11月11日【髪の毛は1日に約100本は抜ける】
部屋の隅を見ても落ちるはずもない場所に髪の毛はたまに落ちてるナゾ。
ホームルームが終わって教室の掃除の時間、今日の俺の当番は床を掃除機で綺麗にすることだ。
本来はホウキやチリトリでやるんだが各学年でローテーションで掃除機を貸し借りしてるから週に2回使えれば上々ってところだな。
だが今日も毎回のように怒声は飛んでくる。
「ちょっと男子まじめにやってよ!! ねっ、角田さんもそう思うでしょ?」
掃除用具で野球を始める男子ども。
モップと雑巾を振り回して危ないし人に当たって怪我でもしたらどうする?
してからじゃ遅いし何よりも掃除には俺、うるさいからな?
衛生管理の行き届いた厨房の掃除を統べるだけあって、普段は温厚な俺をブチギレさせてくれるなよ。
女子が注意してくれてるだけまだマシだと思え。
あと女子達も同じクラスだと言うのに女として認識されてる……のはまぁ別に構わん。
「へーい、真面目に掃除すりゃ良いんだろ。 ったくめんどくさいな。」
確かに危なっかしいところはあるが反抗せず掃除をしてくれるところは素直なヤツらだな。
おっと、ボール代りにされてた雑巾を吸い込もうとして異音が……ヤバイヤバイ。
「モブ山……掃除用具で怪我を追わせてからじゃ遅いからな? 責任がとれるとれないの問題じゃぁない。」
念には念をだ。
こうすればさすがに次からは……いや、しばらくはしないだろう。
人は何度でも過ちは犯すんだ。
「さてと、ごみパックがパンパンだな。 と言うか前回使ったヤツ……パック本当に捨ててんだろうな?」
ごみパックは本当に捨てているのはきちんとわかっているし、別に怒っている訳じゃない。
人体の仕様上、苦笑いしてるだけにすぎない。
人の髪の毛は1日におおよそ100本はざらに抜け落ちると保健体育で聞いたことがあるが、クラス30人で換算してもざっと3000本だ。
そりゃ毛玉がカオスに詰まったものだろう。
「2年B組、きちんと掃除してるですか? 先生は見張りをしてるです。」
「華丸先生!? 業務用のでかい掃除機に乗ってきやがった!! って……ウチの学校にもそういうのあるんだ、知らなかった。」
マル、それお前が乗ってきていいのか?
きちんと許可とってきたんだろうな?
「乗っていいのです、先生なので。 あと免許は皆伝してるので問題ないのですよ。」
それに免許なんて無いからな……あと皆伝ってなんなんだよ。
掃除に関してはうるさい俺だがマルのやることに関してはなんでかいまいち怒る気力にはなれない。
俺は甘いのだろうか、それとも盲目でバカになってるのだろうか……神の溝知るってことだろうな。
100本も毎日抜けるならすぐにハゲ頭になりそうな雰囲気なんですが。