世界が、震えた。
感想欄でお声をいただきましたのでタイトル変更しました。
ご協力してくださった皆様、ありがとうございました。
旧タイトル
「世界最強のギルド受付係 ~追放された僕は、最強スキル《未来予知》ですべてのフラグをへし折っていく~」
後には静寂だけが残された。
「終わったか……」
僕は一息つくと、目前に倒れている学生たちを見下ろす。
――突如襲ってきた学生たち。
詳しい状況はいまだ不明だが、彼によって煽動されている可能性が非常に高い。
僕の《未来予知》に引っかからないよう、裏で事件を工作してきた幼馴染みに――
「ねえ……C」
ネーシャが頬をさすりながら言う。
「たしか……ナーロット魔術学園はここ近年で相当に技術を上げたのよね? さっきの魔導二輪車なんて、さすがにびっくりしたわよ……」
「ああ。とんでもない発展ぶりだった。――不自然なほどにな」
魔物たちが未知なる器具を使っていたこと。
変異した魔物たちがゾンビと化して、人を襲ったこと。
それらがもし……魔術学園の仕業だったとしたら?
未来予知の情報が筒抜けになっているのも、僕の幼馴染み……ユージェス・レノアが手を組んでいたとしたら説明がつく。
彼はとうに死者であるはずだが、死者蘇生によって死者が蘇っている以上、それだけで否定材料にはなりえない。
確証できるものはない。
だが――仮に魔術学園が黒幕だと仮定するなら、すべての疑問点が一本の線に繋がるのだ。
「じ、じゃあ……」
アルルが厳しい表情で言う。
「魔術学園の生徒たちが、すべて敵にまわっているっていうの……? いったい、どうして……」
「――わからぬ。その疑問はきっと、彼が解決してくれるだろうよ」
「え……」
アルルが目を見開いた、その瞬間。
「――クク。やるじゃないかC。わかってはいたけど、本当に僕の大事な生徒たちを殲滅するとはねぇ」
突如にして、新たな人物が姿を現した。
やや暗めの琥珀色の髪に、威風堂々たる自信を備えた顔つき。金縁の眼鏡をかけており、レンズから覗かれる瞳には迫力が漲っている。
そう。
昔とまるで同じだった。
赤色を基調とした魔術学園の制服も、飄々としていながらも知的っぽさを感じさせるその振る舞いも……
「ユージェス・レノア……本当に生きていたとはな……」
理屈では理解できても、信じたくはなかった。
ユージェス。僕の唯一の親友にして、信頼できる旧友……
掠れる声を発する僕に対し、ユージェスは肩を竦めてくくくっと笑う。
「俺のほうこそ驚いているよ。C……そんなド派手な格好をした者が、かつての幼馴染みとはねぇ」
「ふん……。死者を演じた者に言われたくはない」
「はっはっは。違いない」
「くっ……! あんたが、ユージェス・レノア……!」
アルルが険しい顔つきで僕の幼馴染みを睨みつける。
「あんた……。Cが! クラージが! いままでどんな思いで過ごしてきたかわかってるの!? クラージは……あんたのために……!」
「ふっふっふ。知っているさ。その後のクラージの不遇な生活もね」
「あんたっ……!」
やや涙目で剣を抜きかけるアルルを、僕は咄嗟に制した。
「やめろアルル! 奴の背後には魔物が潜んでいる。飛びかかったが最期、返り討ちに遭うぞ」
「なっ……!」
ぎょっと目を見開くアルル。
なにか細工でも施しているのだろう、Sランク冒険者でさえ視認できないようにして、ニ体の魔物がユージェスの背後に隠れていた。
「ほう……」
ユージェスは口元を抑えるや、愉快そうに笑い出す。
「クックック。やるねぇクラージ。やはり《未来予知》は強力だ。強力すぎる」
「そ、そんな……どういうことよ……」
アルルが悲痛な声を発す。
「魔物が潜んでいるですって……。じゃあ、ユージェスは魔物を従えて……!」
「――そういうことになるだろうな」
僕はこくりと頷き、仮面の内側で幼馴染みを睨みつける。
「かつての骸骨剣士やゴルゴンロード、あのゴブリンでさえも……こいつの傀儡だったわけだ」
「ふふ、そういうことだね。魔物を従わせるには苦労したよ。ま――クラージから吸収した未来予知さえあれば、力づくで制圧できるがね」
「やはり――そういうことか……」
僕の《未来予知》が広まった瞬間、魔物たちが街を焼き尽くしてでも僕を捜索する……
かつて僕が視た未来において、襲いかかってくる魔物たちはひどく怯えていた。
あんな独裁者と同じスキルを持つ者を野放しにはできない、だから早急に殺せ、と――
僕はふうと息をつき、それでも負けじと幼馴染みに言い放つ。
「察するに、おまえにもなにがしかの固有スキルがあるな。特定の条件を満たしたとき、相手の能力のすべてをコピーする離れ業を」
「ふふ、ご名答♪」
嬉しそうに頷くユージェス。
過去において、彼が僕に近寄ってきたのは《友達だから》じゃない。
僕の未来予知というスキルを、我がモノとするためだ。
「の、能力のコピー……!?」
なにかを察したネーシャが、大きく目を見開く。
「じゃあ、魔物たちに《魔王の復活》を命じていたのは……まさか!」
「ふふ。そういうことさ。――ほら見るがいい、美しいショーの始まりだ!」
ユージェスがとある一点を指差したとき。
世界が、すべてが――震えた。
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