VS最強の盾と最強の剣
クオーツ王国の広場で、派手な金髪の男が何か騒いでいる。
モミジと一緒にこの世界に召喚されたうちの1人だ。
年は高校生くらいだろうか。右手には剣、左手には盾を持っている。
隣にはガリエーも立っている。
男異世界人が近くに転がっていた石を剣先で斬りつける。すると、石が一瞬で砂に分解されて風に流されていく。
「ほっほっほ。気に入っていただけましたかな? その剣は我が国に伝わるアーティファクト“魔剣ガルザク”。少しでもその刃で傷つけたものを粉になるまで分解する呪いの剣でございます」
「良いねぇ、最高の武器だ!」
男異世界人が近くに転がっている石や木の枝を斬りつけては分解していく。
騒ぎを聞いて市民も集まってきたが、遠巻きに眺めることしかできない。そんな時、人ごみをかき分けてコロンが広場に現れる。
「あなた達がエメラルド王国の異世界人と大臣ですか」
「如何にも。そういう貴方はクオーツ王国の第三王女様でしたかな? 早速ですが、1つお聞きしたい。我が国が召喚した異世界人がこの国に逃げ込んではいませんかな? それもFランク能力の」
「お、呼んだー?」
モミジが人ごみをかき分けて現れる。
「アンタのことはぶっ飛ばしてやろうと思ってたんだ。こっちから向かう手間が省けた。ついでに隣の異世界人、アンタも倒して、私が元の世界に帰るための第一歩にしてやる」
「Fランク能力者ごときが大口たたくぜ。俺様の能力はBランク。そして過去のBランク能力者が残したアーティファクトも持っている。お前に勝ち目なんて、万に一つもねえんだよ!」
(私は本当はSSランクなんだけど、舐められてたほうが楽だし突っ込まないでおこうっと)
と思ってモミジはあえて何も言わない。
「さぁあの頭パッパラパーFランク異世界人をさっさと仕留めましょう! 国に戻ったら宴ですぞ!」
「誰が頭パッパラパーだとこらぁ!」
遠巻きに見ていた一般市民たちが不安そうな声を漏らす。
「そんな、せっかく俺たちの国にも代表の異世界人が来てくれたっていうのに、Fランク?」
「どうやってもあの異世界人に勝てっこねぇ……」
「今回の代理戦争も1人も倒せず負けちまう。もうだめだ、この国の未来は真っ暗だ……!」
コロンも相手がBランク能力者、しかもアーティファクト持ちと聞いて尻込みしている。
「モミジ様、逃げてください! 相手はモミジ様を殺すつもりです。モミジ様が死んだら、私――」
「――大丈夫だって。私はあんな雑魚に負けたりしないよ」
モミジの軽口を聞いて、男異世界人が舌打ちする。
「Fランク能力者ごときが、でけぇ口聞きやがって。俺様の名は二階堂ダイゴ。能力はBランク【無限成長の盾】。鉄以上の強度を持つこの盾は、敵を倒すたびにスキルポイントを獲得して、それを使って自由にスキルを手に入れられるのさ!」
”スキルポイント消費。スキル【形態変化:鎧】を獲得しました”
電子的な女性のシステム音声が響く。二階堂の盾が変形して、全身を覆う深紅の鎧になった。
「これで俺の守りは鉄壁。最強の防御力と最強の攻撃力。2つをあわせもつ俺様が、負けるはずがねぇ!」
二階堂がモミジに襲い掛かる。剣を真上に振り上げ、全力でモミジの頭目掛けて振り下ろす。
「――あれ? 今、何が起きた?」
モミジの頭をたたき割るはずだった剣は何故か、足元の石畳を砕いていた。
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