11月10日【縄文時代にはクッキーが存在していた】
秋は恵みの季節。
昨日は急遽としてホテル側で人員不足が発生したため貴重な土日の内の1日を潰されたが仕方がない……が、しかし今日は待ちに待ったドングリを拾うと言うミカンと前からの約束で近場の公園までやって来た。
ちなみに自分独りぼっちでドングリを拾うのはいささか子供じゃないんで恥ずかしいのは内緒な?
高校生にもなって夢中でドングリを拾うとなると痛い子だと思われかねないし、もし誰かがソレを見ていて学校で言いふらされたら俺は死ぬ。
「おっしカツラ、木を揺らすぞ……落ちたのは残らず拾えよな?」
「ちょい待ち、コレを忘れてた。」
雰囲気を出すためにただ揺らすのは気が乗らないとラジカセで曲を流しながらだ。
作業中に曲を聴きながらやると効率が上がるって知ってたか?
「おらおらっ、落ちろ!! 落ちたな……。」
曲に合わせて身体と頭、そして木を激しく揺さぶるミカンのおかげでボロボロと大量のドングリを落とすことに成功した。
コレを用いては幻のレシピ【縄文クッキー】なるものを俺の手で完成させるのが子供の頃からの夢だった。
たしか縄文時代は今から1万5000年から2500年前まで栄えた時代、その時からすでに元祖和風スイーツがあったのは驚いたが試してみる価値は大いにある。
あとはドングリでもコーヒーが作れるらしいから余分に収穫する必要があるな。
「もう少し落としてくれるか?」
「わかったぞ。」
まだ足りない、もっとだ。
多ければ多いほどたくさん作れるからな。
私は公園で変なものを見たですがカツラがいるとなると見なかったことにはさすがにできないのです。
ミカンが不審者のようにヘドバンしながらパリピってドングリを拾うカツラの姿……お二人はどんな関係なんですか?
いや、異母兄弟なのは知ってるです……ガチレスするなです。
「なにやってるですか? 楽しそうなので私も仲間に入れるです。」
「まっ、マル!?」
「よぉ華丸先生。」
カツラが事情を話してくれたです。
幻のレシピを完成させるための儀式としてドングリを拾っていたことを……私にも分け前を寄越す約束で仲間に入れてくれたことを。
本当は昨日のデート約束を放り投げてたカツラに一喝したかったですが急な仕事で既読すら付けれない状態なら私も怒る理由はないのです。
ソレはさておき……デートは今日に繰り上げは、できそうにないですね。
カツラとミカンがパリピなので。
先代の知恵に感謝しながらいただくのだ。