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陰キャが異世界で無双してみた  作者: するめ狂い
陰キャ始動編
9/117

魔族

そして夜が明け、朝が来た。

影虎は日の光で目を覚まし、洗顔を済まして中々起きないミコモを叩き起こし、エルドレットの作った朝食(パンとピンク色の謎のスープ。美味)を食べ、ゴブリン討伐の準備を始めた。


「回復薬よし、刀よし、ってあんまり持っていく物無いな」

「あっ、カゲトラ、私渡しそびれてた物があるから渡すね」

「何?」


持ち物の確認をする影虎にミコモが何かを取り出し影虎に手渡した。


「はいこれ。お近付きの印よ」

「何この瓶に入った粒」

「清めの塩よ。荷物に入れておいて」


「何で今よりによって塩を渡すんだよ! 只の重りじゃねーか!」

影虎がそう言い放ち塩を返すが、ミコモはまったく気にせず影虎に塩を押し付けようとする。


「入れろー! 昨日夢でカゲトラに塩を渡しておくといいことがあるっていうお告げが来たのよ!」


「そんな夢ごときで俺の荷物を増やすな! アホかお前!」

「いいから荷物に入れて! でないと……」


ミコモは普段の様子からは想像もつかない程の殺気を影虎に浴びせた。


影虎はミコモから未知の恐怖を感じたので素直に荷物に入れておく事にした。


「さて二人ともー?準備は出来たかしら?」

「出来ました」

「出来たわ」

「じゃあ出発しましょう!」


三人は戸締まりを確認して依頼のゴブリンがいる場所であるメコルの森へと向かった。

三人は街を出て程なくしてメコルの森の入口に着いた。

因みに、影虎の刀は武器屋にて安価な革製の鞘に入れてあるので、隠行は今は常時オフにしている。


発動させていると影虎を見失うのはミコモも同じであった。

「今から森に入るけど、魔物がいるから気をつけるのよ?」

「はい」

「ええ」


「あとエルさん、気配は消した方がいいですか?」

「見失うから気配は消さないで。大丈夫、カゲトラちゃん一人くらいなら守れるわ」


「分かりました」

影虎は頼もしすぎんよこの人と思いながら森に入っていく二人に続いた。


そうして暫く歩いていると、ゴブリン……耳の尖った鷲鼻の醜い顔を持つ小鬼が歩いているのを見付けた。


「多分ちょうどあのゴブリンは巣に帰る所みたいだから、付いて行けば巣の場所が分かるわ。足音を立てないように尾行しましょう」


ヒソヒソとそう言うエルドレットに二人はコクリと頷き、そのゴブリンに付いて行った。


すると、ゴブリンの巣なのであろう洞窟が見えてきた。

どうやら門番もいるようで、ゴブリン達は皆、棍棒を持っていた。


「さあ、襲撃するわよ」

「はい!」

「ええ!」


まず一番にエルドレットがレイピアを出し駆け出した。

ゴブリン達は突然表れた人間に慌てて棍棒を振った。


エルドレットはそれをひらりと避け、お返しとばかりに肉眼では捉えられない速さでゴブリンの胸部を突いた。


影虎がエルドレットのあまりの速さに唖然としていると、ミコモが何処から出したのかお祓い棒を持って霊術を詠唱をしている。


「ーーー飛水斬」

そう唱えた瞬間、ミコモの持っているお祓い棒から水が射出され2体のゴブリンの体を真っ二つにした。


「おいおいとんでもねえな……」

影虎は思わずそう口にしていると、ゴブリンが棍棒を掲げこちらに向かって来た。


「よっと」

影虎は刀を抜きゴブリンに突き刺した。

ゴブリンの体から血がブシュっと吹き出し、ゴブリンは倒れた。


「うわっ! 一応グロいゲームはやってたんだけどなあ……やっぱり命を奪うのは嫌だなあ。悪さしてるゴブリンとはいえ」


影虎は刀から伝わる感触に大いに顔をしかめる。

「そろそろ殲滅出来たかしら? 洞窟に入るわよ!」


二人はまたもコクリと頷き、三人はゴブリンの洞窟へと足を踏み入れた。


ゴブリンをエルドレットとミコモが瞬殺しながら進んでいると、道が二手に別れていた。


「うわ、どっちに進めばいいんだろ」

「ちょっと待ってて。今透視の霊術使うから」


「けっこう何でもありだなお前」

「ゴブリン突き刺しても動じてないカゲトラちゃんも十分凄いけど……」


影虎が恐れずにゴブリンを倒した事に驚いているエルドレット。

「メンタル強いんで俺」

「鋼のメンタルね……でも命の尊さはわすれちゃダメよ?」

「分かってますよ」


ゴブリンを警戒しつつそんな事を話していると、ミコモの霊術の演唱が終わった。


「ーーー霊見」

ミコモは道の奥を見るような仕草をした後、二人にこう言った。


「こっちの道にゴブリンがたくさんいるわね。それに多分この巣のボスなんだろうけど上位種のボブゴブリンもいるわ。それでそっちの道には何もいないみたい。多分倉庫じゃない?あと何かゴブリンに紛れてゴブリンの他にも何かがいるわ…何だろう?」


「ゴブリン以外の何かがいるの?まあでも行ってみるしか無いわね」


そうしてゴブリンがいる方の道に進むと……

ゴブリンを従えている大柄なボブゴブリンと共に。


まさに小悪魔といったような風貌の何かがいた。

それは三人を見るとニタっと笑みを浮かべ口を開いた。


「ハーイ! 人族の方々! 私の巣にいらっしゃーい!」

「な……嘘でしょ……あれは……」

「魔族……何でこんな所に……」


エルドレットとミコモが驚愕に満ちた顔でそう言った。

(魔族ってあの……街の人達が言ってた奴だよな……)


影虎は顔を青ざめた。

何で攻めてこられたら終わりという化物がこんな所にいるのかと。


そしてそれは驚く三人を見てさらにニタニタと笑いながらこう名乗った。


「私こそは新参者の中級魔族、グレムリンでえ~す! 人族を地獄に飛ばすために来ました! よろしくう~!」






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