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陰キャが異世界で無双してみた  作者: するめ狂い
陰キャ育児編
84/117

ライ王国

翌日。

影虎達はシラユキに翻弄されつつもようやくライ王国に到着した。

因みにシラユキの糸はどうする事も出来なかった為放置している。

後にそれが勇者の残した糸であると、船の価値が大幅に上がる事になるのだがそれは影虎達の知る所では無かった。

道中、海の魔物も現れたが晴人が瞬殺して終わった。

また食事にはライ王国独自の料理(ボルシチのようなスープとピロシキのような揚げパン)なども出され、影虎達はそれを美味しく頂いたのであった。


「ここがライ王国か……寒っ!」

「こ、凍え死ぬ……」

「相変わらず寒いな……」

影虎達は寒さに身を震わせた。


「一面雪じゃねーか……誰かさんが前もって上着が必要だとか言ってくれれば……」

影虎は晴人の方を向いて恨めしそうに言う。

「いや……悪い……伝え忘れてた……」

「ふざけんな! てかお前何でこの寒さでそんな平気そうな顔してられるんだよ!」

「アンサラーの強化で……」

「ぶっ飛ばすぞテメー!!!」

「ご、ごめん……」


晴人はてっきり影虎達がライ王国の寒さを常識で知っているものと思っていたのだが、

その予想は外れてしまった。

「まあライ王国の王様が準備して下さると思うからとりあえずライ王城に向かおう」

「了解。なら早く行こうぜ寒いし……」

影虎達は縮こまりながらも歩き出す。


ライ王国の街並みは中世のヨーロッパのような建物が多く、雪がしんしんと降っておりかなり寒い。

人々もそれに合わせて毛皮がふんだんに用いられた暖かそうな服を着ている。

店では氷付けにされた肉や魚が売りに出されていた。

更にそこらの奥さんが板のように凍っている洗濯物を取り込んでいた。

「これが北国か……」

影虎はこの国のとてつもない日常に目を剥くのであった。

そうして影虎達はライ王城に到着し、玉座の間へと通された。

玉座には王冠を被った金髪で凛々しい雰囲気の若い王が居た。

「私はこの国の王、ライ=エドワードと申します。我が国までご足労頂き感謝致します勇者の方々」

「ありがたいお言葉です」

「よ、よろしくお願いします……」

「い、以後お見知り置きを……」


すらすらと挨拶をする晴人に対し影虎と萌葱は寒さにガタガタ震えながら声を出した。

ライ王は二人の様子と格好を見て察し、配下の物にある物を取りに行かせる。

「しばし待たれよ」

「分かりました……」

そうしてしばらく待っていると、王の配下が影虎達の人数分、毛皮のコートと……籠に入った赤い実を持って来た。


「その服装では寒いでしょう。どうぞそれを身に着けて下さい」

「有難うございます! 助かりました!」

「あ、暖かい……」

影虎達はライ王の計らいに感謝する。

「そして戦闘中にコートが邪魔でしょうから、コートを脱いで戦う時にはハバナの実を食されるのが良いでしょう」

「成程……有難うございます」

影虎はそのホオズキのような形をした真紅の実を受け取り、皆にそれぞれ分けた。


「それでは本題に入りましょう。我が国のライ山にて謎の洞窟が発見されたのです。どうやら勇者の方々はメコル王国やミル王国でも同じ様な洞窟の調査をされている様ですので説明は割愛致しますが、調査と、もし上級魔族が居た際には討伐して頂きたいのです………」

その後影虎達はミル王国の時と同じ様に説明がなされ、ライ王城を出た。

今回泊まるのはライの高級な宿だ。


「それにしてもこの……ハバナの実だっけ。何でこれがコート代わりになるんだ?」

影虎が晴人にそう聞くと、晴人は苦虫を噛み潰したような顔で言った。

「それは……」

「とりあえず食べてみれば分かるでしょ。いただきま~す」

晴人が説明する前に萌葱がハバネの実を口に入れた。


「あ……」

「ん? どうした晴人、そんなに間の抜けた顔をして」

「いや……まあ見てろ……どうせもう遅いし……

「ぎゃあああああ! か、辛い! 辛いを通り越して痛い!ああああああ!」

「ほらな……」

「………」


影虎は悶える萌葱を見て理解した。

そう、ハバネの実はあまりにも辛いのだ。

もはや毒と言っても過言ではない辛さである。

「ライの王様は何を考えてこんな物を渡したんだ?」

「これで体を暖めるんだよ。ライ王国の人達にとってはちょっと辛い位で済むんだって

さ……俺も食った後でその事実を知ったよ……」

「ああ……そういう事か……」


影虎は国同士の文化と体質の違いを痛感させられた。

「モエギの姉貴ー! 水です!」

「あ、あり、ぐふっ!!!」

「モエギの姉貴ーーー!」

リトテが貿易を駆使し手を尽くすもその後萌葱が回復するまで三十分近く掛かったと

いう……

萌葱の晴人への憎悪が更に増した事は言うまでも無かった。







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