オカルトホラー
邪悪との闘い、ホラーのテーマとしてオーソドックスな感じがするかもしれませんが、映画では三番目に出来た流れと謂えるでしょう。
人型モンスターによるゴシックホラーから怪物・生物によるパニックホラー、そして邪悪を主題にしたオカルトホラーと時代は変遷しました。
オカルトホラーの『恐怖の対象』は悪魔・超常の存在です。
何故、映画でオカルトホラーが後発になったか?それは科学の発展と共に映画技術も発展してきたからで、宗教的な題材がそれまで避けられていたという事ですね。
代表作品を三本あげてみましょう。
オカルトホラーを流行させた起爆剤となったのは『エクソシスト』でしょう。
少女リーガンに悪魔がとり憑き、超常現象が起こります。
女優業を営む母は最新の医学療法を何度も試み、全て無駄に終わります。
藁にもすがる思いで彼女が頼ったのは若い神父でした。
若い神父とベテランエクソシストの二人がリーガンの悪魔と対峙します。悪魔の言葉による精神攻撃がエグい作品でした。
次に紹介するのは『サスペリア』。
「決して独りでは観ないで下さい」
テレビCMでのこのキャッチコピーは一世を風靡しました。
主人公は母が名プリマドンナだった影響でバレェダンサーを志し、有名バレェ学校に入学します。
実はその学校は魔女達の巣窟で、生徒を悪魔への生け贄に捧げていたのでした。
ダリオ・アルジェント監督はこの映画で「赤い配色は安全な状況、青い配色は危険」という実験的な色使いを行っています。
そして『オーメン』。
主人公の妻が産んだ子は息をしなかった。産科の医師から秘密裏に赤児を預けられた主人公は実子としてその児を育てる。
子供の名前はダミアン。
やがてダミアンの周囲では不可思議・不可解な出来事が散発し、それを調べようとした者達は次々と謎の死を遂げる……
日本では悪魔に対する恐怖というのがピンとこないと思います。キリスト教の感覚が無いですからね。
悪魔とは人々を堕落させ、世界を滅ぼさんという意思。破壊衝動の具現化とも謂えます。
心の天秤、その片側に乗せられた悪が比重を増した時、人は己の内面に疑心暗鬼が芽生え、悪魔という事象を感知する訳です。