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陰キャが異世界で無双してみた  作者: するめ狂い
陰キャ他国編
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陰キャ出航

影虎と晴人は話している内にだんだんと眠くなってきた。

「そろそろ寝ようぜ影虎」

「だな。明日は早いし」

「じゃあおやすみ影虎~」

「おやすみ~」


そう言って晴人は影虎の部屋を出て行った。

影虎は晴人が部屋を出たのを見た後、深くため息をついた。

「はあ~。ミコモねえ……」

影虎は晴人に言われた言葉を反芻する。

『ミコモさん優しいからオッケーしてくれるって!』

「ほんとかよ……」


影虎は絶対適当に言ってるだろあいつ、などと思いながらベッドに横たわる。

「あいつはハーレム形成してやがるもんな……クソ野朗が……」

晴人に対して辛辣な事を言ってしまう影虎。

だが誰であれハーレムを作成していたら多少妬みはするだろう。


「でもやっぱり俺もハーレムとまでは行かないにしろ恋人くらいは欲しいなあ……」

そして影虎はぽつりと本音を呟いてしまった。

彼女いない歴=年齢ならではの寂寥感である。

そんな風にベッドの中で考え事をしていると、影虎は次第に眠りに誘われていった。

次の日の朝。

ついにミル王国へと旅立つ日がやって来た。

「さて……色々と準備オッケー!」

影虎がいつものように持ち物を確認していると。


「きゃあああ! カゲトラちゃん助けて!」

「え!? どうしたんですか!?」

エルドレットの慌てように、影虎はまたミコモあたりが暴れ出したのではないかとかなり不安になった。

エルドレットは心配する影虎に目に軽く涙を浮かべながらもこう告げた。


「これを見て……」

「ん?」

エルドレットが己の右手を影虎に見せる。

そこには純白の糸が絡み付いていた。

エルドレットの様子からして冗談という訳でも無さそうだ。そもそもこんなよく分からない冗談を言う者は居ない。

影虎が驚いた表情でエルドレットを見ると、エルドレットがおののきつつ言った。


「朝起きたら絡み付いていたの……」

「エルさんってクモか何かだったんですか?」

「違うわよ! 私は人間よ! 私の家族もただの服屋!」

「そうですか……本当に何なんだ……まあいいや無理矢理引き千切りましょう」

「え……いやでもその糸は……」

影虎はエルドレットを怪我させないように糸を手で強引に引きちぎっろうとする。

しかし糸が固く千切る事が出来ない。


「刀持ってきます」

「いや最初からそうしてよカゲトラちゃん! カゲトラちゃんの刀で切って貰おうと思って言ったのよ私!」

「すみません……」

影虎はエルドレットに謝り刀を持ってきて糸を切った。

「意外と固かった……何だこれ……」

「何で出てきたのかしらこの糸……」

影虎とエルドレットは首を傾げた。

そうして準備をしている内に全員の準備が整った。

因みにミコモに糸の事を心当たりが無いか尋ねたが全く心当たりが無いと返され心配された。

「それでは、港へ参りましょうぞ」

「はい、行きましょうか」

サブロウと城の使者が皆を案内する。


まず街の外へと出て、馬車に乗り込んで船が泊まっている港へと向かう。

「この世界の馬速いな……すぐに着きそうだ」

影虎は目まぐるしく変わる馬車の窓の風景に驚いた。

そして程なくして港町に着いた。


メコルの城下町である街よりかは流石に小さいが、こちらも引けをとらずに賑わっている。

辺りでは新鮮そうな魚が売られており、船乗りらしき格好をした人をたまに見かける。

心地よい潮風が吹いており、空にはカモメのような鳥が飛んでいた。


「ザ、港って感じだな……建物は街とそんなに変わらねーけど」

「影虎君……もうちょっといい感想ないの……?」

萌葱が遠慮がちに影虎にそう言う。

「小学生の時の感想文0点の奴にそんな大層な事を求めないで下さいよ」

「ええ……逆にどうやったら0点が取れるの……」

「そうですね……何も書かなかったんですよ。全く思いつかなくて」

「なるほど……」


影虎達が話していると、サブロウが海の方を指差して言う。

「あそこに船を泊めております。いざ、参りましょう」

「分かりました~」

誰かがサブロウに返事をした。

一同は街の様子を見ながらも船が停泊している海岸へと向かった。


すると大きい木造の船が見えてきた。

「でけえな……あれに乗るのか……」

「まあ中世の船だからなあ……三十メートルはありそうだな影虎」


船の大きさにぽかんとする影虎。

晴人もあまりの大きさに驚き思わずそう言った。

「出航準備はもう既に整っているでござる。では、お乗りになられて下され」

「ありがとうございます」

影虎はサブロウとミル王国の気遣いに感謝した。


そうして影虎達は船に乗り込んだ。

小人族の船乗りが鐘を鳴らし、船が動き出す。

「じゃあ、またな影虎~!」

晴人が別の船から影虎に手を振ってくる。

「おう、また会おうぜ~」


影虎も晴人に手を振り返した。

やがて二つの船は別の方向へと進み、だんだんと晴人側の船が小さくなっていった。

「ふう、これが中世の船か……馬もそうだったけど思ったよりも速いな……」


実はこの世界の船は魔術等により加速を行っている。

そのため奴隷が一切使われていないのだ。

この世界の奴隷は意外にも肉体労働等の過酷な労働ではなく普通の召使いになるなど、それなりに丁重に扱われている。


「それにしても暇だなあ……船をちょっと探索してみるか」

影虎は大きくあくびをしながら歩き出した。

後に海の幸が牙を剥く事も知らずに……






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