Cの策略
ナーロット魔術学園。
そこの制圧は簡単だった。
数十人の生徒が常駐してはいたが、こちらはアルルやネーシャ、そして魔物までをも味方につけている。
いくら生徒たちが優秀とはいっても、この大勢の前では無力に等しい。
生徒らの抵抗もむなしく、僕たちは彼らを一瞬にして無力化した。
現在、生徒たちは数人ずつ別室で監禁中だ。
申し訳ないが、こいつらもユージェスとともに世界を支配しようとした身。多少の痛い目は見てもらう。
ナーロット魔術学園。
その屋上。
「やれやれ。まさかこれを使う日がまた来るとはの」
ゴブリンが呆れた表情で錆色の手錠を掲げる。
かつてボドルスの自由を奪っていた拘束具だ。やはり対象者の力を吸収する機能があったようで、これをつけられた生徒たちは抵抗の素振りも見せない。
「フフ。おかげで制圧がスムーズにいったよ。感謝しよう」
「おぬしという男は……」
ふうとため息をつくゴブリン。
だが、実際にこの試みは成功した。
ユージェスは魔術学園の生徒たちと協力体制を敷いている。
僕はそこに着眼した。
天空城にいる生徒たち。
そして、ここに常駐している生徒たち。
ここらで友人関係にある者もいるだろう。
だから真っ先にここを活動の拠点とした。
そうすることで、ユージェスも迂闊に手出しができないと踏んだのだ。
「ほんと……すごいわね……」
さしものアルルも驚きを隠せない様子だ。
「普通できないでしょ。魔王以上の力を手に入れたあいつを、足止めするなんて」
「フフ。たいしたことじゃないさ」
ユージェスと生徒たちの結託。
詳細な理由はわかりかねるが、両者にとってなんらかのメリットがあるから手を組んでいるはず。
だからこの場所を人質に取れば、奴らはなにもできないと考えた。
実際にも、ユージェスは現在まで静観を保ったままだ。
相手が強力な力を手に入れたのであれば、こちらはそれ以上の知略でもって応えるしかない。
「…………」
ユージェスの落書きが描かれた手すりを掴みながら、僕は天空城を見上げる。
ユージェス・レノア。
僕の大好きだった幼馴染み。
彼はいま、なにを思っているだろう。
僕との思い出を、どう捉えているだろう。
「C……」
そんな僕の隣に、アルルが切なそうな表情で立つ。
「大丈夫よ。私は、なにがあってもあなたの味方だから」
「アルル……」
そうだ。
もう僕は後に退けない。
これだけ多くの人たち――魔物もいるが――が協力してくれているのだから。
「でもさ、これからどうするの?」
ネーシャも頭上を見上げながら呟いた。
「ユージェスを倒しにいくっていったって、敵は雲の上。攻めるに攻められないわよ」
「いや、それに関しては問題ない」
僕はくるりと身を翻すと、ゴブリンに向けて指示を放った。
「早速おまえたちの出番だ。魔物たちを呼んでくれ」
「む……」
目を丸くするゴブリンに、僕は仮面の内側でにやりと笑うのだった。
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