残された者達VSアニムスその2
「あの毛玉が活躍するなんて……びっくりだわ……」
「嘘でしょ……」
「あんた達人のペットに向かって散々な言い草ね」
カミルレとアルメリアはシラユキの思わぬ活躍に呆然とした。
ミコモはそんな二人の反応に顔を膨れさせる。
と、その時だった。
アニムスが霊術で氷を破壊し氷の檻から抜け出した。
「ハアッ……今のは本当に危なかったな……」
「大分追い詰めたみたいね……」
息を切らしているアニムス。
ミコモ達はそれに更なる追撃を掛ける為に魔術・霊術の詠唱を始める。
萌葱とリトテとシラユキはそれまでの時間稼ぎを試みた。
まずリトテが霊術を詠唱するアニムスに拳銃を発砲する。
パァン!
「うぐっ! この野朗……!」
アニムスの霊術の詠唱は遮られ、一から唱え直さなければならなくなった。
「今の内っすよモエギの姉貴!」
「分かってるよ!」
萌葱は地を蹴って飛び上がり。
「霊術と空手の融合だよ……食らえ! 烈空蹴り!」
萌葱の足から凄まじい衝撃波が放たれた。
その衝撃波はアニムスの体を吹き飛ばした。
「ごふっ……」
萌葱はスタッと地面に着地を決めた。
「やっぱりモエギの姉貴凄えーーーーー!」
「修行の成果が出たね……ふふ」
萌葱はリトテと共にしていた修行により大幅に強くなっていた。
空手の技に霊術を融合させた結果である。
リトテの“貿易”も必要金額が半額になっており地味にだが成長していた。
それでもアニムスへの決定打にはならなかったが……。
アニムスは直ぐに体制を立て直してこう言った。
「この程度ならどうって事もないさ……事前に霊術で防御力を高めておいて助かったよ……僕の作品を味わうがいい!」
アニムスはまたも本を霊術で飛ばしてくる。
「反霊小町!」
萌葱はそれを反霊小町で捕らえた。
霊力が大幅に低下した所為なのかスピードが落ちており、萌葱でも何とか対応出来るようになった。
だがそれでも全ての本を防ぐ事は出来なかった。
「うわああ! シラユキ! シラユキーーー!」
シュッ!
リトテの言葉に答えるようにシラユキが糸を張った。
「あ、危なかった……」
シラユキは糸を出し終えるとその動きを止めた。
そしてアニムスは攻撃が防がれた事に憤慨する。
「クソッ……こんな下衆な奴等なんかに……僕の小説を防がれるなんて……!」
更にアニムスは俯いて何かを呟く。
何か、ただならぬ雰囲気を漂わせている。
萌葱達はそれを見て危機感を覚えた。
「何だろう……まさか奥の手が……」
「そ、そんな! あれほど強いのに……」
リトテが戦戦恐恐としていると。
シュル……
シラユキが、自らの体を糸で覆い始めた。
「あれ……シラユキ……?」
「まさか……こいつ……」
シラユキはリトテの背中に糸を貼り付けてその身を隠してしまった。
「し、シラユキーーー! お前が戦わなくなったらどうするんだ! これからもリトテを助けてよ!」
しかし萌葱の叫びも空しくシラユキは何も反応をしなかった。
「不味い……よりによってこんな時に……」
「と、とりあえず畳み掛けるしかないっすよ!」
萌葱とリトテはそれぞれ今放てる最も強い攻撃を放った。
「烈空蹴り!」
「発砲!」
二人の攻撃がアニムスを襲う。
だが今のアニムスには効果が薄いようでまるで動じていない。
「不味い不味い不味い! とりあえず後に下がるよリトテ!」
「はい姉貴……!」
二人が慌てて退散したその時。
「霊術の準備が整ったわ。下がっ……」
「もう下がってるから早く撃って!」
「わ、分かったわ……二人も撃ってよ」
「「ええ」」
ミコモ達の霊術の用意が出来た。
三人が一斉に霊術と魔術をアニムスに撃つ。
「ーーー真、冴月連山!」
「ーーケラヴノス・ラーミナ!」
「ーーランケア・コンヘラル!」
幾多の氷の刃や氷の槍、雷の刃がアニムスに放たれた。
しかし……
それらは全て無に帰す事となってしまった……
「―――霊力、開放!!!!!」
アニムスの体を、禍々しいオーラが包み込み、ミコモ達の放った霊術を全て弾き飛ばした。
「あ、あれは……グレムリンの……そうだわ……!」
ミコモは思い出した。
中級魔族は魔力解放という奥の手を持っていた事を。
アニムスが、中級魔族程度の霊力しか持っていなかった事を。
「どうしよう……あいつ凄く強くなってる……しかも何一つ霊術のダメージを受けてないわ……」
「ええ!? もう今ので魔力使い果たしたわ……」
「私も……」
「「「「「……………」」」」」
皆はもはやこの状況に為す術が無かった。
アニムスはそんな皆を見て高笑いをした。
「あははははは! もうお手上げか! ならとっとと死ね!」
アニムスが今までとは比較にならない速さで本を飛ばした。
小説により皆の精神が破壊される―――
「霧双隼飛翔!!!」
それを、甚だしい斬撃が許さなかった。
「だ、誰!?」
ミコモが顔を上げて斬撃を放った主の方を見た。
そこに居たのは、著しく気配の変わった影虎だった。
長年激しい修行を積んだ者のような雰囲気を醸し出している。
「か、カゲトラだよね?」
「ああ」
ミコモの問いかけに影虎はそう短く答える。
そして、アニムスの方を向いて、こう言った。
「感想を伝えに帰って来たぜ、アニムスさんよ……」




