枕投げ(壮絶)
影虎はその後、自分の部屋に戻ったが……
「おい影虎、皆で枕投げしようぜ!」
「いや修学旅行かよ!!!」
晴人の無駄に高いテンションにそう突っ込む影虎。
「ほらエルさんもちょうど風呂から上がった所なんだよ~。行くぞ影虎!」
「そんな~っておいやめろ掴むんじゃねー!」
影虎はズルズルと晴人の部屋へとぞんざいに引き摺られる。
そして部屋の中へポイっと皆の前に投げ出された。
面子は先程いた全員だ。
萌葱も参加していた。
もっとも怨念のようなものを漂わせながら体育座りをしながら謎の念仏のようなものを唱えていたが。
「もっとやさしく扱え晴人! あとこんな装飾だらけの所で枕投げ出来る訳ねーだろ!物が壊れるだろうが!」
影虎が正論を言うと、晴人はしれっとした顔で。
「アルメリア~頼むぜ」
「は~い、―――魔力結界」
七人が枕投げをするには十分なスペースの部屋と装飾が、透明なバリアのような物で保護された。
「これで大丈夫だぜ、影虎」
「魔法をこんな事に使うなよ……」
「ふふっ、どうカミルレ。今日は私の方がハルトの役に立っちゃったわね」
「ハッ、昨日は私の方が役に立ったも~ん」
「な、何ですって!?」
早速喧嘩をし始める二人。
影虎はそれを見てうんざりして晴人のこう言った。
「おい晴人、さっさとこの二人を止めろ。でなきゃ即帰るぞ」
「ああ……何かすまん……それじゃあ始めようか! 枕投げを!」
「「「「「いぇーい!」」」」」
「「いぇ~い……」」
約二名テンションが墓参りだが、枕投げは開始された。
「それじゃあチームに分けてやろうぜ!」
そしてチームは以下の通りとなった。
チーム影虎
影虎
エルドレット
ミコモ
チーム晴人
晴人
アルメリア
カミルレ
萌葱
「おいどうしてこの采配にした! 多分一番駄目な奴だぞこれ!」
影虎は酷いチーム分けに晴人へ意義を申し立てた。
「え…? 何で…? 萌葱さんは例外としてちゃんとパーティで分けたつもりなんだけど……」
「俺らのとこだけ少ないじゃん! あとほら見ろ!」
影虎は萌葱を指差した。
萌葱はただ負の重苦しいオーラを噴出し。
「リア充爆発しろ……リア充爆発しろ……リア充爆発しろ……リア充爆発しろ……」
と、さながら呪いの言葉のように繰り返し呟いていた。
それを見た晴人は……
「見なかった事にしよう。うん。多分触れちゃいけないものなんだあれは」
「責任を放棄するなあーーーっ! 枕投げの企画者お前だろうが!」
「それじゃあカミルレ、君には審判役を頼むよ。そうじゃないと人数的に不平等だし」
「分かったわ! 任せてハルト!」
「人の話を聞けぇーーー!」
「それじゃあ位置について~枕投げスタート!」
影虎の説得も空しく枕投げは開始されてしまった。
因みに枕はそれぞれ自分の部屋から持ってきており、一人一個ずつ所持している状態だ。
まず先手を取ったのは晴人だ。
「食らえ影虎! そおい!」
「オラァ! フッ、この程度避けるのに造作も無えぜ! お返しだ!」
影虎は晴人が投げてきた枕を枕を振り下ろして弾き、枕を投げ返す。
「うおっ! 危ね! 何とかキャッチしたぜ……」
それを晴人は寸での所でガードした。
次に仕掛けたのはエルドレット。
アルメリアに向け枕の剛速球をお見舞いする。
「はっ!」
「え……ちょ……この人強すぎじゃ……んぶっ!」
アルメリアは顔にそれを食らってしまいバランスを崩し倒れてしまう。
「エル姉、加勢するわ! そりゃ!」
ミコモがさらに追討ちをかける。
「わあああ! 枕投げ特有の集中砲火はやめてー!」
「きゃははは! いい眺めだわアルメリア!」
「くそ……三人まとめてお返しよ! 勿論カミルレもね!」
「私参加してないじゃない! 何でよ!」
「ほらほらもっとかかってきなさいよ~」
「エル姉の言う通りよ! そらそら~」
と、どこも激しい戦況だが。
それをぶち壊す恐怖の女がいた。
「リア充爆発しろ……リア充爆発しろ……リア充爆発しろ……リア充爆発しろ……」
そう、萌葱だ。
萌葱はまず最初に影虎と戦っている晴人に枕を投げつけた。
「リア充爆発! ヒャッハー!!!」
「何!? しまった! 萌葱さんが居たんだった!」
その枕の速さは目に負えないレベルであった。
「ぐはあ!」
晴人は一撃で沈められてしまった。
「そ、そんなバカな!」
影虎が驚いて立ち竦んでいると、萌葱は次に女性陣にロックオンした。
「ヒャハハハハハハハ!」
萌葱は自分の枕と晴人から奪い取った枕をカミルレとアルメリアに投げる。
「ぎゃあ!」
「ぐあっ……」
二人もあっけなく沈んだ。
「やるじゃないあなた! 行くわよ!」
「エル姉に続くわ! そら!」
二人は同時に枕を萌葱に向け投げた。
だが……
「駄目だ……とても勝てる相手じゃない……避けられる……」
影虎のその読みの通り、萌葱はエルドレットの枕を突きで、ミコモの枕を蹴りで跳ね返した。
「ぐふっ……」
「そんな……」
二人は返ってきた枕にあえなく撃沈する。
「やっぱり……これはもう枕投げ所じゃない……逃げなきゃ……」
影虎はその場から逃げようとした。
だが。
「キャハハッ☆」
声が聞こえふと影虎が後ろを見ると枕を振りかぶろうとしている萌葱が。
「あ……終わった」
影虎は目を瞑り、恐らく来るであろう衝撃に備えた。
「枕投げ……もう二度とやらない」
そこで影虎の意識は途絶えた。
果たしてこの誓いは守られるのだろうか……




