恋する乙女
「ふ、ふふ、ふ、ふちゅ、ふちゅちゅ!」
「ミント、落ち着きなさい」
とりあえずミントを家の中に入れたわけだが
彼女は顔を真っ赤にしながら挨拶をしようとするが
徹底的に噛みまくって何を言ってるのか分からない。
「うぅ、ほ、本当に誘われるなんて……
う、嬉しいけどき、緊張がぁ!
ふぇ、フェイトは美人だから良いけど
わ、私なんかがマグナ様の……
は、はは、ハーレムの1人になれるなんてぇ!」
「マグナ、そうなの?」
「んー、可愛いしハーレムに入れても良いが
どうなんだ? そう言うのはありなのか?」
「女性の選択はあなたの自由で良いわよ。
実際、ミントはかなり良い子よ。
かなり暴走しちゃってるけど、性格は良いし
かなりポジティブで、前向きな女の子よ。
料理も料理屋さんを経営してるだけあって
私よりも上手だし」
「そ、そんな、ふぇ、フェイトちゃんの方が上手よ!」
「私を褒めてどうするのよ。
ほら、自分をアピールしなさいよ」
「フェイトちゃんは凄く可愛い女の子なんです!
け、結構性格はキツいところがあるけど
それも、そう、相手を思ってたりしてるのが理由で!」
「ちょ! 自分のアピールしなさいって!
私を褒めないで良いわよ!」
「はぁ! そ、そうだった! フェイトちゃんに負ける!」
「いや、そもそも競争してないから」
……何と言うか、行動派ではあるけど
そうだなぁ、緊張にかなり弱いタイプなんだなぁ。
「まぁ、お前らの仲が良いことはよく分かったぜ。
いやぁ、お互いにお互いを褒めるってのは
やっぱ良い関係って感じするよな!」
「そりゃ、親友だし……」
「フェイトちゃん……大好き!」
「うぇ!? だ、抱き付かないでよ馬鹿!」
いやぁ、仲が良いなぁ、百合というのも良いかもな!
だが! 俺のハーレム生活を作り出すためには
やはり百合というのは結構な障害なのでは!?
否! 確かに百合というのは厄介な存在だ!
男が俺しか居ない、この環境で厄介になるからな。
しかし! 可愛い美少女達が仲良くしてるのを
俺が破壊するわけにはいかん!
それに、例えこんな風に置いてけぼりにされようと
俺が百合相手よりも素晴らしいと行動で示すのだ!
行動で相手を魅了し、ハーレムを作り出す。
これが、男が行なうべき行動だからな!
妨害して振り向いて貰うなんて小学生だしな。
「……仲良し」
「だな」
2人のやり取りを見ていたシルフが
いつも通りの口調で小さく呟いた。
俺もその言葉に反応して、小さく答える。
誰がどう見ても、あの2人は仲が良い。
フェイトは顔を赤くして、かなり焦りながら
自分に抱き付いてくるミントを引き剥がそうと
必死になってるが、ミントは変わらず抱き付いてる。
力で言えばフェイトの方が上の様に思えるが
ミントは見た目とは違って、結構怪力みたいだ。
もしくは、フェイトも嫌がってる素振りをして居るが
意外とまんざらでも無いのかも知れない。
「ま、マグナ! 何ニヤニヤしてるのよ!」
「仲が良い奴らがじゃれ合うのを見るのって
やっぱ楽しいからな。気にすんなって。
俺は何も言わねぇさ」
「やっぱりマグナ様は優しいお方ね!
そう思うでしょ!? フェイトちゃん!」
「抱き付きながら聞くな!」
「いたた!」
流石に恥ずかしさが限界を越えたのか
フェイトがミントを無理矢理引き剥がした。
「うぅ、耳が痛いわ……」
「はぁ、全く……」
やはり最初から引き剥がせたんだろうな。
だが、あえてしなかったと言う事は
やはりまんざらでも無かったんだろう。
そりゃぁ、仲良くしてる奴に対して
無理矢理ってのはあまり良いもんじゃねぇしな。
お互いにリスペクトするのはやはり重要だな。
「何でまた笑ってるのよ!?」
「そりゃなぁ、いつでも引き剥がせるのに
さっきまで引き剥がさなかったて事は
そう言う事だろ?」
「ち、ちが! け、怪我させたらいやだから!」
「フェイトちゃん、私に抱き付かれて嬉しかったの?」
「違うわ! 鬱陶しいと思ってたわよ!」
顔を赤くしながら否定しても説得力ねぇよなぁ。
「……顔赤い」
「か、勘違いだから!」
シルフに対してはあまり強く言わないみたいだな。
そりゃな! 俺の妹は可愛いからな!
