表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
電子精霊になってソシャゲ界を徘徊する  作者: 文武ロデオ
FAITHS & BRAVES編
12/20

第12話 リアクションスキルとボス戦

前回: 頭脳派過ぎる無表情

 足元。 落とし穴か!


 とっさに結論付いた追跡者は後ろに飛ぶ。 そして先ほど立っていた場所に視線を向けた。


 しかし、その判断が命取りとなった。


「ふっ。 『ガスト!』」


 ロアは第二のアクションスキルを発動した。


「ぶっゲっ! ゲヒャー!?」


 追跡者は両手を目に当てた。 足元から一陣の風が舞い上がり、砂埃を宙に運び諸に追跡者の顔に当たった。


 ロアは二つ目のアクションスキルを風魔法の「ガスト」にした。 戦場のどこにでもある砂や埃を風で操り、目くらましとして使っている。


 魔法の「ブラインド」は視界だけに干渉して効果をもたらすが、継続時間は僅かであるうえに詠唱時間も若干「ガスト」より長い。 異常状態に耐性のある相手も考量し、風魔法で直接目を攻撃する形で砂埃を利用した。


 今回は襲撃を想定し、予め屋根の上で多めに塵を撒いて陣取った。


 不意をついた完全に姑息な手ではある。 しかし視界を奪われた相手にとっては致命傷。 次の瞬間自分は何も見えず、何も分からず、あっという間に死にかねない。


 だから追跡者はたった一手だけで直ぐに取り乱してしまった。


「しまったゲスーー!! こ、こっちに来るなぁあ!!」


 つい先ほどまで余裕があった追跡者はパニックになり、

 ナイフをロアがいた方向に出鱈目に振り回した。


 他の仲間と違い、追跡者は戦い慣れしていた。 いくら冷静さを欠いても、残りの感覚と直感でロアの居場所を捉えることが出来た。



 しかしロアはそれさえも許してくれなかった。


 斬撃ひとつひとつ巧みにいなし、ステップや身体のずらしだけで面白いように追跡者の攻撃が当たらない。


 これがロアがバトルメイジとして行き着いた戦闘スタイルだった。


 視界を奪い、相手の命中率を大きく下げる。 そしてバトルメイジ特有のリアクションスキルで攻撃をかわす。 こうしてノーダメージのコンボが出来上がった。


 ーーーリアクションスキル「見切り」。 命中率が低ければ低いほど発動しやすい、物理攻撃回避技である。


 魔法職には珍しい対物理攻撃用の防御方法だった。



 そろそろ決着つけないとフォントが危ない。


 そう考えたロアはバトルスタッフを横に大きく降って追跡者の脇にぶつけた。


「ゲス!?」


 よろめいた追跡者。 パニックによって足元の注意も疎かになってしまった。


 たたらを踏んだ先は屋根の端だった。


「でゲスゥゥゥゥ!?」


 足を滑らせ建物から落ちた。 とっさに屋根の端を掴んだが、腐った板が剥がれ落ち、追跡者と共に重力に引っ張られた。


 ドサっと地面に衝突する音と「げピャ」と汚い声を最後に追跡者はロアの前から消えた。


「ゲスゲスうるさいヤツだったな」


 ロアは屋根の上から辺りを見回した。 女騎士は寝転がっている男たちの中で佇んでいてた。


「そっちは決着ついたみたいだ」


 見え透いた結果だった。


 続いてフォントの姿を見つけたが。


「……ぉおっ!」


 フォントの目の前に敵のリーダーが天を仰いでた。



 ーーー



 自分の職業は戦士見習いになっていた。


 つまり近接戦闘職。 真っ先に敵に剣先を向けられ、後ろに控える仲間を守る二つのプレッシャーを併せ持つ。


 すぐ目の前に自分より大きい男が殺意を持って接近している。


「よくもコケにしやがったな。 素人だからって容赦しねぇから覚悟しろよ?」


 剣を抜きながら敵のリーダーが怒りに震えていた声で話しかけた。


「一応忠告の礼をする。 貴方には悪いがここは勝たせてもらう」

「言ったなクソガキ!」


 金属がぶつかり合う音が鳴り響く。 向こうのほうが剣筋が良く、攻撃も早い。 だけど目で追えないことはない具合だった。 どうしても危ない一撃はバックラーでいなしている。


 勝利宣言で挑発してしまったがちゃんと勝機があったから出た言葉だった。


 負けてもジェムを消費して戦闘継続、ではなく。


 死んでも協会に復活して所持金が半分になるだけだから何度でも気軽に挑戦できる、でもなく。


 このリーダーの対策は予め決めてたのだから。


 それにはとにかく、攻撃を受け続かなければならない。



「オラオラどうしたどうした! ずっと受けてばっかじゃないか! さっきの威勢はどうした!?」

「……」


 こっちから攻める手立てが少なくなってしまった。 剣で受け、盾でいなす、の繰り返し。


「口ほどにもねぇな! 」


 リーダーは剣を振り下ろす。 重い一閃だった。


 しかしこっちの準備も整った。


 今度は剣で斜めに受け、軌道を地面へずらした。


 そして渾身の一撃へ移した。



『バッシュ!』



 バックラーを前に構えて突進。 そして直撃。


「ぐ、おぉああああぁぁぁぁ!?」


 リーダーが作ってしまった隙に攻撃され、片腕で止めようとした。


 だがこのスキルの威力は桁違い過ぎる。


 衝撃は手の指、腕、そしてついに胴体までたどり着いた。


 リーダーはぶっ飛び、何回か転がってから仰向けになった。



 自分が放ったアクションスキルはあくまでただの「バッシュ」。


 今回の功労者はリアクションスキルのほうにあった。



 ーーーリアクションスキル「仕返し」。 相手の攻撃を受ける度に自分の次の攻撃を強化する。

リアクション芸極めたい


次回: 信頼に値する者

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