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陰キャが異世界で無双してみた  作者: するめ狂い
陰キャ他国編
67/117

下級魔族リトテ

そして次の日の朝。

影虎達はハクマ山へと赴いた。

「ここがハクマ山か……パンダでもいそうだな」

「本当だね……」


影虎の感想に萌葱が同意する。

ハクマ山は主に竹林で構成されており、いかにも昔の日本といった印象だ。

因みに、元の世界とこちらの世界ではたまに共通の物が存在する。


この世界の竹は元の世界の竹と同じものである。

フォーヴィスが出したエノコログサ(猫じゃらし)などもそれに該当する。

影虎はハクマ山の土を踏みしめながらふとこう呟く。


「ふう……魔族とか出てきませんように……」

「影虎君、何でそうやってフラグを立てちゃうの!? 学校で『恋愛フラグ以外のフラグは建てちゃ駄目』って習わなかったの!?」

「うわあああ! すみません俺としたことがうっかり!」


影虎は萌葱に必死で謝った。

エルドレットとミコモは不思議そうな顔をしていたが。

そうして影虎がフラグを立ててしまった所為なのか謎の小さな小屋が影虎達の前に現れた。


「ほら……いかにも何か潜んでそうな小屋が出てきちゃったよ……これは影虎君の責任だね。君が見てきなさい」

「俺一人でですか!?」

「うーん、おかしいわね……何でこんな所で魔族の気配がうっすらとするのかしら……」

「ミコモお前やめてくれよ本当に! にしてもどうしてこの世界ではフラグが成立してしまうんだ!」


影虎は大声でそう叫んだ。

それをエルドレットが制する。

「しっ、もし本当に魔族が居たらどうするの! こっちの事がばれたら不味いのよ!」

「す、すみません……」


しかしエルドレットの忠告は遅かった。

小さな小屋から小柄な何かが出て来る。

それは竹製の笠を被った小人族だった。


「いらっしゃいませ~。何でも売ってますよ~」

「ただの店かよ!」

「いや待ってカゲトラ。この人……」

ミコモがぐいぐいとその小人族の笠を取ろうとする。

「な、何をするんですか……離して下さいお客様!」

「駄目よ。だってあんた……」


ミコモが強引に笠を外すと、紫色の肌の顔があらわになった。

それは所謂小さな悪魔の角を生やしており、何とも守銭奴そうな顔をしていた。

無論小人族などではなく……


「魔族でしょ」

「し、しまった!」

「やっぱりフラグが成立してしまったか……」


影虎は自分の行動の浅はかさを嘆いた。

「さて……倒さないとね。カゲトラちゃん、しょげてる場合じゃないわよ!」

「はい! すみませんエルさん、次は気を付けます!」


影虎達は戦闘態勢に入った。

小柄な魔族は慌てて影虎達に言う。

「ま……待ってくれ! オレは決して小人族に危害を加えようとか考えていた訳じゃないんだ!」

「え……? マジで?」


影虎は魔族から出た意外な言葉に驚いた。

「カゲトラちゃん、騙されたら駄目よ。この魔族が嘘をついている可能性の方が高いわ」

「ですよね。倒しましょう」

「いやいや待ってくれって! 何なら証拠を見せるから!」

「ほう……」


武器を振りかざす四人に半ば涙目になりながら小柄な魔族が訴える。

影虎達はひとまず警戒しながら話を聞く事にした。


「まず……オレの名前はリトテ。ここで商売をしてる下級魔族さ」

「商売? 何で魔族がこんな所で商売してるんだ?」

「それはな……オレは人族と戦争したく無いからだ。他の魔族みたいに戦争の捨て駒になるなんて嫌なんだ……そこでオレはひっそりとここで商売してるのさ」

「なるほど……」


影虎は見ている限りではリトテは嘘を言っているようには感じなかった。

だが、その程度では信頼が足りない。


「おいリトテだっけ? お前の霊基を教えてくれ。そうすれば少しは信用できる」

「分かった……見せる」

リトテは右手から青白いディスプレイのようなものを映し出し、操作する。


「何か欲しい物はある?」

「え? 欲しい物? うーん、小腹が空いたしおにぎりが欲しいな」

「分かった。ちょっと待っててくれ」


リトテは小屋の中から小銭を取り出し、右手の上に置いた。

「ーーー貿易(メルカトラ)!!!」

リトテがそう霊基を発動させると、小銭が右手に吸い込まれ、代わりにおにぎりが出現する。


「これがオレの霊基、貿易(メルカトラ)だ……この世に存在するあらゆるものを相場の値段でいつでも買う事が出来る能力……買った物はすぐにオレの右手に出てくるんだ、結構便利な能力なんだぜ?」


リトテは得意そうに言った。

影虎はいよいよ信用できそうだと思うのと同時に、本当に信じていいのかという思いもあった。

魔族にはさんざん煮え湯を飲まされているし、この態度も演技かもしれない。

影虎が熟考していると、萌葱がこう提案した。


「ねえ皆、このリトテって人を私達の依頼の連れていって見張るっていうのはどう? そうすれば信用出来るし、寝る時は縛っておけば問題ないんじゃない? それにこんな隠れ方じゃいずれ見つかっちゃうし、リトテに害意が無くても保護になるからいいと

思うんだけど……」


「おお! それいいわねモエギちゃん! 私もこの子がどうしても嘘を言っているようには見えなくて……」

「私も賛成よモエギ。こいつ悪い奴じゃなさそうだし」

萌葱の意見にエルドレットとミコモが賛成する。


「じゃあ萌葱さんの言う通りこいつを連れて行くか。王様には自分達が見張ってるって言えば問題無いし。何より倒すのも後味悪いし! 多少目立っちゃうだろうけどこの際仕方が無いな」

「え!? ちょ!? 待って……」


リトテは勝手に進められていく話に付いて行けていない。

そして影虎達はリトテの方を振り返ってこう言い放った。

「「「「ねえリトテ、死にたくなかったら私(俺)達と一緒に来なさい」」」」

「ひええええ……何なのこの人達怖い……はい」

リトテは影虎達のオーラに気圧され頷くしか無かった。

そうして、影虎達のパーティに下級魔族リトテが加わった!




次回は水曜日に更新予定です。

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