第五部 シナリオボード
今度は何の教科書も必要ありません。必要があるとしたら、紙と付箋です。ここからはシナリオボードの制作に入ります。これもまた『charasuji』上で出来る作業ですが、モリは最近紙と付箋で行うのが最も楽だと感じています。ここからは、ビートシートを参考に物語を1章辺り1〜2行で書いていきます。とにかくすべての章で何が起きるのか、書いて決めてしまいます。たとえば、前述の『イデアの肖像』であれば、第1章は『アレスとイディの日常の描写、関係性の提示』、第2章は『アレスについて』、第3章は『ミサに参加するアレスとイディ。アレスによる殺戮についての懺悔と、神父による死の肯定』といった具合です。これを最終章まで行います。余裕がある方、あるいはこれでも不安である、という方は、さらにこの章の中で何が起きるのかをざっくり書き出してしまうこともできます。ここが小説を書く上で二番目に難しいところだと思います。何せ時間がかかりますし、モリの場合は一気にやってしまわないとやる気が削がれるので、集中力も必要です。しかしながら、ここまで来てしまえば、小説は書けたも同然と言って良いでしょう。逆に、この作業に耐えられない場合は、やはり小説を書くことはできないかもしれません。小説を実際に書くステップは、この作業よりも時間と集中力を必要とします。同時に、次の章はまったくもって退屈なものになります。