第3王女ちゃんと旅に出る
「お待たせコロンちゃん。いやー、馬車って速いね。追い付けなかったよ……!」
軽く息を切らしたモミジが再び広場に戻ってきた。
改めてモミジは二階堂から奪った真っ赤な盾を眺める。
「アーティファクトは基本的に基になった能力名で呼ばれることが多いですが、所有者が移った時に名前を変えることもありますよ。いかがしますか? モミジ様」
「うーん、じゃあ私の名前の紅葉にちなんで、紅葉の別の呼び方……クレハ! 今日からこの盾のことを”クレハの盾”と呼ぶことにしよう!」
「クレハの盾! いい響きだと思います。ところでモミジ様、1つお願いがあります。私も他の異世界人を倒す旅にご一緒させてください! 昔から一度、旅に出て世界を回ってみたかったのです!」
コロンの申し出に広場がざわめく。
「王女様が旅って、そんなのいいのか?」
「でも第3王女のコロン様はとてもしっかりしてらっしゃるわ。同世代でコロン様よりしっかりしている女の子なんてそうそういないし。やはりコロン様が適任なのではないかしら?」
「コロン様が一緒に行ってくれるなら安心だぜ」
「な、ならーん!!」
慌てた国王が広場に飛び出てきた。
「ならんぞコロンよ! お前に旅はまだ早い、危なすぎる! いい子だから家でおとなしくしていなさい」
「えー、じゃあ誰が私をこの世界で案内してくれるの? 私も年頃の女の子なんだから、ごついおっさんが案内役とか嫌だよー? 案内役は年が近い女の子で頭もよくて高貴な身分で、金髪で名前が”コ”ではじまる女の子がいいなー?」
「モミジ様、奇遇ですね! ここに一人条件ぴったりの人材がいます! なんと私です!」
「「イエーイ!」」
ハイタッチを極める二人。
「ぐぬぬ、しかし……!」
「あの異世界人様なら安心してコロンを任せられますわ、父上」
「そうですよぉ。それにコロンもしっかり者だから大丈夫ですよぉ」
国王の後ろにコロンの姉である第1王女と第2王女も駆け付けて、国王を説得していた。
「国のことは私たちに任せて、しっかり異世界人様のサポートをしてくるのよー、コロン!」
「異国のお土産、期待していますよぉ」
「ありがとうございます、姉さまたち!」
しかし国王だけがまだ苦い顔をしていた。
「ぐぬぬぬぬぬぬ……コロンに旅はさせてやりたいが危ない目に合わせたくはない……!! ……モミジ様、失礼ながらお聞きします。旅の途中、コロンを、娘を守り通す覚悟はおありですか」
「もちろんです! 自分の命より大事にします!」
きっぱりと答えるモミジの隣で、コロンが少し恥ずかしそうに俯いていた。
「…分かりましたモミジ殿。娘をどうかよろしくお願いいたします」
モミジは戦利品であるクレハの盾を、広場に集まった全員に見えるように高々と掲げる。
「改めて自己紹介させてもらうよ! 私はクオーツ王国代表になった異世界人、|綾崎紅葉≪あやさきこうよう≫! モミジって呼んで欲しいです! よろしく!」
モミジが名乗ると広場が歓声で埋め尽くされる。
「Bランクに無傷で勝てたんだ! Aランク、Sランクにもきっと勝てる!」
「アタシは全財産あんたに賭けるよ! あんたならやれる!」
「この国の希望、モミジ様万歳!」
二階堂が襲撃してきたときには沈み切っていた広場の空気は、最高に盛り上がっていた。
「ねぇコロンちゃん、みんな盛り上がりすぎじゃない?」
「いえ、この国は代理戦争に全てを賭けなければならないほどの危機なのです。モンスターに土地を侵略され、残されているのは本来の3割ほど、しかも農業には適さない土地だけです。このままでは数年後にはこの国はモンスターに滅ぼされるか他国に吸収されるでしょう」
コロンが少し暗い顔で説明する。
「もしかしてコロンちゃんが最初に森にいたのって……」
「はい。より多くの異世界人を召喚するために、危険を承知で魔力の多いあの森で儀式を行おうとしていました。1人も召喚することはできませんでしたが、おかげでモミジ様と出会うことが出来ました!」
コロンがモミジの手を握る。
「モミジ様はこの国の救世主です。モミジ様なら必ず残り98人を倒せると私は信じています!」
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