魔法開発
魔法の勉強会をするための準備がようやく整った。
場所は国の学校を貸し切り行われた。
今回は体育館見たいな場所だから
正直、学校全体の貸し切り必要か疑問だが
集中が大事だからかもな。
魔法適性がC以上の人物はバスロミアでは100人程度。
勿論ながら、男性はこの場所には俺しか居ねぇ。
まぁな、男性は基本的に魔法には興味持たねぇらしいしな。
どうせ使えるのに、わざわざ聞きに来ないだろう。
だがまぁ、俺とシルフは控室見たいな場所で待機だ。
あくまで裏方。俺は姿を見せる予定もない。
「集まっていただき、あがとうございます!
まずは自己紹介。
私はシャンデルナ魔法ギルドで幹部をしてます。
ジュリア・シャフォートです!」
普段のジュリアと違い、かなり丁寧な口調だな。
普段は結構子供っぽい雰囲気がある喋り方だが
今回は、かなり冷静な喋り方をしてる。
トレードマークの魔女帽子は変わらないが
今回は何の装飾もしてない帽子になってるな。
あれは仕事用の帽子なのかも知れない。
「今回、あなた達に集まって貰った理由は
シャンデルナで行なわれてる
魔法開発をする為です。魔法開発とはその名の通り
あなた達に眠る魔法の才能を開花して貰う事です。
あなた方の常識では、魔法は男性のみの技術だと
そう勘違いしてるかも知れません。
ですが、それは違います」
そう言って、ジュリアが自分の手元の小さな炎を出した。
「魔法……ほ、本当に女性でも魔法が使えるんだ……」
魔法は男性のみの技術だという考えを持って居るであろう
バスロミアの女性達はその光景を見て、驚きの声を漏らす。
「その通りです。女性でも魔法は使える。
魔法が使えるようになれば、こんな事も」
ジュリアが近くで待機していた騎士に合図をしたら
騎士が魚を持ってきて、ジュリアに手渡す。
そして、その魚を一瞬で焼き魚にして見せた。
シルフがやってた魔法の料理への転用か。
「やっぱり凄いわね! 魔法! 一瞬で焼き魚に出来る!
美味しそう! 私もあれをしたいわ!」
「魔法って、そんな事も出来るんだ」
魔法は男性だけの技術。そして、攻撃だけの技術。
バスロミアにあった、その常識をジュリアは壊そうとしてる。
魔法はイメージが大事なんだから、そりゃ大事だろうな。
でも、この方法を思い付いたのもシルフのお陰だと考えれば
やっぱり兄として、誇らしい気持ちになるぜ。
「ご覧の通り、魔法というのは何も攻撃だけの技術では無い。
魔法を開発し、使いこなすことが出来るようになれば
きっと色々な事に役立つでしょう。なので必ず物にしましょう」
「はい!」
「では、改めて内容を紹介しますね。魔法開発というのは
1日で行えることではありません。今回のこの魔法開発は
最初にお伝えしたとおり、3ヶ月以上を掛けて行ないます。
人によっては1ヶ月で魔法を出す事は可能かも知れませんが
それはあくまで一部。気にすることはありません。
魔法を出せるようになっても、そこからより安定して
魔法を出せるようにするために早めに出せた人も
予定通り3ヶ月は魔法開発を受けてもらいます」
「はい」
あくまで学校みたいな感じで、朝から夕方まで魔法開発で
夜はそれぞれ家に帰って宿題って感じらしいな。
そんで、この期間はフェイトも魔法の練習に注力するらしい。
「では、まずは魔法常識をお話ししましょう」
まずは魔法がどう言う物かを生徒達に教える感じらしい。
だが、その話はまぁ、俺達は既にジュリアから聞いてる。
とは言え、一般の女性達は知らない話だからな。
とりあえず、俺はその話は聞き流しておくか。
どうせ、覚えようとしても覚えられねぇし。
でも、シルフはメモを取ってるな。
「では、次は魔法名を教えましょう」
今度は魔法名。今回は適性が無い女性が相手だからか
初級魔法の名前のみを実演しながら教えるらしい。
とりあえず俺が知ってる初級魔法って奴は
火属性は確かファイヤー、
水属性は……多分だがウォーターガン、
木属性は……うーん、ウッドウィップだっけ? ウッドリップだっけ?
