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陰キャが異世界で無双してみた  作者: するめ狂い
陰キャ覚醒編
26/117

恐怖の引き金

「一応サイズの確認の為に一回着てくれ」

「分かりました」

影虎は武器屋のカウンターの奥の試着室を借り、スケールメイルを着た。


サイズは合っているようで問題無かった。

そして何となく試着室の鏡で今の自分の姿を見る。

「おお……何か冒険者っぽいぞ……」


緑色のマントとマフラーも付いているので、見栄えはそれなりに良く見える。

しかし影虎の顔はイケメンでも何でもない普通の童顔である。

どの顔のパーツも目立った特長は無い。


「もうちょっと年相応の顔だったら似合ったんだけどな……まあ性能重視って事で」

影虎はそう自分を納得させ、試着室を出た。


「サイズは合ってたか?」

「ぴったりでしたよ。分かるものなんですね」

「それなりにやってっからな……値段は三十万メコだ」

「はい」


影虎は鎧って意外と高いんだなあと驚いた。

支払いが終わり、武器屋を出る影虎。

「次は霊術用品店だな……おっ、果物屋があるじゃん。ちょっと見てみよう」


影虎は足を止めその果物屋に入る。

狭い店内に色とりどりの果物が所狭しと並んでいる。

「三角形とか四角形とか形が変わってるなあ……どんな遺伝子してるんだろ……ん? あれは?」


影虎はふと目に付いた物があった。

『レムネの実;猫の亜人の方々への贈り物に!』

「これはもしかして……」


影虎はこれがこっちの世界におけるマタタビなのではと考えた。

見た目は小さなキウイのような感じで、毛?が生えていた。

「最近あいつには色々と世話になってるし、買ってやるか……反応も見てみたいな……猫語になったりするのかな? 楽しみだクックックッ……」


どこぞの悪役のような台詞を吐きながらカウンターにレムネの実を持っていく影虎。

しかしこれが恐怖の種になるとは知る由も無かった。

「ただいま~」

「お帰りなさい」


霊術用品店の買い物も済ませ、家に戻る影虎。

エルドレットはまだ買い物のようだ。

影虎は早速ミコモに先のレムネの実を渡す事にした。


「おい、お前にお土産だ」

「え? 何よ急に」

「最近色々と世話になってるからな」


「おお~カゲトラにそんな気遣いが出来るとはね。見直したわ。で、土産ってのは何?」

「これだぜ」


影虎はレムネの実を取り出してミコモに見せる。

「お、美味しそう……」

ミコモはよだれを滝のように垂らしている。


「今から俺が切って食わせてやるよ」

「早くしてね……じゅるり……」

影虎は予想を遥えて喜んでいるミコモを見て嬉しくなりながらもレムネの実を包丁で切って小皿に盛り付けミコモの前に差し出した。


「ほらお食べ~」

「いただきます!」

ミコモは目に追えない速さで実を口に入れる。


その時、エルドレットが買い物からちょうど帰ってきた。

「ただいま~ あら何を食べてるの?」

そして食卓のレムネの実を見たエルドレットは。


「カ……カゲトラちゃん……まさかこれは……」

「レムネの実ですけど」

「逃げるのよ! 急いで!」

「え……? 何で?」


影虎はミコモの方に目を向けると、そこには全身の毛を逆立て唸り声を上げて蹲っているミコモが見えた。

「ううううううう……フシャアーーー!」

「猫語可愛げなさすぎだろ!」


ミコモは二人に猛々しく吠えた。

それが恐怖の幕開けだった。

「シャアアーーーッ!」


ミコモは影虎に向かって跳び、腹に強烈な猫パンチを繰り出す。

ドコオオォォン!

「ぐあっ! いきなり何なんだこいつは!」


家の壁にまで吹き飛ばされ衝突する影虎。

見るとスケールメイルの殴られた所が歪んでいる。

「嘘だろ……何だこれ……」


ミコモの突然の暴走に理解に苦しんでいると、エルドレットがこう説明した。


「カゲトラちゃん、ミコモちゃんはね、生まれつき霊力が高い体質なのよ。それで猫の亜人にとってお酒と同然のレムネの実を食べると、ミコモちゃんは気分が高まって強大な霊力が暴走してあんな風になっちゃうの」


「な、何ですと! それではギルドであんなに恐れられていたのも……」

「他の冒険者の人がうっかりギルドでレムネの実をあげちゃったのよ」

「そりゃあ恐怖の対象にもなるよ……」


影虎は謎の水色のオーラを身に纏い家中の物を破壊し続けているミコモを見て深く理解した。


「そのあと我に返ったミコモちゃんはちゃんと壊した物を弁償して皆に謝りに行ったんだけど、皆怯えてミコモちゃんから遠ざかって、皆まだ怒ってるんだって泣き出して逃げちゃったのよ。そんなミコモちゃんを慰めるのに私が抜擢されたのよね。女の子の気持ち分かるだろって」


「あいつが泣く事とかあるのか……?」

しみじみと語るエルドレット。

影虎には泣くミコモの姿が想像つかなかった。


「それでミコモちゃんの下に行って、ミコモちゃんは誠心誠意謝ったし皆も怯えてるだけだからもう怒ってないわよ、って言ったらエルドレットさん! 姉御って呼んでも良いですかって泣きながら飛びついてきたのよね~」

「エル姉の呼び名にそんなエピソードが……」


影虎はええ話や……と思わず感動しそうになったが今はそれ所では無かった。


「ただギルドはみんなのトラウマが蘇るから流石に出入り禁止になっちゃったのよ。それでミコモちゃんはギルドに入れないの」

「そういう事だったんですね……」


そしてエルドレットは腰のレイピアを抜き。

「護身用に持っておいて正解だったわ……ここは私が食い止めるからカゲトラちゃんは逃げるのよ! はああああああ!」


「いや完全な死亡フラグを立てて特攻しないでください!エルさーん!」

影虎はエルドレットの無事を祈って家から逃げた……





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