずにだがお礼を言ってくれた

だが、頬が少し赤くなってるから恥ずかしいのだろう。

もしくは、俺の腕に引っ付いてるから力を込めてるから

顔が赤いのかもしれねぇな。


当然、俺はシルフのお礼に対して笑顔で答える。

笑顔は大事だぜ、周囲が明るくなるからな!


「な、何て眩しい笑顔! か、格好いいわぁ-!」

「本当、無駄に良い笑顔よね、あんた」

「おう! 笑顔は大事だぜ? 笑う門には福来たるだ!

 それに、俺が暗い表情してたら、

 シルフが不安になるだろ?」

「本当、あんたはシルフちゃんの事、大好きよね」

「勿論だ!」

「……にーにの事、私も大好き」

「おぉ! そりゃ嬉しいな!」


いやぁ、シルフにハッキリと大好きと言われたのは

大分久々だからかなり嬉しいぜ!


「はぁ……分かったわよ、もう。

 じゃあ、お皿とかそこら辺運んでよ?」

「任せろ! 料理は出来ねえが、そう言うのは出来るしな」

「あ、そう言えばマグナ、あんたって料理出来ないのよね」

「あぁ」

「シルフちゃんが小さい間はどうしてたの?」

「焦げてたり、生だったり」

「可愛い妹に苦労掛けてるじゃ無いのよ!

 努力しなかったのそこら辺!」

「したって! かなり努力はしたんだが……

 その……ど、どうしても出来なかったんだよな。

 火を通せば焦げちまってたし、切ろうとしたら

 刃物の方が折れたり……」

「火の管理くらい、どうにでも出来るでしょ?」

「うぐぐ……マジで理由は分からないんだがな

 どうしても出来なかったんだよな。

 裁縫も……針が全部折れちまってたし」

「男がそこら辺、絶望的なのは知ってるけど

 努力してもどうしようもならない程

 絶望的なのね」

「そうなんだよなぁ、本当、シルフには苦労を掛けた」

「ん、気にしてない……うん」

「マジですまなかった、シルフ……」


うぅ、久々にあの時の事を思いだしたからか

シルフになんか申し訳無い気持ちが。


「でも、マグナ様は努力してたんでしょ?

 現にシルフちゃんも元気だし気にしないで良いわよ!

 これから美味しい料理を私達が作れば良いだけの話よ!


 出来ないのを無理にやっても無理な物は無理よね!

 だから任せて! マグナ様の胃袋を鷲掴みにして

 シルフちゃんの笑顔をよりキラキラさせてみせるわ!」

「お、おぉ……ありがとうな、ミント!」

「ん、にーに、気にしないで、私も頑張る……

 美味しい料理……一緒に、食べよ?」

「あぁ、よし! 料理に手は出せないが

 皿はちゃんと出すから言ってくれよな!」

「あんたが暗い表情するのは珍しいと思ったけど

 まぁ、あんたも気にしてる過去はあるわね。

 その……悪い事言っちゃったわね、マグナ」

「シルフも気にしないでって言ってくれたしな。

 フェイトも気にしなくて良いさ。

 そんな事があったのも事実だしな。


 それに、お前がその事を気にしてくれたって事は

 お前もシルフのこと、気にしてくれてるって証拠だ。

 だから、ありがとうな、

 シルフの事を気にしてくれて」

「ふん、そりゃ気にするわよ……

 ま、まぁ良いわ、とにかく料理しましょう」

「えぇ! さぁシルフちゃん、頑張りましょうね!」

「ん、教えて」


シルフが俺の腕から離れて厨房に向う。

俺はすぐに足場を持ってきてシルフを乗せた。

まだ背が小さいからな、シルフは。


「じゃあ、教えるわよー!

 まずは、これは」


そして、ミントとフェイトがそれぞれの料理の仕方を

シルフに教えてくれているのを見た。

いやぁ、マジで姉妹みたいな感じで嬉しいな!

シルフも楽しそうだし、

仲良くしてくれそうで安心した。


一応、俺もちょっと見て見たりして

たまに手を貸そうとしたが

フェイトに怒られて、皿運びしか出来なかったぜ。


だがまぁ、最高に美味しい料理が出て来て

俺はかなり感動した。やっぱり美味いな!


「にーに、私、頑張る」

「あぁ、ありがとうな!」


シルフの頭を撫でてお礼を言う。

シルフは頬を赤くしながら笑顔のまま

俺に身を預けてくれていた。

やっぱり可愛いな! 俺の妹は!


「……やっぱりこれが家族の姿よね」

「えぇ! 微笑ましいわ!」

「……ミント、あんたは家に帰ったりするの?」

「マグナ様の許可があったらだけど

 私もこの家に住まわせて貰うつもりよ!」

「ま、あいつは許可するでしょう。

 じゃ、これから頑張りなさいよ、ミント」

「えぇ! フェイトも一緒に頑張りましょうね!」

「私が何を頑張るってのよ、護衛?」

「ハーレムの一員としてよ!」

「何度も言わせないでよ! 私はこいつが言う

 ハーレムの一員にはなんないっての!」

「そんな照れなくても良いじゃ無いのよ~」

「照れてないわ!」


やっぱりそこはまだぶれないみたいだな。

だが、必ずフェイトも惚れさせてみせるぜ!

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