出没、海の幸
時折、過去話の改稿を行っております。
ご迷惑をお掛けします。
「さて……これがゲームだったら壺とか漁ってるんだけどな……お?」
影虎は甲板を歩いていると、ミコモが手を前に突き出して何かをしていた。
「ミコモ、お前何してんの?」
「邪魔しないで」
ミコモにはっきりとそう言われ、影虎はとりあえず黙ってミコモが何をしているのか観察する事にした。
するとミコモは手を青白く発光させ―――
「ーーー発動して、魔喰」
魔喰を発動させた。
(で、出来るもんなのか?)
影虎がそう疑問に思っていると、ミコモが振り向いて影虎に言った。
「あんた暇ならちょっと手出して」
「いいけど何するんだ?」
手をミコモに伸ばす影虎。
ミコモはその影虎の手をきゅっと掴む。
影虎はミコモの行動の真意が分からず不覚にもドキドキしてしまう。
だが、そんな甘い展開では無かった。
「発動して、魔喰」
「わああああ! 霊力が吸われるー!」
ミコモは自身の手から魔喰を行使し、影虎の霊力を奪い取る。
「やっぱり成功したわね」
「おい……魔喰の実験を俺にやるなら最初から言え!」
魔喰が成功した事で喜ぶミコモに影虎がそう噛み付いた。
「いちいちうるさいわねカゲトラ……あんた言ったら絶対にやってくれないじゃない」
「詐欺で訴えるぞお前……」
ミコモはあっさりとそんな事を影虎に言ってのけた。
影虎は前にもこんな非人道的行為があったな……と悲しく思った。
と、そんな風に話していた時だった。
ブクッ!
ブクブクッ!
「ん……? 何今の泡みたいな音?」
「さあ。私が知ってる訳ないじゃない」
「お前に聞いた俺が馬鹿だった」
影虎は何事かと刀に手を添えてあたりを警戒する。
すると、またもブクブクと音がする。
「おいミコモ……何か嫌な予感がするからエルさんと萌葱さんを呼んで来てくれ」
「あたしの方が強いんだからカゲトラあんたが行きなさいよ」
「お前が言うとむかつくけど一理あるな……行ってくるわ」
影虎はその場をミコモに任せてエルドレットと萌葱を呼びに向かった。
「えっと……どこの船室にいるんだエルさんと萌葱さんは……」
影虎はあちこちを見て回る。
その様子を見ていたサブロウが影虎に声を掛ける。
「如何なさったのでカゲトラ殿? 慌てている様子でござるが……」
「実は……」
影虎は今の状況をサブロウに説明した。
「成程……それは由々しき事態。拙者が皆にお伝えしましょう」
「ありがとうございます! 助かります!」
影虎は先程の場所に戻り、サブロウは皆に情報を伝達しに行った。
「ミコモ! お前大丈夫だったか!?」
「大丈夫よ。泡の音は大きくなってる気がするけどね」
ボゴッ!
「本当だ……」
影虎が顔を青ざめていると、やがてエルドレットと萌葱、そして船乗り達とサブロウがその場に駆けつけた。
ボゴボゴボゴッ!
「この音は……まさか……」
ボゴボゴボゴボゴッ!
ザバーーーン!!!
大きな水しぶきと共にこの船の大きさ程もある巨大な白い蟹が現れる。
船乗り達は一斉に驚いてその蟹の名を呼んだ。
「「「モチモチダイフクガニ!」」」
「どんな名前だよ!」
影虎は蟹のネーミングに思わず突っ込んだ。
そしてサブロウが興奮気味に影虎達にこう告げる。
「あの蟹は大変美味でござる……宜しければ共に戦っては下さらぬか……」
「食用なのかよ!?」
「分かったわ。その代わりご馳走して頂戴ね?」
「かしこまった! いざ、参りましょうぞ」
「まあいいや……とりあえず倒すかあの蟹……」
影虎は刀に手を添えて技を放つ。
「………抜刀技・月暈」
蟹の甲羅に飛び乗って抜刀をお見舞いする影虎。
影虎の刀が蟹の腕を甲羅ごと深く切り裂いた。
それを見た影虎は手応えを感じて蟹の甲羅から甲板に戻った。
「食事の時間よ、魔喰!」
続いてミコモが蟹の甲羅に手を当てて魔食を発動させる。
霊力を蟹から奪っていく。
「ーーー真、飛水斬」
さらにミコモが吸収した霊力を籠めた霊術を放ち、蟹の腕をまるごと切った。
「ーーー風刃!」
「ーーー飛燕突き!」
萌葱とエルドレットも蟹に攻撃を仕掛ける。
だんだんと蟹の体に傷が増えていく。
「ブクククク………」
怒った蟹がハサミを掲げてこちらを威嚇してくる。
「蟹だから効いてるのか分かりにくいな……しかもさっきまであいつの甲羅が足場になってたのにあいつが威嚇して体勢変えたせいで足場が無くなっちまった……どうしよ……
いや毒使えばいいか。ーーー毒液弾!」
影虎がそうして毒の霊術を放とうとして、ふと気が付いた。
「おっと、こいつ食用だから毒使ったら駄目じゃん……うわ~また毒使えないのかよ……嘘だろ……俺攻撃できないじゃん……」
影虎がそう嘆いていると。
「カゲトラちゃん! 奥義に遠距離でも攻撃できる技があるわ! 今から私がそれを使うからカゲトラちゃんは私の真似をして技を撃って!」
「いやそんな事できる訳ないですよ……」
「今のカゲトラちゃんなら大丈夫よ! とりあえず見て!」
エルドレットは不安げな影虎を励まし、構えを取って技を行使する。
「………霊剣草薙!!!」
エルドレットは霊力を籠めたレイピアの先で五芒星を描き、八双の構えを取って五芒星の中央を突いた。
レイピアから斬撃が飛び、蟹の腕を刺し貫いた。




