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陰キャが異世界で無双してみた  作者: するめ狂い
陰キャ育児編
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後悔

エルドレットが亡くなってから二週間の時が過ぎた……

影虎達はリトテと合流し、依頼を無事完了させた事をキチロクとサブロウに伝え、メコル王国へと戻った。

メコル王国に戻り王にエルドレットの訃報を告げると、王は影虎達に平謝りすると同時にエルドレットの活躍を大いに称えた。

その後影虎達と城の者達のみでのエルドレットの葬式が開かれた。

この二週間は影虎達にとって目まぐるしく実感の無い日々であった。


そんな時だった。

ミコモの部屋に置いてあったエルドレットの残した謎の卵にヒビが入ったのは。

ピキッ!

「カゲトラ~何か卵にヒビが入ったんだけど……」

「何!? こ、こいつもうすぐ孵化するんじゃないのか!?」

「えっでも仮に生まれたとしてこの卵の中身は何を食べるのよ」

「さあ……」


ミコモが影虎の部屋に卵を持ってやって来た。

因みに、今影虎達は城の貸し出された部屋に居る。

冒険者の時に住んでいた家では依頼の際に不便であるからである。

「じゃあモエギとリトテにも聞いてみるわ」

「ああ……頼むぜ」


影虎は部屋から出て行くミコモの姿を見てベッドに寝転がった。

(それにしてもリトテの事を王様が理解してくれて良かった……)

影虎がリトテを王に紹介した時最初王は険しい顔をしていたが、リトテ本人から自身の意思を聞かされ、警戒を解いていった。

ただし、影虎がしっかりと監視をするようにとは言われたが。


「まあ無理も無いか……はは……」

そして不意に影虎の頬に一粒の涙が伝う。

「何だよ……何なんだよこの寂しさはよ……!」

影虎は最近時々とてつもない寂寥感を味わっていた。

ミコモに至っては突拍子も無く号泣する事がしばしばあった。

理由は勿論、エルドレットが居なくなってしまったからである。

「畜生、俺がもっと強ければ……勝てたかもしれないのに……! 俺が勇者の力を集めるとか言わなければ良かったのに……!」

影虎の後悔は尽きない。

「ああ……全部俺の所為だ……」

「カゲトラ、大丈夫?」

「え?」

うつ伏せになって泣く影虎にミコモがそっと声を掛ける。

「ああごめんな……大丈夫、心配すんなって」

影虎は気丈に振舞うが、その声は震えていた。

ミコモはそんな影虎の様子を見て言った。

「カゲトラ………もしかして後悔してるの……?」

「………ああ……当たり前だろ!? 人助け出来るからっていう適当な理由で戦争に参加して、勇者の力なんかに頼って、それでエルさんが死んだんだ! 後悔しない訳が無いだろ!

俺は自分の行動が、浅まし過ぎたんだってようやく気付いたよ………」

影虎は胸の内に溜め込んでいたものをミコモにぶつける。

ミコモはそれをただ黙って聞き、影虎に言った。

「………カゲトラ、私はまだエル姉が死んだとは思えないの。まだ何処かで……生きていてくれてるんじゃないかって思ってる。それなのに……どうして何で皆死んだって決め付けるのよ!」

「いや……それは……」

影虎は頑ななミコモに掛ける言葉が見つからない。

エルドレットと一番付き合いが長いのはミコモだ。

世代などの壁を越えた深い友情があったのだ。

悲しくならない筈が無いのだ。

二人の間に重苦しい空気が流れる。

その時、萌葱がトントンと部屋のドアを叩いて、扉を開けた。

「ねえ……二人共大丈夫……? 凄い剣幕が聞こえてきたけど……」

萌葱が心配そうな顔をしてドアから顔を出す。

影虎は萌葱にぽつりと問いた。

「萌葱さん……俺はあの時……というかここに転生した時……どうすれば良かった

んでしょうか……」

影虎がそう聞くと、萌葱は少しの間黙ってからこう言った。

「影虎君、過去の事はもうどうしようも無いんだよ……」

「それは分かってるんですよ! でも……」

「大事なのは“これから”だよ」

「え……?」

「人間っていうのは必ずしも失敗をする。それはどんな天才でも同じ。だから大事な

のは失敗をバネにして生かして成長出来るか否かなんだよ。影虎君、私がエルさんなら

、影虎君には後悔ばっかりしていないで早く修行して自分を超えて欲しいって思うだろうね」

「た、確かに……」

「影虎君、君はまだ……私もだけど成長段階なんだよ。後悔するよりも先に強くなろうよ」

「分かりました萌葱さん……! 俺……一から鍛え直します!」

「その心意気だよ、影虎君」

影虎は涙を拭いて立ち上がり、ミコモに言った。

「おいミコモ……さっきは悪かった……あんな事を言ってよ……それでだ、エルさんに

また会ったときの為に鍛えておきたいんだ……修行に付き合ってくれ!」

「ふふ……勿論良いわよ。じゃあ早速みっちり鍛えてあげるから覚悟しなさいよ」

「どんと来いよ! さっさと行こうぜ!」

「ええ!」

「行ってらっしゃい~」

萌葱は走り出す二人を見送って、若いなあ~と思うのだった。

こっそり後で見ていたリトテは感動してハンカチを涙で濡らしていた。

一方その頃……

「な、何だこの洞窟の扉……王様に知らせないと!」

ライ王国にて陽の勇者こと晴人が、新たな洞窟を見つけていた。






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