陰キャ男子会
「そして出発は明日という事でお頼み申す」
「分かりました。でも船とかは……」
影虎が気になってサブロウに聞く。
サブロウはその問いに丁寧に答えた。
「某らの国が用意して候う」
「なるほど……もう準備がされているんですね……」
影虎がそりゃそうか、と思いながらも納得する。
わざわざ使者を送る程勇者の力が必要ならば船も準備されていて当然だ、と。
そしてそれ程の事だと判断されたのは、高位の魔族が潜んでいる可能性があると考えられた為だろう。
「それでは、失礼致す」
サブロウはぺこりと頭を下げ、玉座の間の奥の方へ戻っていった。
「以上じゃ。ワシからは何もないですな。後は各々方の部屋でゆっくりと休養を取って下され」
「「「「「はっ!」」」」」
そうして一同は王に敬礼し各自の部屋に戻った。
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この日の夜。
影虎が暇つぶしに部屋で腕立て伏せをしていると、コンコンと扉が叩かれ、ドア越しに声を掛けられた。
「なあ影虎、枕投げやらない?」
「やらん」
影虎は即答した。
もう二度とあの惨劇は起こしたくないからである。
「お前の人生には反省という物が無いのか?」
「あるわ! 今回はチーム分けしくじらないから!」
「だが断る。明日もう依頼だから体力を温存しておきたいんだ」
「そうか残念だな……ならどうせ暇だし話そうぜ。部屋入っていい?」
「いいぜ」
晴人が扉を開けて部屋の中に入り、影虎の隣に腰を下ろした。
「早速こんな話題振るのもあれなんだけどさ……影虎に聞きたいんだけどよ……お前ミコモさんとはどういう関係なんだ?」
「ぶっ!!!」
晴人の言葉に影虎は思わず吹き出してしまった。
「何でいきなりこの話題を……あとミコモさんってお前……」
「いや影虎が俺にアルメリアとカミルレとそういう関係だろとかいっつも言ってくるからそれの仕返し的な?」
「あっそ……そりゃ悪かったな……」
影虎は晴人に軽く謝り、ミコモとの関係について考える。
だが中々思いつくものではない。
影虎は至って普通に答えた。
「う~んあいつとの関係ねえ……仲間兼師匠だな」
「うっわ~番つまんねえ答え! 影虎、それは無いぜ」
「おい……これでも一応真面目に考えたんだぞ俺は……」
影虎の返しに納得しない晴人。
晴人はさらに影虎に質問を浴びせる。
「じゃあさ、影虎はミコモさんの事どう思ってんの? あ、仲間とかそういうのナシな」
「さっきからお前答え辛い質問ばっかすんなよ……」
影虎は逃げを先に封じられてしまい困ってしまった。
仕方が無いので影虎は晴人に本心を打ち明ける事にした。
「ミコモの事は……顔はいいと思ってるよ。顔はな」
「ほう」
「でも性格がな……あんなのがヒロインとかこの小説大分やばいぜ」
「ちょ影虎、メタいメタい」
晴人が影虎のメタ発言にストップを掛け、影虎にこう言い返した。
「でもミコモさんかなり優しい人じゃん。枕投げにも付き合ってくれたし、影虎とお似合いだと思うぜ?」
「おいレムネの実食って覚醒する奴とお似合いって言われた俺の気持ちを考えてくれ晴人」
「何それ……」
晴人はまだミコモが覚醒した所を見ていない。
影虎は晴人にそれについて説明をした。
ミコモには霊喰という霊基を勇者でもないのに保持しており、感情が高まるなどすると霊基が暴走して手が付けられなくなると。
影虎は萌葱からミコモの魔喰について教えられていた。
その話を聞いた晴人は。
「別にそのレムネの実ってのを食べさせなければいい訳じゃん」
「た、確かにそうだけど……」
晴人はそう言う影虎に提案をする。
「影虎、お前アタックしてみたら? 行けるんじゃない? 多分だけどミコモさん優しいからオッケーしてくれるって! 俺は応援するぜ!」
「いやしねえよ! 俺別にあいつの事好きじゃねーし!」
「またまた~。顔は好みって時点でアレだろ~。ラブレターとかどうよ」
「ふざけんな!」
「最近はSNSでの告白も増えてるらしいぜ」
「ここにはガラケーみたいなのしか無えよ!」
そこから影虎と晴人の話し合いはくだらない言い争いに発展した。
それを最後まで聞いていた影が一つ。
「カゲトラあいつ………」
ミコモはたまたま影虎の部屋の前を通り掛かり、その会話の内容に驚いて扉の前で聞き耳を立てていたのだ。
「私の事を……顔は良いって……」
ミコモは胸をに手を当てて、ふとこう呟いた。
「一番むかつく誉め言葉じゃない……あとでカゲトラぶん殴ろう。もちろんハルトって人も」
ミコモはそう決意してその場を離れた。
だがその表情は少し照れているようにも見えた。




