はじめに
小説を書くのに際して、才能がない、と思ったことはないでしょうか。モリはあります。中学生のときに一度、そして大学生のときにもう一度です。どうもモリは小説を書けない『性質』であるようなのです。話は思いつきますが、終わりません。3話ほど書いて、続きに困り、最近の言葉を引用するならばエタります。後々読んでみても面白くもなんともないので、ファイルは削除されて闇に葬られます。すべては、自分に小説を書く『才能がない』からです。しかし、ほんとうにそうでしょうか。
あれから10年近く経ちますが、モリは今年の8月から今に至るまでに、2本の長編小説を書きました。あれほど小説の『才能がない』と思っていたにも関わらずです。小説の内容が面白いか面白くないかとか、評価されているかされていないかとか、そういう事実はモリには関係がありません(まったくないと言えば嘘になりますが)。ひとまずこのエッセイにおいては、『小説を書く方法』を論じるのであり、決して『面白い小説を書く方法』とか『売れる小説を書く方法』を論じるのではありません。
あなたがただ1作の小説を書き上げてみたい、と思っているのだとしたら、是非このエッセイを読み進めていただければと思います。このエッセイの語るべきところを一言でまとめるとすれば、「小説を書くのに才能は要らない」ということです。それでは、細かいところを詳しく見ていくとしましょう。