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陰キャが異世界で無双してみた  作者: するめ狂い
陰キャ始動編
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陰キャVSボブゴブリンその2

ようやく影虎君がまともに陰キャ仕出しました。

「そろそろ倒れてくれ!」

「グゲエエエエエエ!」


影虎はボブゴブリンにさらに傷を負わせた。

だが何回も斬っているというのにボブゴブリンは未だ攻撃が鈍らない。


腹には先のエルドレットの奥義で風穴ができている上に影虎の攻撃で体中から血がぽたぽたと垂れているとういうのにも関わらず、である。


ここまでしぶといとなると補助霊術もあるとはいえ次第に影虎の身に疲労が蓄積してくる。


影虎はもうじき息が切れそうになっていた。

「不味い……いい加減倒さないと俺の体力が持たない! 何か決定打を打たないと……そうだ! あいつの首を狙おう!そうすればいけるかも!」


そう考えた影虎はボブゴブリンの首に向け刀を振った。

しかし影虎は二つ大きな間違いを犯してしまった。


一つ目は時代劇のように刀で首を切るというのはかなり卓越した技術がいる、という事である。


刀は他の武器に比べ鋭い切れ味を持つのが強みだが、骨までは切れない。


故に武士の時代に行われていたような刀を用いた首切りは、骨と骨の間を切り離して首を切っているのだ。


そんな器用な事が、唯の素人である影虎に出来る筈が無かった。

「よっしゃその首貰ったー! ……って首が切れない!? 嘘だろ!? しかも抜けない……」


刀はボブゴブリンの首の骨に食い込んでしまい抜けなくなってしまった。

そして二つ目は。


「くそ、抜けろ……」

「グキャ……」


影虎は敵地のど真ん中で刀を必死に抜こうとしていた事。

得物は失う事になるがここは刀を諦めておいた方が敵地で無防備な姿を晒さずに済み遥かに安全である。


しかも不幸な事に、エルドレットの技を食らっても運よく軽傷で済んだゴブリンがいた。


そのゴブリンはもうじきボブゴブリンに進化できる程成長していた上にエルドレットの位置から離れた所にいた為だ。


そのゴブリンは影虎に勢いよく棍棒を振りかざす。

刀に気を取られていた影虎はそのゴブリンに気付く事が出来なかった。


「キェエエエエエエ!」

「ぐああっ!」


影虎は頭にゴブリンの不意打ちを食らってしまい、蹲ってしまう。


(嘘だろ……ミコモに豆腐の角に頭ぶつけて死ね掛けてもらったのに……それでもこんなに攻撃が重いとは……)


そしてそのゴブリンはゆっくりとボブゴブリンと共に影虎の下に近寄ってきた。


棍棒を掲げて。

(あっ、俺もう終わった……)

影虎はそう死を悟った。


こんな所で死ぬのか俺…と悲しくなって来た。

そう感じていると影虎の脳裏に人生の思い出が思い浮かぶ。

走馬灯である。


(小学校は……楽しかったなあ……特に林間学校……)


小学五年生の時。

初めての友達との外泊がとても楽しい思い出だった。


(でもあの時の誰かがどこで連れてきたのか背中にやたらデカくて気持ち悪い芋虫がくっついててそれで俺あれ以来虫がトラウマになったんだよな)


旅行にハプニングは付き物である。

(そんで中学になって……何故か放送部に入ったんだよな…)


かなり変わった選択であった。

(早口言葉言ってーとかクラスの女子にさんざんからかわれたけど、先輩とかすげー優しくしてくれて、同じ部活の奴は男女ともども仲良くて楽しくやってたんだけど……

二年に上がって放送を任されるようになって、運動会でアナウンスの担当したんだよ……そしたら……)


「赤組がゴールしま……っ!……失礼しました」

(大勢の前で大失敗したんだよ……)


そうして以後影虎は。

(クラスの奴等に、「アイツの噛み方ちょーウケるwww」とか「ねえ、あれもう一回再現してよ」とか今まで以上に散々からかわれて……大勢の前で声出すのが怖くなって……授業中先生に当てられても自分でも引くぐらいの声しか出せなくて……それで「アイツコミュ障じゃねwww」とか言われて、それで陰キャになったんだったな……)


因みに影虎はコミュニケーション障害というよりかはあがり症と言った方が正しい。


そして影虎はそのトラウマを引きずったまま高校生になってしまう。


当然、高校でも陰キャ生を送ることになる。

(そんな俺でも友達になってくれた奴はいるし、それなりに楽しかった。陽キャにはさんざんウザ絡みされたけどな……コミュ障だの童顔だの言いやがって……)


影虎は陽キャと陰キャの差ってなんだよ、と思う。

髪金髪に染めてるだけじゃねーか、と。

無論影虎の偏見だが。


(思い返せば結構しょうもない人生だったな……異世界のチート能力にすら陰キャ認定受けてるし……仲間はカオスだし……でもだからこそ、こんな所で死にたく無いな……)


影虎はゴブリン達が棍棒を振り下ろすのを見ながら、心の底からそう思った。





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