第三部 ヒーローズ・ジャーニー
しかし、これでは小説が3話で完結してしまいます。その上、面白みがありません。ここから、物語の肉付け作業が始まります。教科書としてご用意頂きたいのは、『物語の法則 強い物語とキャラを作れるハリウッド式創作術 (クリストファー・ボグラー、デイビッド・マッケナ著)』です。ご用意いただけなくても、今はインターネット社会です。ヒーローズ・ジャーニーで検索すれば、概要は分かると思います。ヒーローズ・ジャーニーとは、「大体の神話はこういう展開で出来ている」というテンプレートです。簡略化すると、話は『日常世界』から始まり、『冒険への誘い』、『賢者との出会い』を経て、『試練』をくぐり抜け、『帰路』につきます。大体にして、『試練をくぐり抜ける』という言葉だけで話が面白くなりそうなものです。まずは騙されたと思い、ネットで拾えるヒーローズ・ジャーニーのテンプレートに沿って、話の流れを書いてみましょう。それぞれ1行ずつでも構わないのです。とにかく話の流れを書き出してしまうことが肝要になります。もちろん、『試練』のパートは何度も繰り返されても構いませんし、順番が前後しても構わないでしょう。大切なのは、『話の流れを一旦すべて書き出してしまう』、この作業につきます。小説を書き始める前に、頭の中で話をすべて終わらせてしまうのです。
小説というのは、魔法のように指先から流れていくものではありません。それは建築計画もなく建物を建てるようなものです。もちろん、その手法で執筆できる、という方々もいらっしゃいますが、そういう方々は頭の中でこの作業が出来てしまうためだと思われます。あなたのヒーローズ・ジャーニーは描けましたでしょうか。では、次に進んでいきましょう。