まぁ良いか、どっちでも。とりあえずうねうねする奴だ。
つまりは火、水、木の3種類の初級魔法は見たな。
「次が氷属性魔法」
そう言って、ジュリアが水を取りだした。
「適性が高ければ道具は必要無いんですけど
私も氷属性の適性は無いので道具が必要なんです」
「え? で、でも、ジュリアさんの氷属性? は、Eって
つ、使えるんですか?」
「努力次第で形にはなりますからね。
ふふ、シャンデルナ様からはCランク相当になったねと
嬉しそうに褒められました」
ジュリアの適性は生徒達にひとまず配られてた。
だからまぁ、俺にも一応手元にはあるんだよな。
まぁ、俺とシルフは裏方だけど。っと、確かジュリアの適性は
火属性適性、A
水属性適性、D
木属性適性、C
氷属性適性、E
雷属性適性、C
光属性適性、B
特属性適性、A
これが天才と評されるジュリアの適性だったな。
まぁ、努力で全適性が実質Cランク以上らしいけど。
こう見ると、やっぱりシャナの適性は結構凄いよな。
火属性B、木属性B、特属性A、推定だが風属性S以上だろ?
「では、適性の表記は努力次第での変動は無いのですか?」
「はい、少なくとも今の段階ではそこは変動しません。
しかし技術は進歩する物。きっとスキャナーも進化します」
スキャナーは婆さんの命名らしい。分かりやすいよな。
「では、魔法名を伝えますね。
氷属性魔法の初級魔法はアイススピアです」
そう言って、ジュリアは水を槍のように凍らせて放った。
勢いはあまり無く、殺傷能力はなさそうだな。
だが、水は確かに凍ってる。
「これがアイススピア。基本的な攻撃の魔法ですね。
次は雷属性魔法。これは分かりにくいんですけど。
あ、ミントさん、こっちに来てくれますか?」
「え? 私? はーい!」
ミントが少し嬉しそうに返事をし、ジュリアに近付く。
「何をすれば良いのかしら」
「ちょっと触りますね」
「はーい」
「では、これが雷属性魔法の初級魔法。サンダーです」
「え? あだ、あだだー!」
「あ! ごめんなさい! そ、そんなに痛かったかな……」
「あ、あの日の思い出が蘇るわ! でも、そうね。
あの時のビリビリに比べれば優しいかも知れないわね」
「え!? サンダー喰らったことあるの!?」
「えぇ! シルフちゃんがマグマ様に
ビリビリマッサージをしてたときに触らせてもらったの。
あの時は驚いたわ」
「び、ビリビリマッサージって……何やってるのさ、マグナさん。
てか、あの人、雷属性魔法効果無いんだ……
シルフちゃんの適性を受けて……流石としか言えない」
最初の方だな、いやぁ、懐かしいもんだ。
まぁ、あの時はバチバチ行ってたしな。
それと比べりゃ、まぁ、大した事は無いか。
「ま、まぁ、うん。雷属性魔法は少し効果が分かりにくいですね。
ありがとうございました、ミントさん。元の席へ」
「はーい」
「では、次は光属性魔法です」
少し焦りの表情を浮かべながらも、ジュリアは続きを話す。
「光属性魔法の初級魔法は分かりやすくフラッシュです」
そう言って、ジュリアが手を合せて広げると
そこに小さな光りが浮かんでいた。
「す、少しだけ光ってる?」
「はい、本当は強く発光させられるんですけど
目に悪いので、今回はマイルドです。
次は特属性魔法ですが、これはイメージが大事で
明確な魔法名などは殆ど存在しません」
そう言えば、回復魔法も魔法名言ってなかったな。
防御の魔法名も誰も言ってなかったしな。
「同時に風属性魔法などの、まだ解析されてない属性魔法も
魔法名などは用意されていません。まだ人数が少ないので」
まだ解説されてるまでの属性しか魔法名考えられてないんだな。
「では、以上の魔法名や魔法の様子を思い出しながら
魔法の練習を始めましょう。
また見て見たい魔法があれば、私にいってください」
「はい」
その言葉の後、生徒達は魔法の練習を始めた。