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陰キャが異世界で無双してみた  作者: するめ狂い
陰キャ終止符編
102/117

陰キャVSツクモその3

「白雪霊糸封じ!!!」

エルドレットはツクモの動きを幾多もの糸で封じようとする。

しかし、冷気の壁によって凍らされ、砕けてしまった。

「うわああああ! エルさんの糸まで凍らせて砕けるのか……? 反則だろ……」

「流石にこれは予想以上ね……でも大丈夫よ」

「え?」

奥の手を破られているというのに自信気なエルドレットに影虎が驚いていると、エルドレットは糸を出してこう言い放った。


「白雪霊糸封じ・紡!!!」

エルドレットは糸を無数に出し、その糸達を紡ぎ合わせて一つの頑丈な縄にした。

見た目はさながら少女の三つ編みのようだが。

その編まれた糸達はツクモの冷気の壁に阻まれる事なくツクモの両腕を封じた。

「なっ!? 何で私の空間凍霧の中でこの糸は何ともないの!?」

「糸は編めば強くなるのよ……ふふふ」


エルドレットは糸を更に出してもう一度白雪霊糸封じ・紡を放とうとする。

「同じ手は通用しないわよ……霧氷朧月!」

だが二度目を許す程ツクモも甘くはなく、霊術で遮ってしまった。

「ごめんミコモちゃん、両腕しか封じられなかったわ!」

「大丈夫よ。それなら何とかなるわ」

ミコモは魔喰で凄まじい程の霊力を吸収していた。

ただ今までとは違い、霊力を吸収する速さや効果が先程のミコモとはまるで別物であった。


「まさか……あいつの魔喰を食らって使い方を覚えたのか……?」

影虎はミコモの飛躍的な成長をそう推測する。

先程でも修行により暴走時の七割程度は行使出来ていたミコモだったが、今はその暴走時すらも軽く凌駕している。

「行くわよ……ー真・凍冴時雨月!!!」

ミコモは数多の巨大な氷の槍を呼び出した。

それらはツクモへと牙を剥く。


「ま、不味い! 八重霧氷朧月!」

ツクモもまた霊術で氷の槍を防ごうとする。

互いの霊術が衝突し、激しく鬩ぎ合った。

「はああああああ!」

「ぬああああああ!」

その拮抗した霊術のぶつかり合いは壮絶な戦いを繰り広げた後、互いに相殺された。

「はあ、はあ……」

「くっ……」


ミコモとツクモはお互いに息を切らしている。

「よくあれで互角だったな……いくらミコモの魔喰が成長したとはいえあいつの魔喰には追い付けてなかった筈なのに……修行の成果か?」

影虎はミコモの奮闘ぶりにそう感心した。

ツクモの魔喰は暴走時のミコモの魔喰の二倍以上の威力を有している為、今のミコモであっても勝てていなかったのだが、それを修行がカバーしたのだ。

影虎はこの調子なら勝てるかもしれないと期待を胸に抱いた。


「中々やるじゃない……少しはあんたの魔喰もまともになったようね……」

「その程度の私に勝ててないあんたは何なのよ?」

二人の間に緊迫した雰囲気が漂う。

そしてミコモはツクモにゆっくりと近付き、こう言った。

「あれだけ私が霊術を撃った所で、どうせ回復出来るんでしょ? さっきの萌葱の時みたいに。だから……」

更にミコモはツクモの腹に手を当て―――

「魔喰。私のこれで回復させないわ」

魔喰を発動させ、ツクモの霊力を吸収していった。


「ふーん。でもあんた霊術は撃たなくていいの? 他の奴じゃ悪いけど決定打になってなかったわよ?」

「……魔喰には霊術を壊す能力も備わってるわ。だから魔喰を持ってるあんたにいくら霊術を撃った所であんまり意味は無いのよ。つまりあんたは技で倒す必要があるの」

「ま、まさか……」

「気付いたみたいね?」

驚愕するツクモの周囲には、無数に糸が張り巡らされている。

そう、エルドレットの白糸だ。

全てが、五芒星を象っている。

エルドレットは修行により糸を媒体にして技を放てるようになっていたのだ。

効果もそれに応じて遥かに向上している。


「これであんたは終わりよ。エル姉、やっちゃって!」

「ええ!」

エルドレットはレイピアを構え膨大な霊力を籠めて糸を突いた。

「………睡蓮天叢雲!!!」

「あああああああああああああ! まさかこんな奥の手が!」

エルドレットの張った糸の五芒星の間から、桃色の斬撃が無数に放たれた。

その斬撃はツクモを深く、そして永い眠りへと誘った。


ツクモはその寸前に、あまりに遠い昔だった為に忘れていた一つの事実を思い出した。

(そう言えば……一番最初に私を封印したのは……蛾人族だったな……私はまた眠るのね。まあそれでもいいんだけど)

遥か昔、ツクモの魔喰が暴走した際多大な被害が出たのだが、蛾人族の手によって封印されたのだ。

蛾人族の能力である白糸によって。

封印に成功し英雄となったその蛾人族は、後にこう語ったという。

決して魔族に危害を加えようとは考えていないのに、処刑してしまうのはあまりにも理不尽だ、と。


英雄の言葉により、ツクモは処刑されずに済んだ。

またその英雄であった蛾人族は、一族もろとも何処かへと姿を消したのだと伝えられている。

(でもあのまま暴走してるよりは今の状態が一番良かったわ。封印されている間に魔喰も安定したし。最後に子孫まで見れたし有難う蛾人族……だから大人しく封印されてあげるわ)

ツクモはそうして静かに笑い、眠気に身を委ねた。

ツクモはエルドレットの技により永い眠りについた。

「結局私は何なのかしら……」

ミコモはツクモの寝顔を見ながらそう呟いた。

「お前はお前だよミコモ」

「いやそういう事じゃなくて。何で先祖が魔族なのに私の家族は人族側に居るのかしら」

「さあ……何か魔族と亜人族同士の種族を超えた愛でもあったんだろう。多分」

「それならロマンチックね……」

「お前からそんな単語が出るとはな……」


呆然と似合わない言葉を言うミコモに影虎は思わずそう言った。

そんな二人の肩をエルドレットが叩いた。

「それよりも早くハルトちゃん達の所に加勢しに行かないと!」

「ああ! そうでしたね! 早く行きましょう!」

「そうだね。まあ多分大丈夫だろうけどね……」

影虎達は晴人達の所へと向かった。






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