あまり強く怒ったら泣いちゃいそうだしな。
だが、シルフはメンタルが滅茶苦茶凄いから
ちょっと言われた程度じゃ泣くことはねぇんだよな。
「まぁ、この話はここまでで良いだろ。
ミントとフェイトが滅茶苦茶仲が良いのは
あのやり取りだけで十分分かったぜ」
「そ、そう、別に否定はしないけど。
それで? どうするの?
ミントをハーレムの一員にするの?」
「おう、ミントちゃんが嫌じゃねぇなら
俺はいつでもウェルカムってな!」
「や、やったわ! これで私も女の子になれる!」
「いや、あなたは元々女の子でしょうに」
「女の子は恋をして初めて女の子になるの!
私は今、マグナ様に恋をしたわ!
そう、これから私の女子道が始まるの!」
「何言ってるのやら」
やっぱこの子、滅茶苦茶キャラが濃いな。
俺も誰かの事を言えた口じゃねぇが
ちょっと俺が圧倒されるってのはスゲーな。
「そ、それでマグナ様! な、何をやれば!
は、裸になれば良いですか!?」
「いや! そう言うのは良いっての!
服を脱ごうとするな! シルフが見てるだろ!?
変な知識を俺の可愛い妹に教えないでくれって!」
「あ、ご、ごめんなさい! でも、どうすれば!」
「ま、まずはほら、料理を作って欲しいんだ。
ちょっと長いこと城で拘束されてたからな。
そこそこ良い時間だし、夕食が欲しいんだ」
「分かりました! 早速胃袋を掴みに行くわ!
私の全力全開のお料理を振る舞う!」
「ん、待って」
早速料理に向おうとしたミントを
シルフが呼び止めた。
「え? ど、どうしたの?」
ミントはシルフの声に反応して
ゆっくりと姿勢を低くして
シルフと視線を合わせて声を掛ける。
「……料理、教えて」
「え? 料理? 大丈夫よ、料理は私がするわ。
任せてね? 私は料理が得意だからね」
「……だから、知りたい。
美味しい料理……作りたい
にーにに……振る舞いたい」
シルフは料理をミントに教わりたいみたいだな。
ミントは自分が作るからというが
シルフは引くことも無く言葉を伝えた。
ミントもその言葉を聞いて
嫌そうな表情を見せること無く
満面の笑みを浮かべた。
「よーし、そう言う事なら任せなさい!
ミントお姉さんがしっかりと教えてあげるわ!
マグナ様にドンドン美味し料理を振る舞いましょう!」
「ん」
「あっさり教えるのね、あなたの得意分野なのに」
「だって、お兄さんの為に頑張ろうって感じだし。
確かにライバルだけど、お互い競争の方が
やっぱりマグナ様も喜んでくれると思うの!
と言う訳でフェイト! あなたも作りましょ!?」
「え!? なんで私も!?」
「おう! そりゃ良いな!
お願いしたいぜ! 3人の料理!」
「はぁ!? なんで私も!?
ミントとシルフちゃんの2人で良いでしょ!?」
「いいえ! お互いに切磋琢磨よ!
その方が燃えるわー! さ、やりましょ!」
ミントがフェイトの腕を笑顔で引っ張り
台所へ連れて行こうとしてる。
そして、シルフもしれっとフェイトの足を掴んで
引っ張り、台所へ連れて行こうとしてた。
「ちょ! なんでシルフちゃんまで!?」
「……楽しそう」
「そうよ! 楽しいのは大事よ!」
「わ、分かった、分かったから!
引っ張らないで! 怪我するわ!」
「はーい! さ、行きましょ!」
「ん」
「はぁ……」
おぉ、ここは俺も行って料理現場を見なくちゃな!
楽しそうに料理を作るシルフを見たいしな!